時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、チューダーの時計の話をお届けします。
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TUDOR
BLACK BAY BRONZE
「ブラックベイ ブロンズ」参考商品/チューダー(日本ロレックス / チューダー)
世界史ファンにとってチューダーといえば、英国王家の名前。だが腕時計ファンにとってチューダーは、ロレックスの兄弟ともいうべきウォッチメゾンのこと。ロレックスの創立者、ハンス・ウイルスドルフによって1926年に誕生した、スイスきっての老舗がチューダー。文字盤に盾のロゴマーク、リュウズに王家のバラの花をあしらい、印象的なデザインを数々揃えて、2018年の秋に日本に本格上陸した。
例えば、この「ブラックベイ ブロンズ」、珍しいことにケースがブロンズでできていて、ゴールドやスチールとは違ったヴィンテージ感や、エイジングして色が変わってゆく楽しみが味わえる。パティーナと呼ばれるその美しい経年変化が生み出すアンティーク風の渋さを、コアなファンは楽しんでいる。長年デイリーに使い込むうち、世界にふたつとない自分だけの個性的なルックに育っていくのが魅力でもあるのだ。
ロレックスの技術を受け継ぎ、独自開発・製造しているから、腕時計の品質は折り紙つき。さらにストラップは、150年以上続くパスメントリー工房で織られた特別なファブリック製。マニッシュだけれど手首にしっくりなじむこのモデルは、身に着ける人に、個性というきらめくスパイスをふりかけてくれるはずだ。
*「フィガロジャポン」2019年5月号より抜粋
photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KEIKO HOMMA