フランスの避妊の歴史を振り返る。

9月9日、フランスで25歳以下の女性の避妊治療の無料化が発表された。この機会に、フランスにおける避妊の自由に向けた長い道のりを振り返ってみよう。

【関連記事】避妊、女性たちにのしかかる精神的、肉体的な負担。

フランスにおける避妊薬の自由への長い道のりを、主な出来事で振り返ってみよう。photo：Getty Images

フランスにおける経口避妊薬の合法化は、長く困難なプロセスを経て、1967年12月19日に議会で決議された。それから54年後の2021年9月9日、オリヴィエ・ヴェラン連帯・保健大臣は、France 2に出演し、2022年1月1日から25歳以下のすべての女性の避妊治療を無料にすると、次のように発表した。「ホルモン剤による避妊法、それに伴う検査、診察、処方、そのほか避妊に関わる治療全般が無料で利用できるようになります」。テレビ局フランス・アンフォの取材に対し、彼はすべての女性用経口避妊薬がこの措置の対象になると述べた。この一大イベントをきっかけに、避妊の自由に向けた長い歩みを振り返る。

---fadeinpager---

1920年：中絶や避妊薬が禁止

第一次世界大戦で多くの死者を出したフランスは、再び人口を増やさなければならなかった。1920年7月31日、議会の国民ブロック（フランスのさまざまな右派政党によって形成された政党連合の名称）の多数派は、「中絶の扇動」と「避妊のプロパガンダ」を抑制する法律を採決し、避妊具の宣伝・販売を事実上禁止した。

---fadeinpager---

1960年：初の経口避妊薬

最初の女性用経口避妊薬は、合成ホルモンをベースにしたもので、1960年代初頭にアメリカで認可され、その後、オーストラリア、ドイツ、イギリスでも認可された。しかし1920年に避妊具が禁止されたフランスは遅れをとった。

---fadeinpager---

1966年：ニュヴィルトの提案

1966年5月18日、ロワール地方のゴーリスト（ド・ゴール主義）議員であるリュシアン・ニュヴィルトは、避妊を自由化し、経口避妊薬を合法化する法案を提出した。この種の法案としては11番目だが、右派議員が提出したのは初めてのことだった。

---fadeinpager---

1967年： 国会での投票

1967年7月1日、ニュヴィルト議員による法案の審議が国民議会で始まった。上院で修正された後、1967年12月14日に国民議会に戻され、12月19日に採択された。

この法案では、経口避妊薬の入手には、処方箋、もしくは処方が禁忌ではないことを記載する名前と期限を明記した証明書が必要とされ、いずれも医師の手元に控えの残る複写式用箋に書かれたものでなければならないと規定されていた。また、未成年者（成人年齢は21歳）の避妊は、両親のどちらかの書面による同意がなければ認められなかった。

---fadeinpager---

1969年～1972年：遅々として進まない施行令

最初の施行令が発表されたのは、1969年2月3日のことだった。施行令の発表は1972年まで続き、リュシアン・ニュヴィルトは、「行政当局」が「意図的に施行令の準備と交付を妨害した」と述べた。

---fadeinpager---

1974年：社会保険制度で払い戻し

ニュヴィルトと新任のシモーヌ・ヴェイユ保健相の尽力により、1967年の法を修正した1974年12月4日の法律は以前を上回るものとなった。ピルは社会保険制度で払い戻されることになり、計画センターは未成年者に匿名で経口避妊薬を無料配布できるようになった。成人年齢が18歳に引き下げられたことにより（1974年7月以降）、18歳から21歳までは親の同意が不要となった。

---fadeinpager---

1975年：人工妊娠中絶の合法化

1975年1月17日に制定された「ヴェイユ法」と呼ばれる法律により、人工妊娠中絶が合法化され、フランスでは一定の条件の下で実施できるようになった。1982年には、社会保険制度の適用が決議された。

---fadeinpager---

1999年：モーニングアフターピル

1999年からモーニングアフターピルや緊急避妊ピル（ECP）が処方箋なしで薬局にて購入できるようになった。2002年からは未成年者に対し、薬局が匿名、および無料で提供できるようになった。