フランス政府対外貿易顧問委員会 委員長ソフィー・シドスが語る、これからの未来に必要なものとは。【仕事が私にくれたもの】
Society & Business 2025.06.27
視点が異なるからこそ、
いい結果に繋がる。

1898年に創立したフランス政府対外貿易顧問委員会(CCE)で、女性初の全国委員会の委員長に選出されたソフィー・シドスは、フランスの老舗セメントメーカー、ヴィカット・グループの取締役も務めている。
「選出された時には驚きました。就任当初は4500人を超える経営者や専門家を擁するCCEを私が率いていく、ということにピンときていなかった気がします。私の会社は12カ国でビジネスをしています。一方、CCEは150カ国以上にわたり活動していて、世界は広い!と実感しましたね。組織の長い歴史上、私が女性初の委員長ですが、何事も変化することが大切だと思うので、これは好機かと」
今年5月にカイロで開かれたフォーラムで講演するソフィー。
彼女が率いるCCEは経営者中心で運営され、組織での活動はすべてボランティアだ。
「皆、専門が異なる分野での経営者だからこそ、各自の経験を生かした助言や活動ができる。さらに政府と緊密で組織の連結も固いため、物事の決断や取り組みも速いのです」
CCEの任務は、フランス政府への助言や自国企業の国際発展の支援、外国企業のフランスへの誘致に加え、彼女が重要だと考えているのが海外でも活躍する若者たちの育成だ。
「学生たちを主にフランス企業とマッチングし、2年間ほどその企業の海外拠点でボランティア経験を積むV.I.E制度を推奨しています。若者は国の未来そのもの。他国の文化に触れ、才能にあふれた人材は国にとっても宝になる。働くうえで多様性を認識することも重要です。男性、女性ともに得意なことも違うし、視点も異なる。違った観点や特技を持った人々が一緒に働くことで良い結果に繋がると私は考えています。フランスは男女比50%。どちらかを中心に据えて会社を運営することは、賢明とは思えませんね」
5人の子どもの母親でもあるソフィー。忙しい日々を乗り切れるのは、家族や部下の助けがあるからこそ。
「今回は大阪・関西万博のフランス館で行うCCEのイベントのために来日しました。忙しい旅ですが、夫に頼まれたウィスキーなど家族へのお土産は買いに行かなくては!」
開幕約1カ月で100万人が訪れた大阪・関西万博のフランス館。「伝統を重んじ、手仕事を大切にするフランスと日本は共通点が多い。ここでイベントができることは光栄です」とソフィー。
*「フィガロジャポン」2025年8月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami