マルニらしさと驚き、メリル・ロッゲが語るブランドを前進させる方法。【仕事が私にくれたもの】
マルニの“第3章”で描く、継承と革新。

ベルギーのゲント出身。アントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学んだ後、マークジェイコブスやドリスヴァン ノッテンに参加。2020年、自身のブランドをスタートした。25年7月より現職。

今年2月にマルニでの初のショーを開催したメリル・ロッゲ。ふたつのことを念頭に置いていたという。
「ひとつは、ブランドのアイデンティティをしっかりと理解していることを示し、ファンが“自分たちの居場所だ”と安心できるものにすること。そしてもうひとつは、驚きを与えること。3人目のクリエイティブ・ディレクターとして、新しい視点を提示したかったんです」
「独自に着こなし、表現する」マルニのコミュニティに向けてアイコニックなバッグやサンダルを再解釈し、アイレットやポルカドット、グラデーションのストライプ、バイアスチェック、パッチワークといったアーカイブを彷彿とさせるモチーフも採用している。
「ブランド創業初期の柄をいくつか忍ばせましたが、配色を変えたりアレンジを加えたりして、“隠しメッセージ”のような形に留めたつもりです。私たちは単なるノスタルジーに浸るつもりはない。マルニの本質や精神を守ることは第一ですが、新しい方法でブランドを前進させたいのです」

色鮮やかなプリントやさまざまな要素の融合を得意とするメリルの作風はマルニのブランドイメージにリンクするが、それは彼女自身も感じているよう。
「デザインは私の中にある純粋な部分から湧き上がってくるもので、自分自身と切り離して生み出すことはできません。幼い頃からずっとマルニを見てきたからか、美意識やデザインへのアプローチが重なり合っている。ありのままの私とブランドの世界観が一致しているという実感があり、本当に幸せです」
“マルニらしさ”の理解を十分に示したその次は、より“驚き”を盛り込んだ内容になっていくのか。今後の展開を楽しみにしたい。
- photography: ©Launchmetrics
- text: Itoi Kuriyama
*「フィガロジャポン」2026年8月号より抜粋