【村重杏奈のゼロから始めるアート入門 vol.1】マリー・アントワネット・スタイルで知った美術館の魅力。

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「感性を刺激して、オトナとしての質を高めていきたい!」最近そんな思いを抱く村重杏奈が、これまで少し遠い存在だったアートの世界を探訪する連載ブログ。アート初心者だからこその自由な視点で、多彩な表現に触れていく様子をお届けします。

フィガロジャポン読者のみなさま、はじめまして。村重杏奈です。
最近私は、お部屋に絵を飾ることに楽しさを感じています。
アートってなんだか、「自分の世界を広げてくれる力」がある気がするんです。

とはいえ、私はかなりのアート初心者。
美術館に足を運ぶ機会もほとんどなかったし、「何をどう見ればいいんだろう?」というところからのスタート。いろんな作品や人、場所と出会いながら、少しずつ知識を増やして、自分なりの楽しみ方を見つけていきたいと思っています。

話題の『マリー・アントワネット・スタイル』へ。

さて今回訪れたのは、横浜美術館で開催中の『マリー・アントワネット・スタイル』

横浜美術館があるのは、みなとみらいの中心地。街歩きやお買い物の延長で立ち寄れる場所にあり、思っていたよりもずっと入りやすい雰囲気!

マリー・アントワネット。その名前は知っていましたが、私の知識といえば、可愛いドレスを着ていた王妃様、というぐらい。
でも今回の展覧会は、私自身も興味のあるファッションが大きなテーマ。「難しいアートより、まずは自分が好きな分野なら、美術館を楽しめそう!」と思ったのです。

会場の入り口では、マリー・アントワネットのアニメーション肖像画がお出迎え。美しさに惹かれてのぞき込むと……時折ふっと微笑んだり、横に視線を送ったり。表情が少しずつ変化していく仕掛けに、心をつかまれました。

まず驚いたのが、マリー・アントワネットの人生。オーストリアに生まれ、ルイ16世と政略結婚のため14歳でフランスへ。14歳って、まだ子どもじゃないですか! 18歳で王妃となり、最後はフランス革命のさなか37歳で処刑されるという、あまりにも波乱に満ちた人生!

最初に入ったのは、マリー・アントワネットの「スタイルの源泉」をたどる、18世紀後半のドレスが並ぶ展示室。スカートの下に「パニエ」と呼ばれる骨組みを入れ、腰の左右を大きく張り出させた宮廷服《ローブ・ア・ラ・フランセーズ》に目が釘付け。
ローブ・ア・ラ・フランセーズ フランス製 1760年代(1770年代に加工) V&A

マリー・アントワネットは、堅苦しい宮廷ファッションのルールにとらわれることなく、常識を覆すスタイルを次々と取り入れていったのだとか。シルクが当たり前だった時代に、軽やかなモスリン(薄手のコットン)を使った服を着たり、やわらかな風合いの小花柄を好んだり。

オペラや舞踏会に出かければ、「今日のアントワネットはこんな服を着ていた」と話題になって、みんなが真似をしていた、という話も学芸員の方に教えてもらいました。
いまの時代でいえば、まさにファションアイコンですね!

マリー・アントワネット旧蔵の天然パール119粒を連ねた3連ネックレスは、なんと世界初公開。激動の歴史をくぐり抜けながら、いまもなお特別な輝きを放っています。
マリー・アントワネット旧蔵の天然真珠とダイヤモンドの3連ネックレス フランス製 18世紀後半 ハイディ・ホルテン・コレクション、ウィーン
18世紀の宮廷では、ボウ(リボン)は、代表的なジュエリーデザインだったそう。
ダイヤモンドのボウ形装飾(3点組) ロシア製 1760年頃 V&A

当時、経済的に苦しい状況にあったフランスは、マリー・アントワネットにファッション産業を盛り上げる“顔”としての役割も期待していたとか。単に流行の服やジュエリーを身につけていた人ではなく、流行そのものを生み出した女性だったわけです。

アントワネットの好んだ様式のドレスやジャケット、また彼女が外交官夫人に贈った譜面台など、多彩な用途の家具を愛好していたことを示す資料が展示されているガラスケース。

美しいものを眺めながら、歴史に触れて。

会場を進んでいくと次第に、マリー・アントワネットの人生がいかに壮絶だったかが見えてきます。

1785年に起きたのが「首飾り事件」。フランス史上でもきわめて高価なダイヤモンドをめぐる詐欺事件で、ジャンヌ・ド・ラ・モットという女性が「王妃がこの首飾りを欲しがっている」とロアン枢機卿に信じ込ませ、王妃の名を使って首飾りを手に入れたそうです。

マリー・アントワネットの評判を失墜させた「首飾り事件」。元凶の首飾りは騒動のなか盗まれ、分解され、売却のためにイギリスへ。ここに出展されているのは、その一部として伝わるダイヤモンド。中央の一粒だけでも約15カラットあるそう!
通称「サザーランド・ダイヤモンド」 オリジナルのネックレス:フランス製 1780年代に加工 V&A

でも実際のマリー・アントワネットは、その首飾りの購入を断っていて、事件そのものには関わっていなかったとか。それなのにスキャンダルだけが大きく広まり、「王妃は国民が苦しんでいるのに、とんでもない贅沢をしている!」というイメージが強くなってしまったそうです。

事実よりイメージがひとり歩きしてしまう怖さ。これって、いまの時代にもありますよね…。

マリー・アントワネットの強い言葉が印象的。展覧会では、王妃の処刑に用いられたとされるギロチンの刃が展示されています。

こうして王妃や王室への不信が高まる中、フランス革命が勃発。国王一家は国外へ逃れようとするものの失敗し、王政も廃止。やがて夫のルイ16世が処刑され、マリー・アントワネットは37歳という若さでギロチンにかけられました。

きれいなドレスやジュエリーにうっとりする気持ちで来たのですが、いつの間にかフランス革命や彼女の人生についても興味が湧き、自分でもちょっと驚き。

250年後のモードにもアントワネットは健在。

この展覧会は、ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)」のシニア・キュレーター、サラ・グラント氏が企画した世界巡回展。歴史的な品々だけでなく、マリー・アントワネットのスタイルが、ファッションや映画、音楽などのカルチャーや現代のクリエイターたちに、どう受け継がれてきたのかまでをユニークな手法で見せてくれます。

ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』で、実際に着用されたドレスや靴も登場。18世紀の宮廷ファッションに現代的な感覚を織り交ぜた、同作ならではのエレガントにしてポップなムードに没入。
展覧会のクライマックスは、モード界を牽引する現代デザイナーたちによる、多彩なドレスが展示された巨大空間。ジョン・ガリアーノが手がけたディオールのイヴニングコート、モスキーノのユーモラスな「ケーキドレス」など、自由なクリエーションに胸がときめきます。
パニエを思わせるシルエットやレース、リボン、パステルカラーなど、マリー・アントワネットのスタイルが、時代を超えて多くのデザイナーたちに新しく解釈されてきたことがわかります。

シルエットや色、レース使いなど、アントワネットが愛した要素を、後のデザイナーたちがそれぞれの解釈で新しい服へと変えているということ。改めて、マリー・アントワネットが“刺激的なひと”として永遠に語り継がれる理由を感じました。

美術館の見方に正解はない!

今回、実は私にとっていちばん大きかった発見があります。

それは、美術館って、もっと自由に見ていい場所なんだということ。

訪れる前は「歴史とか美術の知識がないと楽しめないかな」なんて、構えていたところもありました。
でも実際に来てみると、ドレスを見て「この色合わせが好き」とか、マリー・アントワネットゆかりの食器を見て「このデザイン可愛い」とか、自分の「好き」がどんどん見つかっていったんです。

美術館とは、自分が何を好きだと思うのかに気づける場所なのかもしれません。

アントワネットは自身のイニシャル「MA」を組み合わせたモノグラムを持ち物に刺繍したり、家具の刻印に取り入れたそう。化粧室で使用されていたという椅子にも「MA」のモチーフが。「私のイニシャルもMA!」と気づいて、急に親近感(笑)。
マリー・アントワネットの肘かけ椅子(4点組の1点) ジャン=バティスト=クロード・スネ 1788年 V&A
ニット¥108,900 肩に巻いたニット¥326,700 シアーパンツ¥108,900 中に着たニットパンツ¥225,500/以上アンテプリマ(アンテプリマジャパン) シューズ、ピアス/スタイリスト私物

さあ次は、どんなアートに刺激を受けて、どんな自分に出会えるかな。
たくさんの作品に触れながら、自分なりの感性を磨いていきたいと思いました。

自分を表現することにこだわり、自分だけのスタイルを築き上げたマリー・アントワネットのように。

村重のアート入門ライフは、まだまだ始まったばかり!

マリー・アントワネット・スタイル

会期:〜2026年11月23日(月・祝)
会場:横浜美術館
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
開)10:00〜18:00(11月21日・22日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休)木 ※9月24日、11月19日は開館
料)一般¥2,500、大学生¥1,600、中学・高校生¥1,000、小学生以下無料

問い合わせ
050-5541-8600(ハローダイヤル)

公式サイト:marie2026.jp

特設ショップには展覧会オリジナルグッズが多数ラインナップ。「ハローキティ」や「ベルサイユのばら」とのコラボ商品も。「美術館で図録を買う日が来るなんて、オトナ村重の第一歩!」 展覧会図録 ¥3,800(税込)

衣装の問い合わせ先

アンテプリマジャパン 0120-03-6962

1998年、山口県生まれ。2011年にHKT48の一期生オーディションに合格し昨年2021年末に卒業。持ち前の明るいキャラクターで場を盛り上げたり、ワイドショーでは若者代表としてコメントするなど様々な番組に出演。またモデルとして雑誌やブランドコラボなど多方面で活躍の幅を広げている。

  • photography: Yutaro Yamane(TRON management)
  • styling: Chie gondo
  • hair & makeup: Naoyuki Ohgimoto