道枝駿佑と待ち合わせ。
都内のレストラン――道枝駿佑の到着を待つその空間には、期待に膨らむ胸の高鳴りと少しの緊張が漂っていた。前の現場から移動してきた彼は、ひとりで階段を上がり、席に着く。飾らぬ自然体の佇まいが、静かに周囲を包み込んでいた。
仕事が好きで、これが僕のライフワーク

デビューから現在まで、アイドルとしての活動を軸に歌唱やダンス、俳優、モデルと活躍の幅を広げてきた。「こんな役者になりたい」「こんな仕事がしたい」と、思い描いてきた未来。その景色のなかに、いま、道枝駿佑は着実に立っている。
「夢のひとつでもあった、ファッションブランドのアンバサダーになれたのはとても光栄なことでした。2年前にヴァレンティノさんとのご縁が始まって、どんどん繋がりが深くなり、いまこうやって形になりました。10代の頃に初めてヴァレンティノさんのローファーを買ったことを鮮明に覚えていて、あれからもう5年が経ったのかと、感慨深くなる時があります」
ファッションとの向き合い方や洋服の好みも少しずつ変化している。
「ファッションの撮影やお仕事は、背筋がピンと伸びる感じがありますね。だからこそ、自分のファッションのスタイルも意識的に変えていったところはあります。『もう少し私服もおしゃれにしなきゃ』みたいな(笑)。10代の頃は黒や白を選ぶことが多かったのですが、グレーやベージュなどニュアンスのある淡い色にも挑戦するようになりました」
撮影中、目を引いたことのひとつが、道枝の手の美しさだ。手の表情の豊かさが、タサキのリングの煌めきをいっそう引き立てる。「日頃から手のケアをしている?」と尋ねると、「あまり意識はしてなくて、爪を整えているくらいで、全然です(笑)。たまにハンドクリームを塗るくらいですかね」と屈託のない答えが返ってきた。
銀座の老舗洋食店で行われた今回の撮影。食の楽しみ方について尋ねると、
「フォーマルなレストランに行く機会は普段はあまりなくて、外食をするのは友だちと食事をする時くらい。焼き肉やステーキなど、肉系が多いですね。元気が出る食べ物は油そば。だけど最近よく頼むのは、串カツ。デリバリーでも串カツをよくオーダーするんです。付属のソースは小鉢に入れて、二度漬けし放題。好きなネタは、チーズとエビと、山芋です(笑)」
大阪から東京、そしてパリへ重ねていく食の旅路。
主演映画『うるわしの宵の月』には、下北沢に実在するカレー屋「茄子おやじ」が登場する。
「僕には少し辛かったので、特別にマイルドに調理してくださって。撮影中にたくさんいただきました」
パリを訪れた際にルーヴル美術館近くのカフェで食べたクロックムッシュも記憶に残っていると言う。
「すごく長くて、なんだかおもしろかったんですよね。で、食べたらおいしくてハマりました。……僕ひとりではなかなか外食する気にならないんですけど、都内にはおしゃれなカフェがたくさんあるので、気になっているんです。でもひとりで入る勇気がなくて」
そんなことをポツリポツリと話す瞬間は、等身大のままの24歳の青年の表情をしていた。そんな道枝に「自分をどういう人間だと分析する?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「変な人です」
即答だった。

「変わってるね、とよく言われるんです。たとえばそうやな……気にしいなんですよね。気にすること自体は別に変なことではないけど、たまに、過剰に心配しすぎる時があるみたいで。変だと言われます」
“気にしすぎる”というその言葉とは裏腹に、仕事の場では驚くほど揺らがない。今回の撮影でも、ある1枚のカットにじっくり時間をかけ、さまざまなポージングを求められた。その一つひとつをフラットに受け止め、リクエストにさらりと応じる。その姿は、悠然と構えて見えた。
「やりがい」を失うのが怖い、それほどに仕事に夢中。
「ファッションの仕事も、ひとつずつ、階段を上ってきた感覚です。それがいまに繋がっていると思うと、やってきてよかったなと実感します。俳優業のほうは、ドラマ「母になる」という作品に初めて出演させていただいたからいまがあると思っていて、この経験がなかったら、俳優としての僕はいないんじゃないかなと思います。これからも地道に、着実に経験を重ねていきたいと思っています」
来年2月には主演映画『リバイアサン』が控えている。俳優として、順調に経験も出演作も重ねているが、臆してしまうこともあると言う。
「まだまだできないことだらけだと思います。僕自身、あまり感情の幅が広い人間ではないので。感情の種類がある役は、まだ力不足なのかなって」
本人曰く、喜怒哀楽で言うと「怒」と「喜」がほとんどないのだとか。
「楽しいはあって、哀しいもある。だけど怒りは、小さい頃からほぼないです。なぜないのか、自分でも不思議。お芝居の中でその幅を広げていくことはできるかもしれないけれど、感情を表現するには実体験が必要じゃないですか。でも、ないならないで、想像でやってみるしかない」

トップ¥374,000、パンツ¥286,000、バングル¥189,200/以上ヴァレンティノ ウエストに着けたバッグ¥347,600、スニーカー¥127,600/ともにヴァレンティノ ガラヴァーニ(以上ヴァレンティノ インフォメーションデスク)
ではアイドルとしての道枝は、どんな景色を思い描いているのだろう?
「グループ(なにわ男子)として、もうひと回り、大きくなりたいと思っています。ステップアップをしていきたい。課題を改善しながら先々を見据えて、新たな勝負をかけていきたいです」そう力強く語り、続けた。
「学生時代はこれといって趣味がなく、長く続けられるものがなかったんです。でも、デビューをしてからは、ずっとこの仕事が好きで、楽しく取り組めている。歌番組に出させていただいたり、ライブをしたり、これが僕にとってのライフワークなんです。先々を考えた時、もしこのやりがいを失ってしまったら怖いな、なんて思うこともあるけれど、いまは怖さも不安もなく、夢中で楽しんでいます」
これからも地道に、
着実に経験を重ねていきたい
最後に、これから5年、10年先へ、いまの自分からひとつだけ持っていけるとしたら何を選ぶか、聞いてみた。
「何だろう?(しばらく考えて)頭皮の強さかな? 美容師さんに言われたんですけど、僕、頭皮が強いみたいです(笑)」
Shunsuke Michieda
2002年7月25日生まれ、大阪府出身。なにわ男子のメンバーとして21年にCDデビュー。俳優としての主な出演映画には『今夜、世界からこの恋が消えても』(22年)、『青春 18 × 2 君へと続く道』(24年)、『君が最後に遺した歌』(26年)がある。26年10月23日公開の『うるわしの宵の月』、27年公開の『リバイアサン』が控えている。
@michieda_725_shunsuke
ヴァレンティノ インフォメーションデスク
03-6384-3512
https://www.valentino.com/ja-jp/
タサキ
0120-111-446(フリーダイヤル)
https://www.tasaki.co.jp/
- photography: Ryousuke Hoshina
- styling: Mayu Yauchi
- hair: Jun Goto(Republish-ota office)
- makeup: Suzuki
- text: Akane Domae
- collaboration: Ginza Mikawaya
*「フィガロジャポン」2026年12月号より抜粋