update:2024/05/24

通りから見る限り、ホテルが隠されているとはわからないオー・ラ・ラ。
“スピークイージー” というと普通は表からは気がつかない隠れ家バーのこと。でも、バスティーユ広場のすぐ近くにオープンした新しいホテルは通りに面して入り口がなく、1階のバーの書棚がすーっと開いて秘密の入り口から客室に上がるという “スピークイージー・ホテル” である。この思いっきり遊んだ三ツ星ホテルの名前はオー・ラ・ラと、これまた意表をついている。というのも、”オー・ラ・ラ” は “あらあら” とか “たいへ~ん” という感じにフランス人がしょっちゅう口にする軽い感嘆詞のようなものなのだから。
で、書棚の裏に隠された客室に上がるにはエレベーターはなく、階段のみというのもホテルとしてはちょっと驚き。荷物の少ない短期滞在にはいいだろう。あるいはオペラ・バスティーユで遅い時間に終わる公演を観た晩や、翌朝まで営業している1階のバーでつい飲み過ぎてしまった……という時にも。
6フロア合計16の客室。半数は広々としたバスティーユ広場が窓の外に眺められ、さほど広くない部屋に開放感をプラスしている。内装はシンプルかつ機能的で、明るめの色でまとめられていて目に快適だ。オーナー(ひとりはバー経営、もうひとりはホテル経営という兄弟)が、バーとホテルのインテリアを任せたのはOTSOという名で活躍するアンヌ・レイメルジーとランスロー・ルトゥリエによるデュオ。部屋に入るとベッドとソファベンチがステップ2段上がった場所にあるのがおもしろい。オーク材と白いコリオン(鉱物と樹脂をミックスした堅牢で美しい素材)を用いた洗面台は職人の作業台風である。このデザインはバスティーユ広場から12区にかけて、かつて多くあった様々な分野のアトリエで仕事をしていたアルチザンたちへのオマージュだという。
バーの営業は17時から翌朝2時まで。そのスペースが午前7時からは宿泊客以外にもオープンのカフェに変身する。スピークイージーという発想も楽しいホテルだし、知っておいて便利に活用したい。

バーの一角の書棚が開くと……

ご覧のとおり、客室への階段が現れる。

部屋の広さは14〜20平米。料金はシーズンで変わるが90ユーロ〜。

黒い電話機は21世紀生まれの客たちにはさぞ珍しい存在だろう。

清潔感あふれる作業台風洗面所。ロクシタンの品を使用している。

バー。カクテルは12ユーロ〜。