モナコのシャルレーヌ公妃、公務復帰への長い道のりを振り返る。
Celebrity 2025.06.04
長い低迷期を経て、健康問題や深い心の苦しみに悩まされていたミステリアスなモナコのシャルレーヌ公妃が、ついに輝きを取り戻し、意欲に満ちて公の場に復帰した。アルベール2世大公の妻である彼女は、いかにして立ち直ったのだろうか?

2025年5月25日(日)、F1グランプリに合わせて開催されたガライベントで、シャルレーヌ公妃は、アルベール2世大公の白いスーツと見事に調和したアシンメトリーなロングドレスに身を包み、視線を釘付けにした。この日、モナコのサーキットでは世界最高のドライバーたちが競い合っていた。夫のそばで、シャルレーヌ公妃は瑞々しい肌を見せ、ナチュラルなメイクが彼女の繊細な顔立ちを一層引き立てていた。これらの写真を見ると、わずか4年前にシャルレーヌ公妃が人生で最も苦しい時期を過ごしていたとは、とても想像できない。

肉体的・精神的疲労
ジャック公子とガブリエラ公女の母であるシャルレーヌ公妃は、実に困難な道のりを乗り越えてきた。さかのぼれば、悪夢の始まりは2021年の出来事だった。アルベール2世大公の妻である彼女は、サイを保護する任務で訪れていた南アフリカで、耳鼻咽喉領域の重い感染症にかかった。この健康上の問題により、彼女は母国に数ヶ月滞在することを余儀なくされ、そこで何度か手術を受け、そのうちのいくつかは全身麻酔で行われた。
元オリンピック水泳選手である彼女は、精神的にも肉体的にも疲れ果てていた。ふたりの子どもたちもアルベール2世大公もシャルレーヌ公妃に会いたがっていたが、憶測が膨らむ一方だった。感染症のため南アフリカに足止めされていたシャルレーヌ公妃は、モナコでの結婚10周年を祝うことができなかった。「もしや、プリンセスはアルベール2世大公と離婚寸前で、ロック(モナコの愛称)に戻らないのではないか?」とゴシップ紙は騒ぎ立てた。
宮殿の公式発表では、「シャルレーヌ公妃は飛行機に乗る際の気圧の影響によるリスクから、搭乗できずにモナコに戻れない」と説明していたが、なかなか納得を得られなかった。
スイスのプライベートクリニックに滞在
6か月の不在を経て、シャルレーヌ公妃は2021年11月にようやくモナコ公国に戻ったが、その滞在はわずか数日間に過ぎなかった。アルベール2世大公の妻として、表面上は元気な姿を見せようと努力したが、彼女は決して「すべてが順調」とは言い切れなかった。彼女が経験した試練は深く心に刻まれ、精神的な健康状態は最悪の状態にあった。まるで何事もなかったかのように普通の生活に戻ることはできず、彼女は現実を直視し、宮殿からの重い責務を一旦離れて、治療に専念する必要があると認めた。「彼女は限界を超えており、公務や日常生活、さらには家庭生活さえもこなすことができなかった」と、入院からしばらくしてからアルベール2世大公自身が語った。
そこで、元オリンピック水泳選手のシャルレーヌ公妃は、特に豪華な環境で知られるスイスの専門クリニックに身を置くことになった。『デイリー・メール』の情報によれば、モントルー近郊にあるこの施設は、1週間の治療に少なくとも4万3千ユーロ(約700万円)を支払える裕福な顧客たちを受け入れている。シャルレーヌ公妃はそこで4か月間療養した。
モナコに戻ると、聖デヴォート祭などモナコの重要なイベントを数多く欠席していたプリンセスは、すぐに公務を再開した。2022年4月30日には、モナコEプリ(電気自動車レース)の開催に合わせて、初めての公式の場に姿を見せた。
このメディア復帰にあたり、シャルレーヌ公妃は、自分の一挙手一投足が注目され、服装や髪型まで細かく分析されることを心得ていた。プラチナブロンドのピクシーカットにダークグレーのスーツ姿で現れた。アルベール2世大公との別居説がいまだにささやかれていることを意識してか、夫に対して愛情を示す仕草を繰り返し、双子の子どもたちジャック公子とガブリエラ公女にも優しく接する姿を見せた。長い間続いた憶測の後に現れたこの「仲良し家族」のイメージは、メディアやファンを安心させた。嵐は過ぎ去り、シャルレーヌ公妃はようやく深く息をつくことができたのである。

---fadeinpager---
混乱の時期
2022年12月、シャルレーヌ公妃は健康状態について、フランスの新聞『ニース・マタン』のインタビューで口を開いた。「最初にお伝えしたいのは、ここ数年の私の状態と比べて、今は本当にずっと良くなっているということです」と語り、「痛みもだいぶ和らぎ、エネルギーも戻ってきました。いまも回復の途中で、自分を整えている最中です」と明かした。とはいえ、妃は慎重な姿勢を崩さず、「まだ少し時間はかかると思いますが、今は幸せです。未来を見据え、日々、一歩ずつ前に進んでいます」と語り、「私の家族、そして愛する人たちこそが、私の支えなのです」と結んだ。
この3年間、シャルレーヌ公妃は人生の困難な時期を乗り越えようと懸命に努力し、とりわけ公務に全力で取り組んできた。2025年はその過程における転機となった。元オリンピック水泳選手である彼女は、現在では公の場に常に姿を見せ、さらにモナコ公国の代表として新たな役割も担っている。彼女は5月12日(月)、地元メディアとの会見では、「動物保護協会(SPA)の会長になり、それは私にとって大きな誇りの瞬間でした。そしてラグビー連盟の会長も務めています」と語った。控えめでミステリアスなモナコ公国のプリンセスは、幸せに満ちあふれ、充実した姿を見せながら、これまで知られていなかった強さと決意を世界に示している。
From madameFIGARO.fr
text: Solene Delinger (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi