【GORA KADAN FUJI/静岡】圧巻の富士山の景色と過ごす、贅沢な滞在。
富士山麓に招かれた旅館「GORA KADAN FUJI」、
その特別な姿に未来が透けて映ります
「強羅花壇」と言えば、まず、箱根強羅という日本屈指の避暑地に佇む静謐な日本旅館を思い浮かべます。美しく緑濃い箱根の山々に包まれ、その密やかな趣の高級日本旅館は今も健在です。強羅という舞台で数多(あまた)の歴史的名シーンを紡ぎ、今尚、色褪せない魅力を讃える「強羅花壇」。その原点の名を冠に継ぐ2軒目として、この記事の主役となる「GORA KADAN FUJI」がついに誕生しました。

霊峰富士の麓に新たに誕生した「GORA KADAN FUJI」についてご紹介をする前に、ほんの少しだけ、箱根で輝き続ける「強羅花壇」の原点となるストーリーに触れましょう。読者の皆様にもずっと分かり易く、老舗のDNAを現代風に昇華し、富士の麓で進化した瀟洒な旅館に心躍らせることでしょう。
箱根強羅の「強羅花壇」の起源は明治時代にまで遡ります。当時、地球の裏側の欧州では、印象派やキュビズム、アールヌーヴォーなど、世代は19世紀末の華やいだベル・エポック時代でした。日本では、6代目閑院宮家の当主である載仁親王が、その当時の華麗な時代を誇っていたフランスに留学を成し、ヨーロッパ貴族が長い夏の休暇を避暑地で過ごすという‘ライフスタイル’の中で、その当然のような日常のワンシーンをご自身の目で見て知ることになります。載仁親王は、暑さを避け避暑地に向かう‘理に適う’貴族たちの休暇のごとく、日本でも清涼感溢れる山々と豊かな温泉、美しい自然に包まれた‘強羅’を選び、1930年、箱根の一等地である強羅に‘別邸’を構えたのです。その別邸がやがて姿を変え、後の1948年、閑院春仁が日本旅館「強羅花壇」として創業。ここからが迎賓館となった旅館「強羅花壇」の華麗なるストーリーが始まるのです。
世界も注目する、その特異なロケーションにも惹かれます
光陰矢の如し、2025年7月20日、「強羅花壇」は、未来を見据え進化を遂げる2軒目の日本旅館を開業しました。ロケーションは世界文化遺産である霊峰富士の麓と言うまたとない場所です。‘富士に選ばれし唯一無二の旅館’として「GORA KADAN FUJI」が誕生し、世界に向けて扉を大きく開きました。

驚くことに「GORA KADAN FUJI」は、日本の象徴である富士山の裾野からわずか12㎞という至近距離に佇んでいます。訪れた快晴の当日、宿の車寄せに到着した瞬間に、想像をはるかに近距離に聳える富士の姿に息を呑み、言葉を失いました。旅館が提供した公のリリースにはこうも書かれていました。「富士山を真西に仰ぎ見る奇跡のランドスケープは、この国に古来より伝わる「西方浄土」の思想を現代に蘇らせたものです」と。富士山に纏わる神聖なストーリーも数多あるに違いありません。
いざ旅館の中に誘(いざな)われると、レセプションに差し込む明るい日差しや、どの窓からも見晴らせるようにデザインされた大きな窓、そしてそれぞれの窓がまるで額縁のように全姿を魅せる富士が印象的でした。原点である「強羅花壇」の精神性を受け継ぎながら、今に相応しいすっきりとモダンな空間に昇華された高級感と、ミニマルなデザインが印象的です。館内のどこからも見晴らせる富士の姿は刻一刻と色を変え、雲の変化を1日中でも眺めていたいと思うほど神秘の自然を目の当たりにできました。


富士山を真西に仰ぎ見る敷地は約50000平方メートル、その敷地内に客室数はわずか42室です。旅館の建物には厳選された高品質の建築資材が使われ、石庭には富士の石を、本土壁はこの土地の土を使い、天城山から運んだという約三千年前の神代杉のカウンターなど、ここそこに謂れや歴史物語が宿っています。「強羅花壇」に設えてある天然石の沓脱石(くつぬぎいし)は、同様に富士の旅館にも置かれています。沓脱石には日本人の優しさが宿り、靴の脱ぎ履きや昇降の踏み台として、日本家屋では伝統的に今尚使われる石です。蛇足ですが、「古来、日本人は大地を穢れ(ケガレ)と考え、家を神聖なる場と考え、沓脱石は「聖なる場との境界を示す結界」だったなど、日常の伝統に隠された数々の尊い意味を詳しく知らず、宿を通して随所で学ぶことになりました。

「強羅花壇」のシンボルである柱廊は「GORA KADAN FUJI」にも継承され、幅3m・高さ6m・全長36mの空間が宿の中心を貫いています。箱根・富士ともに国立公園内であることから、本来は許可されない規模ですが、建築家の荻津郁夫氏らが「自然を読み解いた空間設計が環境保全に貢献する」と訴え、特例として実現した貴重な空間となりました。

旅館内には敷地内の源泉から湧出する天然温泉にも癒され、ゲストが大いに楽しめる豊かな食材を使った日本料理も大きな滞在の楽しみです。私は宿泊当日の夜、カウンター割烹で旨味の際立つ和食をいただきました。オープンなカウンター内で鰹節を削る音や、出汁の香り、焼き台の熱気までも臨場感あふれるシーンが続きます。ここでは、富士の恵みを活かした一期一会の一皿も、目の前で仕上げるワクワク感も料理の一部となっているようです。


食事のスタートに供されたのは、小さな器で削ったばかりの‘鰹節一番だし’でした。カウンター割烹は、薫り高く旨味の豊かな出汁を味わう贅沢から始まりました。料理長は「出汁がすべての料理の基本ですから…」と。料理は薄味でコクと旨味が口の中で溶け合い、食材そのものの味を引き立てる日本料理ならではの繊細な味付けでした。

こうして世界的に知られた偉大なパワースポット‘富士’に抱かれ、温泉に浸かり、上質な食材の料理に舌鼓の滞在は感動的でした。建物から飛び出すように造られた「富士見テラス」からの富士山の様子は、自分だけの山と対峙するような圧巻の迫力があります。


大自然との一体感と心の解放、さらにウェルネスサンクチュアリ「KADAN SPA」では、癒しのトリートメントを受けました。私は、日本固有の柑橘原種「橘(たちばな)」のオイルを用いるシグネチャー・ボディトリートメントを選び、ウトウトと眠りの世界と現実を行ったり来たり…。富士の麓で非日常感たっぷりのリトリート滞在となりました。
GORA KADAN FUJI
静岡県駿東郡小山町須走110番地1
Tel:0550-75-5551
https://www.gorakadan.com/fuji/