アルゼンチン出身のマルチクリエイターが考える、楽しい部屋の作り方。
Interiors 2026.03.05

デザインやインテリアの世界における新たなトレンドとは? それは楽しさ! しかも一過性の流行ではなく、このフィールグッド(Feel Good)な暮らし方は、すでに時代を超える価値として定着しつつある。クリエイターやアーティスト、デザイナーたちは、鮮やかな色彩やパターン、感覚的なアプローチを通して感情を探求し、それを一つの哲学として打ち立てている。若き現代アーティストの作品を通して、喜びを部屋にもたらす工夫をご紹介。
vol.3 by アンドレス・ライシンガー
"楽しさ、それは子ども時代への回帰"

スペインを拠点に活動するアルゼンチン出身のアーティスト、アンドレス・ライシンガーは、好奇心を呼び覚ますこと―それこそが喜びの源だと考えている。photography: Andrés Reisinger
若き現代アーティストでありデザイナーとして高い注目を集めるアンドレス・ライシンガーは、デジタル作品と実体のある作品との境界を巧みに曖昧にしている。スペインを拠点に活動するこのアルゼンチン出身のマルチクリエイターは、ピンクを自身の創作のシグネチャーカラーとしている。
「楽しさは最初から目指していた目的ではありませんでした。私がまず関心を持っているのは、空間やオブジェがどのように感覚を呼び起こすのか、そのあり方を観察することなのです。もし私の作品が喜びを呼び起こすのだとしたら、それは好奇心を目覚めさせ、初めて何かを目にした子どものように、新鮮なまなざしで世界を見ることへと誘っているからなのかもしれません。」
▸彼の喜びの源
「ピンクは私にとって特別な色。やわらかさと躍動感を併せ持ち、親密でありながら空間演出的でもあるという、唯一無二の魅力があります。私の《オルタンシア》チェアの場合、ピンクという色が、心地よさとどこか不思議な感覚、オーガニックなものと人工的なものとのあいだにある曖昧さを、いっそう際立たせています。その質感は花と動物のあいだにあり、まるで生きているかのような表面をしています。ピンクという色には、どこか親しみと夢の境界に立つような要素があるのです。

ピンク、それはアンドレス・ライシンガーの感性を震わせる色。photography: Andrés Reisinger
▸彼からのアドバイス
「自然光が空間の中でどのように作用し、時間帯によってどのように変化しながら質感や色を変えていくのかに目を向けることが大切です。それは、どの家具を、どの場所に置くかを決めるための出発点になります。個人的な思い入れのある装飾アイテム、記憶を呼び起こしたり、特定の感覚を目覚めさせたりするものを取り入れることも、楽しさを育む一つの方法です。そうすることで、空間の中に美しい物語を語ることができるのです。インテリアにおいて最も悲しいのは、トレンドに従い、流行だけを基準に物を選んでしまうこと。なぜなら、感情的な満足感を最も与えてくれる空間とは、既成の型をなぞったものではなく、一人ひとりの感性を映し出すものだからです。また、住まいを自分とともに成長させ、変化させていくことも大切です。すべて知り尽くしていると思っていた空間が、なお私たちを驚かせてくれる、そんな余地を残しておくべきなのです。」
From madameFIGARO.fr
text: Zahra Muyal (madame.lefigaro.fr)







