【憧れの家作り】植物、アート、家具......好きを重ねた東京の一軒家。

Interiors 2026.04.04

家を買う、建てる、建て直す――家を形作ることは暮らし方そのものを考えること。間取りも内装も自由な一方、一筋縄ではいかないからこそ愛着も増すというもの。実際に家作りをした人を参考に、自分らしいマイホームを実現しよう。2026年の新しい生活、まず「家」から始めてみませんか。


憧れの家作り case 5
JAPAN ― TOKYO
神 真美

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よりプライベートなムードが漂う造りの3階。ナナフシのように有機的な造形が印象的なセルジュ・ムーユの照明と植物を主役に。

Mami Jin
パサンド バイ ヌキテパ オーナー
ロンドンで出合ったインド製ドレスの美しい手仕事に魅了され、2003年ヌキテパを創業。20年に衣食住にまつわるセレクトショップ、パサンド バイ ヌキテパをローンチし、全国に7店舗を展開。https://nequittezpas.jp/

パサンド バイ ヌキテパのオーナー、神真美(以下、MAMI)の自宅は、3階+屋上を擁する一軒家。閑静な住宅街の一角に構えた247平方メートルの空間には、ライフワークである旅と、情熱を注ぐ建築やアート、フォークロアのエッセンスが共存している。構想を重ねること約1年。夫とともに、暮らしと仕事の境界がゆるやかに溶け合う、そんな空間を思い描いてきた。

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ホテルのロビーを思わせるエントランス。

「職場へのアクセスのよさはもちろんのこと、高台にあって気の流れがよく、隣家の庭先のグリーンが素晴らしかった。スリランカの建築家ジェフリー・バワの、土地の自然と一体化した建築に憧れがあり、隣家の木立に溶け込むような家という漠然としたアイデアが湧きました」

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ダイニングからひと続きになっている2階のリビングと書斎のフロア。北側の窓にはプライバシーを保ちつつ採光を調整できるジャン・プルーヴェのサンシャッターを配した。さまざまな土地の民芸品を飾っている。

夫とふたりで暮らす家に求めたのは、家のどこにいても互いの気配を感じられる仕切りのない構造と、外と室内がゆるやかに繋がる開放的な空間、長年コレクションしている家具やアート作品、民芸品を生活に溶け込ませる余白。その漠然としたアイデアを形にしたのは、ヌキテパの店舗やオフィスの設計を手がけている建築家の山内玲子と左官アーティストの本田匠のコンビだ。

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隣家の紅葉を借景する2階のテラス。ダイニングキッチンとテラスがシームレスに繋がるよう、段差をなくして同じ石材を敷いた。

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テラスと同じ白河石のタイルを敷いたダイニングキッチン。床を飾るのはトルコの古いキリムの端だけを切り取り、パッチワークしたもの。

夫妻は長年、海外のさまざまな名作建築やホテル巡りを趣味としてきた。そんなふたりの嗜好を感じさせるのが、あちこちにちりばめられたホテルを思わせる素材使いや意匠、空間デザイン。たとえばエントランスに設けたのは、光庭を切り取るピクチャレスクウィンドーと庭を眺めるための椅子をあしらった贅沢な空間。あえて特定の用途を設けておらず、どこかホテルのロビーを思わせる。階段を上がった2階は、ベランダとフラットに繋がるダイニングキッチンとリビング、書斎が連続する大空間。各スペースの用途に合った家具やラグを置き、視覚的な仕切りとしている。続く3階はよりプライベートな空間で、リビングとベッドルーム、水回りをレイアウトした。洗面所からバスルームへ続く通路にはアーチ形の開口部をあしらい、深みのある色合いのヘリンボーン床をアクセントに。ホテルライクな意匠に暖かみを添え、自分たちらしく取り入れた。

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バスルームの入口には左官の仕事ぶりが美しいアーチを設けて。床はMAMIの故郷である、青森県の十和田石を選定。保温性と速乾性に優れる。

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生活に溶け込む名作家具。

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ヴィンテージのウォールシェルフに宮島達男のLEDアート作品を合わせた3階のコーナーは、夫妻の審美眼が光る。

「家具は使われてこそ真価を発揮する。ただ飾るだけなんてナンセンス」というMAMIは、スペースや構造上の問題からこれまで出番のなかった家具たち――シャルロット・ペリアンのダイニングテーブルや3階リビングに設置したヴィンテージのウォールシェルフ――に役割を与えることを、新築のテーマのひとつに掲げた。名作家具を「見て、飾って、使って生活を楽しむ」べく、家具ありきで考えられた間取りでは、テラスの植栽や窓辺に飾ったグリーン、庭で摘んだ花々が、家具やアート作品を生き生きと見せてくれる。

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ホームパーティの際に使用する2階のダイニング。自社の端切れを活用して作ったカラフルなチェアパッドが食卓周りのアクセントに。

もともと友人を招くことが好きというMAMIだが、自宅が完成して以来、ホームパーティの頻度はさらに高まり、ヨーロッパ仕込みのもてなし術も進化中だ。クリエイター、建築家、都市開発や不動産業者......国籍もジャンルも多彩なゲストの顔ぶれに応じて設えを変え、旬の食材を調達し、食卓を整える。会話が弾む賑やかな空間から、和やかなコミュニティが生まれている。

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クロード・モランの手吹きガラスのボトルとプリミティブなアボリジナルアートを合わせたコーナー。庭で採った花や枝物を飾って季節感を添えている。

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋

photography: Akemi Kurosaka text: Ryoko Kuraishi

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