パリ左岸、女性クリエイターの新しい3つのブティック。
Paris 2019.11.15
パリ市内、レストランやカフェなど食関係のニューオープンが目立つのは相変わらず。でも、ファッション・ブティックも負けてはいない。この秋、サンジェルマン界隈にオープンした3軒のブティックを紹介しよう。徒歩で回れる距離にあるので、女性クリエイターによる女性のためのモードクルーズを。
La Prestic Ouiston
ラ・プレスティック・ウィストンならではのプリントを。
ローランス・マエオによるラ・プレスティック・ウィストンの初ブティックがオープンしたのは、カフェ・ドゥ・フロールからも近いドラゴン通り。中央に大きなテーブルを置いたオールドローズ色のほの暗い空間に、ブランドの特徴をなすオリジナルプリントの組み合わせがユニークなプレタポルテが浮かび上がる。個性的なプリントのシルク、ロロ・ピアーナのこれ以上ないほど優しい手触りのアルパカ……極上素材のラ・プレスティック・ウィストンの服はすごく買いやすいという価格ではないけれど、欲しいとなったら入手せずにはいられない魔力を秘めている。時間をかけて選びたい。
中庭からの自然光が射しこむ奥の小さなスペースは、白い壁の別世界だ。通りの名前にちなんだドラゴンモチーフのカーテンに覆われた試着室があり、またプリントのクッションやプレードといったアール・ド・ヴィーヴル関連のアイテムを販売。




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Roseanna
ロゼアナのノンシャランなパリ・シックを。
ラ・プレスティック・ウィストンから徒歩2分の場所に、アンヌ=フルール・ブルドゥウーがデザインするロゼアナのパリで3つ目にあたり、左岸では初のブティックがオープンした。かつてソニア・リキエルの子ども服を販売していたブティックで、見事な木の螺旋階段はそのままにロゼアナに似合う空間が作り上げられた。試着室のハンガー掛けに体育館の肋木が活用され、革のボールのようなスツールもどこか体育館を連想させる、遊びのあるインテリアである。
木が主体の落ち着いた色合いに、ジョエ・コロンボの名作のひとつである椅子Universaleのグリーンがアクセントをなしている。2つ目のヴィクトール・ユゴー通りのブティック同様、アンヌ=フルールが内装デザインを任せたのは、ステファニー・リゼだ。


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Alexandra Golovanoff
アレクサンドラ・ゴロヴァノフでトリコを。
ロゼアナから、グルネル通りをさらに進んで徒歩5分。アレクサンドラ・ゴロヴァノフのブティックに到着する。ファッションジャーナリストとして活躍する彼女は、パリコレでスナップされることが多々あるので、日本人にもおなじみの顔だろう。彼女は2016年秋冬コレクションでカシミアのミニコレクションを発表し、この秋に初ブティックを7区にオープンしたのだ。
「着る人を美しくするトリコ」というのがブランドのスローガンで、着心地の良さと鮮やかな色使いが特徴。シーズンを重ね、フォルムと色へのこだわりは保ちつつ、最近はアイテムも増え、また素材もカシミアから広がっている。ブランドの最高のミューズはアレクサンドラ自身。彼女のようにさりげなく、おしゃれに着こなしたい。
réalisation:MARIKO OMURA