絶景スポットも! サンジェルマン=アン=レ城の色褪せない魅力とは?
Paris 2025.06.05
Domaine National Saint-Germain-en-Laye
サンジェルマン=アン=レ城〈サンジェルマン=アン=レ〉
市民が愛する城の庭園は、眺望も自慢。
ルネサンス様式の壮大な姿を見せるシャトー=ヴィユと広々としたフランス式庭園。
サンジェルマン=アン=レの地下駅から地上に出ると、目の前にルネサンス様式の巨大な城が現れる。右手には円柱が並ぶネオクラシック様式のサンジェルマン教会が佇み、一瞬タイムスリップしたような感覚に襲われる。
ここは、パリ西側の郊外にいくつかある王家ゆかりの町のひとつ。太陽王ルイ14世が1682年にヴェルサイユに居城を移すまで、何代にもわたってフランス王が好んで滞在した場所として知られている。いまもその雄大な姿を残すのは、ルイ6世が12世紀に建て、フランソワ1世がルネサンス様式で拡張したシャトー=ヴィユ(旧城)。庭園の奥にはルイ14世が誕生したシャトー=ヌフ(新城)があり、その一部はパヴィヨン・アンリ・キャトルという名のホテルになっている。宮廷の華やぎをヴェルサイユに奪われた城は、ナポレオン3世によって19世紀に考古学博物館に姿を変えたが、美しい中庭やルイ9世が建てたチャペルはいまも往時の姿を偲ばせる。この町の歴史を紐解けば、そこに数々の王の名前が刻まれていることがわかるはずだ。
シャトー=ヴィユの中庭。見学するには考古学博物館への入場が必要。
12世紀から発展した旧市街は、サンジェルマン教会の裏側に広がる。王城のお膝元でありながら、この町にはヴェルサイユのような気取りがない。18世紀の建物に囲まれたマルシェ・ヌフ広場に出る週3回の市場を中心に、飲食店や商店が軒を連ねる旧市街には市民の日常の暮らしが息づいている。
城の庭園は、みんながジョギングや犬の散歩に訪れる市民の公園。静かな住宅地には、庭園とチャペルの美しさで知られるナビ派の美術館がある。その昔、フランス王たちが狩りを楽しんだサンジェルマンの森はハイキングコースが充実し、田舎の家の滞在をコンセプトにした宿もできたばかり。パリから30分。ちょっと足を延ばして、パリジャンが憧れる田舎の週末気分をのんびりと味わってみてはどうだろうか。
城壁に座っておしゃべりする学生たち。
全長1945mのグランドテラスからは、60m下にセーヌ川が見渡せる。王たちが暮らしていた時代には、パリとの間を蛇行して流れる様子がもっとクリアに見えていたのかも!?
旧市街は月、火、金曜日にはマルシェで賑わう。
サンジェルマン=アン=レ城〈サンジェルマン=アン=レ〉
place Charles de Gaulle 78100 Saint-Germain-en-Laye
RER)A線 SAINT-GERMAIN-EN-LAYE
考古学博物館
開)10:00~17:00
休)火、1/1、5/1、12/25
料)一般6ユーロ
庭園
開)8:00~17:00(1月、2月、10月~12月)、8:00~19:30(3月、4月、9月)、8:00~20:30(5月~8月)
無休
入場無料
https://musee-archeologienationale.fr/
★Google Map
*「フィガロジャポン」2025年5月号より抜粋
●1ユーロ=約163円(2025年6月現在)
●日本から電話をかける場合、フランスの国番号33の後、市外局番の最初の0を取ります。フランス国内では掲載表記どおりにかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のRERはイル=ド=フランス地域圏急行鉄道網の駅を、TERは国鉄の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。ご了承ください。
photography: Taisuke Yoshida editing: Masae Takata (Paris Office)