フィガロジャポン編集部の、ワイン本気飲み!
3回目となった「RAW WINE TOKYO」にフィガロワインクラブが潜入! おすすめのワイン12選。
ヨーロッパや北米を中心に10都市で開催されている、世界有数のナチュラルワインフェア「RAW WINE」。東京でもこの5月に第3回目が開催され、昨年に引き続き、ワインクラブの「フィガロジャポン編集部の、ワイン本気飲み!」メンバー4人が潜入。昨年の反省(朝ごはんをしっかり食べてくる)をいかしつつ、日曜朝10時に会場となる東京流通センターのホールに集合。日本を含めた世界約60のワイナリーのブースをグラス片手にホッピング!

今回の試飲参加者:
浅妻千映子 J.S.A.認定ワインエキスパート。雑誌やウェブメディアで取材、執筆する傍ら、ワインスクールのアカデミー・デュ・ヴァンでワイン&クッキングクラスの講師をしていた経験も。『東京最高のレストラン』(ぴあ 刊)の採点者を約20年務めている。好きなワインのタイプは海、汗、火花、キノコ、鉄棒、鉛筆など感じる、ミネラル系。
まりモグ フィガロ編集部、本誌グルメ担当、「ワインクラブ部長」(自称)。2021年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。小中学校を北京で過ごしたアジア系帰国子女。両親の影響で小学校2年生から「dancyu」と「美味しんぼ」を愛読。好きなワインのタイプはブルゴーニュをはじめとした冷涼地系。
カナイ フィガロJP編集部、WEBグルメ担当、「ワインクラブ副部長」(自称)。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。ホテルの配膳バイト→和牛を扱う飲食店に勤めた後、いろいろあって編集者に。好きなワインのタイプはイタリアをはじめとした日当たり良好、渋旨系。
エザワ Pen編集部グルメ担当。2024年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。大学時代にフランスのホームステイ先で毎日ワインを振る舞われた結果、どっぷりとワイン沼にハマる。ワインとチョコレートに目がない。好きなワインのタイプは、スパイス味の強いクセ強系と、酵母感じる微発泡など。
会場いちばん乗りは、副部長カナイ。部長まりモグとアサヅマが到着し、一緒にナチュラルワインラバー憧れの「ドメーヌ・タカヒコ」の長〜い行列に並び始めた時には、向こうからドヤ顔でやって来て「僕4種類飲みました〜」。ちなみに部長とアサヅマは2種類、出遅れたエザワは品切れで飲めず。何事も、早め行動が大切です。
さてここからは、こちらも昨年の反省を生かし、各自緩やかにテーマを決めてブースを回ることに。何しろ60ブースそれぞれが複数本のワインを用意しているので、おいしいからとあれもこれも飲んでいると、帰り道が大変なことになるのですよ……。何事も、少しの理性は必要です。
では、それぞれのテーマとお気に入りのワイン3本をご紹介します。
「イタリア愛」に燃える3本|副部長カナイ
RAW WINE TOKYO3回皆勤賞、気合の入ったいちばん乗り副部長・カナイが選ぶのは……イタリア! 「またかよ」と他3人に苦笑されつつ、「今年は夏、冬の2度にわたって、久しぶりに現地取材予定を控えていて、めちゃくちゃ血が騒いでいる」とのこと。誰も止められませんでした。(いや、もちろんイタリア全然いいんですよ!) 以下、そんな燃える気持ちで選んだ3本。
イタリア ダヴィデ・ビニャート「コル・モエニア 2022」

今年の冬に行く予定のヴェネト州のワイン。この日出会ったダヴィデ・ヴィニャートのワイナリーは、著名なソアーヴェの東、ガンベッラーラという地域。同じガルガネーガという品種を使用した白だが、ソアーヴェが爽やかで軽快な飲み心地なのに対し、ガンベッラーラは心地よい苦味としっかりしたミネラル感があり、より複雑な印象……。両方の地域に畑を持つダヴィデが見せてくれたガンベッラーラの写真には、柱状の玄武岩が幾重にも連なる景観が。「ソアーヴェはちょっと火山性土壌に石灰質が混ざるけど、ガンベッラーラはより火山性土壌が強いんだよ」。この目で見たい!
イタリア ニコロ・グリッパルディ「スピナサンタ 2020」

大好きなシチリアですが、中央部エンナのワインを飲むのは初めて! 生産者ニコロ・グリッパルディはフィロキセラ(※)で耕作放棄された祖父のブドウ畑を、2015年からバイオダイナミック農法で復活させることに専念。初リリースは2018年、以降も3年以上の瓶内熟成を守っています。標高650mの畑で、手摘みされたネレッロ・マスカレーゼを自然酵母で丁寧に醸造。レッドチェリー、杉の香りにしっかりとしたミネラル感、スモーキーなニュアンスも。きめ細やかながらタンニンはしっかり目。キャンプに行って自然の中、カモ肉をじっくり炭火焼きしながら飲みたい一杯。
※ブドウの根から樹液を吸うブドウネアブラムシによる害で、ブドウ樹を枯死させてしまう。19世紀中旬から猛威を振るい、ヨーロッパ中のブドウ畑が大打撃を受けた。
イタリア オレク・ボンドニオ「バルバレスコ “ロンカリエッテ” D.O.C.G.2022」

さまざまなワインに恋はするけれど、やはり本命はネッビオーロ。バローロ、バルバレスコが好きです。力強さと繊細さ、酸味が高いのに熟度がある、骨格があるのに優美である……。200年以上続く老舗ワイナリーのこのワインは、ロンカリエッテという、バルバレスコの中でも最高の区画のひとつ(「帝王」ガヤは隣の畑で採れるブドウを「ソリ・ティルディン」というトップキュヴェに使っているほど)。樹齢50年以上の古木から生まれるブドウを野生酵母で発酵させる際、果皮の上に木蓋を敷いて果皮を液面の下に保つ伝統手法を使いながら60日間醸す。軽やかなスパイス、赤い果実、スミレの花、しっかりとしたミネラル、長い余韻とタンニン……。いま飲む用と、10年後に飲む用の2本が必要です!!
※オレクが持っているのはマグナムボトルですが、この日試飲したのは750mlボトル。
「ふるさとを感じる」3本|部長まりモグ
続いては部長まりモグ。最初にドメーヌ・タカヒコでお口を潤し、すっかりいい気分になり、そのまま日本エリアを回遊。「飲んだことのあるワインも多かったけれど、初めての出合いも。導かれるようになんとなく飲み進めたものは、どれもふるさとを感じるちょっとエモい?ラインナップになりました」。日本、そしてまりモグが幼少期を過ごした中国、ワインといえばのフランス。3カ国からのご紹介です。
日本 Natan葡萄酒醸造所「踊りこ」

徳島唯一のワイナリーとのこと、記念すべき徳島ワインデビュー日となりました。ユニークなエチケットが並ぶ中でも気になったのが「踊りこ」。ナイアガラ、キャンベルとサニールージュを使用した独特のニュアンス。当主井下奈未香さんがストリップ劇場で受けた感激をワイン(飲み物)にしたそうで、それを聞くと妖艶な印象も。仲間からは「昭和風味がする」とのコメントも(笑)。昭和生まれとしては、確かにちょっと懐かしい味です。ボトルネックの紙は、「踊りこ」。短編小説プロローグから本編へと続くQRコードが付いていて、これまたユニーク。ちなみに井上さんはソムリエールとしてワインバーで働いていたとのちに知り、ますます興味が湧いています。
中国 ティンユー「5PM 2025」

今年もまた来てしまった、中国ブース。これまで中国ワインは何度も飲んでいますが、この連載でも、他のどこで飲んでも、漢方の香りや独特のクセがあってお騒がせ的(?)なイメージ。しかし! これを飲んだら目から鱗! セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、シラー45%、シャルドネ5%のロゼ。グアバのアロマには驚きましたが、とにかく透明感がある。造られているのは雲南で、まさに綺麗なお茶のようなニュアンスがあり、かなり好みです。ブラインドで飲んだら「フランスのナチュラルワイン」と答えてしまうかもしれません。
フランス caaaaaaat_wine「Atomic Caaaaaaat’ Rose」

故郷日本、第二の故郷中国ときて、ワインの心の故郷フランスに。私のワイン史はフランスのナチュールからスタートしているので、これがいちばんほっとするんです。冷涼地好きとしてはアルザスブースに引き寄せられますが、今回はその横の横のブースにあった、ネコネコネコ……のエチケットに惹かれました(ネコアレルギーだけど)。動物モノの可愛い絵に惹かれる傾向があります。アイテムによって、ロワール、南仏、と産地はさまざまなようで、この「大口ネコ」のロゼはカオール産。マルベック80%、タナ20%という強いブドウの組合せですが、そこまで主張は強くなく、万能な印象。ウェブサイトにはハンバーガーとも合うと記載が。確かにジャンクなものと合わせてみたい……かも!
次なるトレンドに!? 「小国ワイン」3選|編集アサヅマ
続いてはアサヅマ。今回のRAW WINE、エントランスを入ってすぐにジョージアブースが4つも並んでいて、なぜか「これだ!」と思い全試飲。あまりにおいしくいい気分に。そのままテーマは、「まだメジャーになりきれない、でもなぜかそそられる小国ワイン」ということに。いい感じに部長、副部長とも国が被らず!
ジョージア Manavi Wines 「ムツヴァネ 2023」

4生産者も来てくれていたジョージアのワイナリーの中で特に気に入ったのがこちら。中でもこの真ん中の一本。ジョージア東部、マナヴィというエリアにあり、調べてみると首都のトリビシから真東に行ったエリア。石灰質土壌、標高の高さに加え、「卓越した」風が吹いているとのこと。ジョージアの白は全体に綺麗な鰹出汁を濃厚にしたようなミネラルを感じるのですが、この一本はそれに加えてレモンの爽やかさと心地よく引き締まるタンニン、そしてなぜか飲みながら体を揺らしたくなるような勢いのあるファンキーな雰囲気。エチケットもちょっとそんな感じ!
クロアチア ロクサニッチ「ラーラ 1/6 2017」

クロアチアのオレンジです! イストリア半島の西部(地図で見るとかなり特殊な場所に見える)石灰質を含む赤土土壌。品種はマルヴァジアとイストリアーナ。どこまでも自然な味ですが、大きな古樽86カ月、2017年という熟成から来ているのでしょうか、いままで飲んだオレンジの中でもかなり奥行きを感じるタイプで、フレッシュ&フルーティさは皆無。辛く強く攻めてくる個性派で、フルボディのじっくり味わいたいタイプ。(前菜でなく)メイン級の中華料理やスパイシーな料理はもちろん、オリーブオイルをしっかり使った魚介系パスタ、クリーミーな料理もいけるかも、マッシュポテトなんかもありなのでは……と脳内ペアリングでお腹が鳴りました。
ポルトガル ラス・ヴェドラス・ヴィーニョ 「ブランコ ペロ ネロ」

ポルトガルは3つの産地からワイナリーが来ていました。その中で気に入ったのは、リスボンエリアから来たこちら。そしてこの白。海に近いとのことと、お話しした女性は何度も「ライムストーン」という言葉を発していました。自慢の石灰質土壌なんだろうと察します。ミネラル好きな私のツボに刺さる立地と土壌なのかと! ちなみに、こちら白ですが、赤もどこか硬い石を感じさせる味がします。ほどよい厚み。樹齢30〜80年のブドウから、ポルトガル在来品種を年によっての比率でブレンド。部長は「オリーブオイルっぽい味がする!」との感想。なるほど!
「個性派ロゼ」な気分で飲みたい3選|編集エザワ
続いてエザワ。遅れて来たが故に、「イタリアおいしいから飲んでよ!」「中国マスト」「ジョージア最高」とみんなに連れまわされそうになるも「今日の私はロゼの気分🎵」と流されない強い意志! 今回、大豊作だったロゼ。ラブリーなものから飲み応えのあるものまで幅広い味わいの中から、個性派3本をピックアップ。
ニュージーランド サイレンワイン 「ジ・エンプレス・チルド・レッド 2024」

ジャケ買いならぬジャケ飲みをしてしまった1本。ニュージーランド・マールボロで、単一畑・品種、手摘みにこだわったワイナリーのピノ・ノワール100%のロゼ。ベリー系の素朴で親しみやすい味わいと、飲んだ後に鼻に抜ける高貴なセージの香りが印象的です。まさに寛大で高貴な“女帝”のワインは、高カカオのチョコレートをつまみに丁寧に飲みたい……。ちなみにこのタロットカードモチーフのエチケットも、ピノ・ノワールのロゼ(女帝)、シャルドネのオレンジ(愚者)といったように、品種で分けているのだとか。友達とタロットカードを引きながら飲み比べアペロするのも楽しそうですね。
南アフリカ ヨー・エル・レイ・ワイン「グッドラック ロゼ ’24」

RAW WINE初登場と聞いて思わず飲みに行き、衝撃を受けた南アフリカ・ケープタウンのシラー100%のロゼがこちら(写真中央)。シラーらしくキリッとした辛口で、圧倒的な野生っぽさを感じるワイルドな一杯。ジューシーな赤身肉のステーキはもちろん、キンキンに冷やせば、日本酒のような感覚でお寿司など生魚にも相性が良さそう。温度変化とともに次々に感じる味が変化し、個性を堪能できるユニークで楽しいワインです。クールなエチケットと骨太な味わいがかっこいい一本は、普段ロゼをあまり飲まないメンズにこそお薦めしたい。
オーストラリア BKワイン「セニエ・ピノ・ノワール 2025」

南オーストラリア・レンズウッド産のピノ・ノワールを贅沢に100%使用したこちらは、日本人の心をくすぐる、出汁感あふれる一本。バラのような華やかな香りの第一印象とは裏腹に、最後はクリーミーな余韻。この二面性にギャップ萌えします。ペアリングさせたいのは、百合根のしんじょう。そんな、お上品だけどほっこり感のある味わいなんです。オーナーのブレンダンさんは、シェフとしてキャリアをスタート。ワインそのものを愉しむのはもちろん、食中酒として幅広く楽しめるものを造るのが信念。実は日本に年に何回も足を運び、こちらでも新たなワインづくりを始めているのだとか! この登場も期待しています。
以上、RAW WINE TOKYO 2026潜入レポートでした。 日本未入荷のおいしいものも多数あり、これを機にインポーターが決まって入荷されるといいねと話しながら、時間いっぱいいっぱいまで楽しんでもまだ13時半。今年はみんな程よく気持ちのいいほろ酔い状態。気づけばチリチリ、バラバラ、フラフラの昨年とは異なり、仲良く帰途に着きました。
RAW WINE
https://www.rawwine.com/
- text: Chieko Asazuma