日本食材エピスリーだけではない。イラッシャイに、毎晩営業の手巻きバーがオープンした。

Paris

いまのパリで愛されている日本の味、それはハンドロールと抹茶ドリンクだろう。ハンドロールについていえば、「ドキドキ」と「ハンド」がパリ市内に次々と店を増やし、また普通の鮨レストランでも握りと並んでメニューに並ぶようになる人気だ。

醤油、味噌、みりん、海苔……日本食材のエピスリーとしてボンマルシェの日本展ではメインスペースに広いコーナーを持ち、パリっ子たちの関心を集めているのが、ブルス・ドゥ・コメルスのすぐ近くに店を持つ「Irasshai(イラッシャイ)」。1階、入り口右手にはカジュアルな食堂があり、地下(B1)にはレストランの「B1(ビーワン)」があり、また、1階の奥には「Kissa ba(喫茶場)」と呼ばれるカフェがある。喫茶場のカウンターは朝なら抹茶ラテ、昼は丼ものでと愛される場所。そこに夜の顔が生まれた。手巻き寿司とお酒を楽しむバーである。カウンターの中で見事な包丁さばきとハンドロール作りをライブで披露しているのは、シェフのユージ・ミス(深須雄二)。ひょっとすると、日本人が巻くハンドロールというのはパリ市内ではこれが初めての場所かもしれない。また既存のパリのハンドロール店では筒状のところ、この手巻きバーではシェフが器用にクルッと巻く、末広がりの三角錐という本来の手巻き寿司のフォルムである。

手巻きは15種。「とびこ」(左)はとびこだけではなく、甘エビ、帆立貝がバランスよく巻かれ、食感も楽しい。ベジタリアン向けにはきゅうり×しそ×梅やアボカド×たくあんなど。photography: ©︎ClemenceSahuc
カウンター席とテーブル席のチョイスがある。photography: ©︎ClemenceSahuc
左: 日本で食事をしているような気分も、フランス人にはご馳走の一部だ。 右: カウンターの中でリズミカルにハンドロールを巻くのは、和食の料理人経験30年という深須シェフ。photography: ©︎ClemenceSahuc

メニューは小鉢と呼ばれる前菜7種と手巻き、そしてデザート3種と、とてもシンプル。とはいえ、手巻きはアラカルトで15種(7~16ユーロ)もあるので、なかなかセレクションが難しい……。というわけで、迷う人のためには手巻き4本をセットしたメニューも4種用意されている。キュウリやナスの田楽などのヴィーガン手巻き4本は「高野山」(21ユーロ)、サーモンやスパイシーツナなどクラシックな手巻き4本は「桜島」(25ユーロ)、シグネチャーは銀ダラの味噌焼きやカニ&アボカドなどオリジナル味が4本の「大山」(31ユーロ)、そして和牛や鰻といったプレミアム手巻きの4本は「富士」(42ユーロ)。4本で足りないというなら、アラカルトから追加で注文を。小鉢は揚げ出し豆腐やだし巻き卵などで、デザートは柚子味噌のクレームブリュレや抹茶ティラミスといった日本を愛するパリっ子を魅了するクリエイションだ。

飲み物はワイン、カクテル、果実酒、ビールなどもあるけれど、この手巻きバーで似合うのはやはり日本酒だろう。グラスでのオーダーもできるけれど、こちらも迷ってしまうという人のために、3種の酒をグラスで味わえる「利き酒」が用意されている。「黒松仙醸体験」(15ユーロ)あるいは「吟醸体験」(18ユーロ)の2種。日頃、日本酒を嗜まないという人にも気軽にアプローチできるなかなか良い提案では?

手巻きバーは毎晩の営業というのがうれしく、またエピスリーは夜遅くまで営業しているので食前・食後に食材のショッピングも。イラッシャイはまさにパリにおける和食の殿堂である。

左: メニュー「コバチ」には、味噌汁、ポテトサラダ、だし巻き卵など。 右: 利き酒「黒松仙醸体験」。左のドライから始め、フルーティ、フレッシュと異なる酒の味わいに食が進む。photography :(左)©︎ClemenceSahuc、(右)Mariko Omura

Bar à Témaki/ Kissa ba Irasshai
40, rue du Louvre
75001 Paris
営)19:30〜22:00
無休
@irasshai.paris
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大村 真理子

madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター

東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。2006年から「フィガロジャポン」パリ支局長を務めた後、フリーエディター活動を再開。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。