春の訪れとともに。プレイリストを彩る、個性が花開く新作アルバム3選。
Culture 2026.04.05
新しい季節に寄り添うように、多彩なサウンドが響き合う3枚の注目作が登場。内省的な世界を描いたTom Misch(トム・ミッシュ)の『Full Circle』、エレクトロニックサウンドが魅力のAvalon Emerson & The Charm(アヴァロン・エマーソン&ザ・チャーム)による『Written Into Changes』、そして英国ニューカッスルからは、Knats(ナッツ)の『A Great Day in Newcastle』が独創的な構成とストーリー性で新世代ジャズの息吹を届ける。
温かみあるサウンドで、個人的な世界を表現。
『フル・サークル』
トム・ミッシュ

ビート ¥3,080
ベッドルームミュージックにおいて圧倒的な才能を見せつけた若き鬼才が、傑作『ジオグラフィー』以来の2作目のオリジナルアルバムを発表。ローファイヒップホップからAORまで幅広いジャンルを見据えた音楽性は健在だが、これまで以上に洗練されたサウンドを施したという印象が強い。さらに、ヴィンテージの機材を駆使したハンドメイドな質感によって心地よさが増す。そのうえで、自身の家族や友情などパーソナルな心情や社会的な問題を淡々と綴った歌詞を乗せ、どこか内省的な印象を持つ作品となった。
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2作目にして最高傑作、マルチな才能が開花。
『リトゥン・イントゥ・チェンジズ』
アヴァロン・エマーソン&ザ・チャーム

ビッグ・ナッシング ¥2,750
華やかでポップ度の高いエレクトリックミュージック。そんな理想的なサウンドを生み出しているのが、サンフランシスコ出身のプロデューサー。彼がユニット名義で発信するプロジェクトは、固定メンバーではなく彼が関わるクリエイターたちの協同体だという。そのため、楽曲によって鮮やかなイメージになったり、キュートな雰囲気に仕上がっていたりとタイプはさまざまだ。しかし、一貫してダンサブルなグルーブを持ち、どこか浮遊感のある幻想性を保つ。いつまでも聴いていたいと思わせてくれる音楽だ。
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独創的な世界を持った、空間的な新世代ジャズ。
『ア・グレイト・デイ・イン・ニューカッスル』
ナッツ

ギアボックス ¥2,700
ポエトリーリーディングから始まるドラマティックな構成といい、オーソドックスなクインテット編成ながら斬新性に富むサウンド。トランペットとサックスの2管、そして詩人をフロントに据えた新しい世代の6人組ジャズグループ。ニューカッスル・アポン・タインという英国のローカルであることを敢えて個性にし、ストーリー性のあるシンプルかつダイナミックなサウンドを繰り出していく。ロンドンのジャズシーンとは一線を画した新鮮なサウンドを味わいたい。
*「フィガロジャポン」2026年5月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto





