【韓国特集】大人を心酔させるKミュージックがここに! バラードの女王、希代のR&B、極上にチルい音楽まで総勢10組のアーティストたち。
Culture 2026.04.10
透き通る歌声が魅力のソロアーティストから、韓国のHipHop界をリードするグループなど総勢10組が集結。加速する韓国音楽シーンのいまをキャッチアップ。
まだまだいます! おすすめ韓国アーティストたち。

ペク・イェリン/Baek Yerin

万人に愛される歌声はまさに韓国のディーバ。
2012年、Park Jimin(現Jamie)とともにユニットデビュー。15年のソロデビューEP『FRANK』は、インディーズバンドBye Bye Badmanのメンバー、Cloudをプロデューサーに迎え、当時10代とは思えない感性豊かな声色と完成度の高い楽曲でその地位を確立した。ポップやR&Bを基調としながら、作品ごとに特有のカラーを持つスタイルが支持されている。18年にはオルタナロックバンドThe Volunteersを結成し、ツアーやフェスなど精力的に活動。ソロとしては25年、5年ぶりとなる待望のフルアルバム『Flash and Core』をリリース。韓国のトップクリエイターPEEJAYプロデュースのもと、ドラムンベースやヒップホップなど多彩なジャンルを取り入れ、成熟した表現力でリスナーを魅了。タイトル曲「MIRROR」のMVはすでに再生回数400万回を突破。

最新アルバム『Flash and Core』。「MIRROR」のMVにはホン・サンス監督の常連でもある俳優クォン・へヒョが出演。
CADEJO/カデホ

圧倒的なグルーブを生む、韓国屈指のジャムバンド。
キム・ダビン(Dr.)、キム・ジェホ(Ba.)、イ・テフン(Gt./Vo.)からなる3人組のジャムバンド。70sブラックミュージックをベースに、あらゆるジャンルをボーダーレスに融合した"自由"を体現。実力派ラッパーNucksalとの共作アルバム『Sincerely Yours』(2022年)は韓国大衆音楽賞で4部門にノミネート。25年6月には日本が誇るダブ・エンジニア内田直之と共同制作したアルバム『ENDLESS』を発売。また、韓国屈指のライブバンドである彼らは、どんな会場でもその場に合ったグルーブを作り出し、観客だけでなく共演したミュージシャンをも虜にする。26年1月25日にZepp DiverCityで開催されたOriginal Love 主催"Love Jam Vol.9" にASIAN KUNG-FU GENERATIONとともにラインナップ。

内田直之プロデュース『ENDLESS』。サブスクのみで配信の「ENDLESS JAM」は28分。ジャムバンドの神髄を発揮。
Kwon Jin Ah/クォン・ジナ

美貌と音楽的才能を兼備するバラードの女王。
繊細で美しい歌声に乗せたアコースティックバラードに定評のあるシンガーソングライター。2016年のデビュー年に同期のシンガーソングライター、サム・キムとデュエットした「For Now」では、当時10代だったふたりが次世代を担うアーティストになることをリスナーに証明した。ライブ活動にも重点を置く彼女は、毎年恒例の単独公演をはじめ、さまざまなフェスにも積極的に参加。25年12月24~28日はソウルで年末コンサートを開催。日本でも人気の韓国ドラマ(「賢い医師生活」「ウンジュンとサンヨン」ほか多数)OSTにも参加しており、実は彼女の声を耳にしているドラマファンも多いはず。YouTubeチャンネル(@KwonJinAh_official)では弾き語りのほか、ジャンルや国を問わないカヴァー曲を歌い、多才な表現力を披露している。

最新シングル「White Wine」は英語バージョンもある。2025年4月に発売したフルアルバム『The Dreamest』も必聴盤!
EPIK HIGH/エピックハイ

韓国HipHop界をリードする最長寿(!?)クルー。
2003年デビューのTablo、Mithra、DJ Tukutzによるヒップホップグループ。韓国でヒップホップを大衆音楽へ導いた先駆者的存在で、現在のHipHop、R&B界をはじめBTSのRMやSUGAなど多くのアイドルにも影響を与えている。リーダーTabloはスタンフォード大学出身で、知的で叙事的な歌詞と感傷的なメロディラインを得意とする。常にオープンマインドな彼らが20年以上にわたりリリースしてきた膨大な数の楽曲には、K-POP、ロック、バラードなど、ジャンルはもちろんインディーズ/メジャーの枠を超えたアーティストが数えきれないほど参加し、才能を開花。近年では「Screen Time(Feat.Hoshi of SEVENTEEN)」(23年)で、メインダンサーとして知られるHOSHIの切なく表現力に長けたボーカルを引き出したことも記憶に新しい。

最新アルバム(LP)『PUMP COLLECTORʼS EDITION』。仲良しな3人の日常を映したYouTube"EPIKASE"も人気。
Lee Hi/イ・ハイ

唯一無二の声色で魅了するソウルシンガー。
愛らしいビジュアルからは想像もつかないソウルフルな歌声で、2012年のデビュー以降、圧倒的人気を誇る。2ndアルバム『SEOULITE』(16年)収録の「BREATHE」は、SHINeeのJONGHYUNGが楽曲提供した珠玉のバラード。疲弊した社会に生きる人々に語りかけるような美しい歌詞と包容力ある歌声に、多くの人が癒やされた名曲だ。本人名義のリリース頻度は高くないが、本ページで紹介したEPIKHIGHをはじめCrushやCODE KUNST、Slomなどヒットメーカーの作品にも多数客演しており、そのバイオグラフィは充実している。フルアルバムとしては、21年『4ONLY』が最後となるものの、Spotifyでは現在も400万人以上の月間リスナーを誇っていることから、世界中のファンが新たな動きを待ち侘びていることがわかる。

『4ONLY』(2021年)。人気俳優イ・ジェフンとウォン・ジナが出演した「ONLY」MVは、2億回という驚異の再生回数を誇る。
Stella Jang/ステラ・ジャン

フランスで育んできた独特のセンスが光る。
韓国生まれフランス育ち。2004歳から11年間フランスへ単独留学していたStella Jangは、韓国語、フランス語、英語を自由自在に操るトリリンガル。15年にアーティスト活動を本格化するため韓国へ戻った彼女は、透き通った声と固定観念にとらわれない音楽スタイルでたちまち注目を集める。異国の風が漂ってくるような軽快なポップソングからシャンソンまで、曲のスタイルに合わせて3カ国語を使い分ける他に類を見ないシンガーソングライターとして愛されている。この時期におすすめしたいのは、キャロルやジャズなどクリスマスシーズンにぴったりの5曲が収録されたEP『Winter Stella』(22年)。また、最新シングル「snowy」も、これから冬のヘビーローテーションとなりそうな心温まるウィンターソングだ。

最新シングル「snowy」。25年4月にはフルアルバム『STELLA II』も発売。トリリンガルならではの魅力が詰まっている。
DEAN/ディーン

世界中が新作を待ち侘びる希代のR&Bミュージシャン。
韓国R&B界でもDEANほど謎に包まれたアーティストはいない。2015年「Iʼm Not Sorry」でデビューし、誰もが羨むメロウでセクシーな声色と甘いビジュアル、ファッションセンスまで兼ね備えたDEANは一躍脚光を浴びる。だが、デビュー10周年となる25年までにリリースしたアルバムは、驚くことに16年発表の『130 Mood:TRBL』のみ。ただその一枚は、10年近く経った現在でも色褪せない名盤中の名盤だ。17年にはペク・イェリンやThe InternetのSyd、そしてソユン(SE SO NEON)のギターをフィーチャーした楽曲をリリース。以降はスローペースの活動となり表舞台に立つことも少なくなったが、卓越した楽曲センスに人気は衰えることを知らない。時にふらりと現れては親交あるアーティストの楽曲に客演するユニコーンのような存在。

『130 Mood:TRBL』(2016年)。Dynamic DuoのGaekoやZICO、Crush、ジェフ・バーナットも参加。
OOHYO/ウヒョ

ノスタルジックポップを表現するアーティスト。
2014年デビュー。韓国で生まれ、アメリカで幼少期を過ごしたOOHYOは、イギリスを拠点にアーティスト活動を始める。80~90年代の韓国歌謡を思い出させる"ノスタルジックポップ"を得意とし、抒情的な歌詞とメロディ、淡白な歌声で人々の心を癒やす。なかでも初期にリリースした「Dandelion」(17年)は長く愛聴されている一曲。また、過去の楽曲を自らリメイクした『OOHYO Returns』(23年)はより感傷的で、映画音楽のようなセンスが光る。25年も1stEP『Girl Sense』(14年)収録の「Vineyard」をセルフカヴァーした「Vineyard Returns」をリリース。その感性の変化を聴き比べてみるのもおもしろい。また、22年にはNewJeans「Ditto」の作詞にも参加。純粋でストレートな歌詞は初々しい5人の世界観とマッチして最高のケミストリーを見せた。

最新シングル「Calling You」は自動車メーカーKiaとのコラボ。ニュースチャンネルの時報CMに起用。
Silica Gel/シリカゲル

幅広い世代の共感を呼ぶ、眩しいリアルサウンド。
キム・ハンジュ(Vo./Key.)、キム・チュンチュ(Gt./Vo.)、キム・ゴンジェ(Dr.)、チェ・ウンヒ(Ba.)が大学時代に結成。"いま韓国の若者が最も熱狂するオルタナティブバンド"ともいわれているが、ここでは大人も共感できるエモーショナルなバンドと称したい。2015年のデビュー以降、コアな音楽ファンに支持されていた彼らは7年後、「NO PAIN」(22年)で大ブレイク。自分の脆弱さを感じている者同士の共鳴を訴える歌詞と、ポップな中にも切なさのあるメロディは、人生の痛みを知る大人世代の琴線にも響く。翌年、So!YoON!を迎えた「Tik Tak Tok」は6分超の曲ながら、MV再生回数は700万回を超える。25年はフジロックフェスティバルに出演、12月23日の東京公演も即日完売と、日本でも人気急上昇。

12月11日リリース最新シングル「BIG VOID」。25年、単独公演のエンディングで公開され音源化が望まれていた。
orange flavored cigarettes/オレンジフレイバーシガレット

洋楽感覚で浸れる、極上のチルミュージック。
2020年に結成されたorange flavored cigarettes(以下ofc)は、新人ながらデビュー曲がSpotifyで180万回再生という偉業を遂げた。結成当時より楽曲制作に重点をおき、公演は親しいアーティストに声をかけられた時に出演。そんな無名にも近かった彼らの才能をいち早くピックアップしたのは、wave to earth同様に海外リスナーの反応だった。ofcの曲はすべて英語詩であり、ボーカルdaniのエアリーボイスとシンプルで聴き心地のいいチルサウンドが、韓国という枠にとらわれず好評を得ている。デビュー以来、デジタル配信のみで活動を広げていたofcだったが、24年、日本のP-VINEより初のフィジカルアルバム(CD&LP)がリリースされた。25年はデジタル配信シングル「cici」を発表。韓国のフェスやライブにも出演し、国内の知名度も上昇中。

『ofc phase 1&2』(2024年)は24年12月までに配信されていた全17曲を収録。ドライブや旅のお供にもおすすめ。
*「フィガロジャポン」2026年2月号より抜粋



