【フィガロジャポン35周年企画】 パリ同時多発テロにも負けず、日本の中心からパリ愛を叫ぶ! 2016年のフィガロジャポンをお届け。
Culture 2026.03.06
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2016年に発売したすべての号をプレイバック!
2016年3月号(16年1月20日発売)477
ジャンル別に全方位で。

はい、流行予報です。毎年のルーティンとなっているけれど、今号が最も見やすい。シンプルでストレートな構成で高評価かもしれない。MODE、BEAUTY、CULTURE、VOYAGEとジャンル別にし、そのジャンルがわかりやすく明示されている。やっぱり雑誌はわかりやすさがとても大切だ、と何年分も比較しながら眺めると思う。
2016年4月号(16年2月20日発売)478
ネコ好きは保存版で持っていてくれてる?

パリシックなファッション特集だけれど、とてもアンニュイなムードに撮影されているストーリーが多かった。これは、もしかすると2015年11月に起きた悲劇、パリ同時多発テロの影響だったのかもしれない。人々は癒しを求めていたし、失ったモノ・コト・ヒトの前で呆然としていた。そんな影響か、心が優しくなれるような特集が多かった時代。岡尾美代子氏による大人気連載「雑貨ヘイヘイヘイ」プレ100回記念別冊付録はネコをめぐる冒険。ネコは人類の暮らしに入り込み、ときめきも癒しもくれる存在。岡尾氏のカメラと文章でつづられた。そして、グランピングという言葉も定着しそうな時代、「心とカラダに効く、ニッポン旅」特集。海外に赴くことに怖さを憶えてしまう時は、自国でのんびりと。
2016年5月号(16年3月19日発売)479
パリは、物語れる街だから。

このパリ特集はガイドブックではない。昨年勃発したパリ同時多発テロのため、渡仏することを読者の方々に誘うのは悩ましかった。であればパリの物語を伝えよう! そう考えて、たくさんのパリを愛する人、パリに住まう人からメッセージやエッセイ、写真などを提供してもらって作成したのが巻頭特集だ。むしろ思い出深い。そして世界にはたくさんの事件が起きるということを実感させられたきっかけにもなった。個人的にはけっこう好きな号でもある。ソール・ライターのカフェの写真なんかも掲載している。秦早穂子氏や金原ひとみ氏、山内マリコ氏からも寄稿いただいている。行けないからこその、フランスチーズ特集もある。パリに行けないからこそのインバウンドまで狙った東京特集まで!
2016年6月号(16年4月20日発売)480
アジアに魅せられて。

いまでもこの巻頭特集でアジア出張に出かけた編集者たちは、とてもこの企画に愛情を抱いていることが話していてよくわかる。目利きと一緒にアジアを旅して、食卓を彩る器と出合い、情緒をもって紹介するのは楽しい経験だったと思う。ただし、マップは大変だったはずだ。タイ語、中国語、ハングル。3種の言語が同号に掲載されるのはデザイナーや校閲者にとっても難儀だったろう。やわらかな時間を過ごしたい人のために、美容テーマはデトックス方法のススメ。このあたりから白湯を飲むことが流行り始めている。反対に背徳的?な特集も。女のためのTOKYOバー案内。
2016年7月号(16年5月20日発売)481
お家時間を心地よく。

「飾る」を軸にインテリア特集をするのはなんだか久しぶり。北欧トレンドが定着して、少々異なるムードが興ってきたか? 色彩を生かした華やかな家具や壁などが大きく紹介された号であった。そして、川上未映子氏の新連載「あらゆる魔法をオンにして」がスタート。川上氏はファッションを愛する人でもあるので、フィガロジャポンはこの後もたくさん執筆依頼をすることになった。また夏を控えた号ゆえか、ブラジル特集やカレー特集も! 当時、無類のカレー好きが編集部にいたのである......。
2016年8月号(16年6月20日発売)482
西村編集長最後の特集はヴェトナムとタイ。

以前、故西村緑氏がヴェトナム取材の原稿を朝まで編集部で書いていたことを綴った。西村編集長が最後に担当した号は今号。まさにヴェトナムにフォーカスしている。運命を感じた。ヴェトナムに出張に行ったのは、某誌媒体の編集長を現在しているYT氏。彼女は写真に対しての感性が鋭く、セレクトする写真には大いなる魅力があった。彼女が先の「素敵なパリ」号の写真選びも進めてくれていた。写真を雰囲気だけで選ぶのではなく、構図を見極めてセレクトできるのは目利きの仕事だと思う。今号のスティル フィガロ「ブドワールなモード」はとてもイマジナリーな出来。靴バッグ特集も小粋でよかった。「世界の料理」綴じ込み特集では下見取材を手伝ったなあ。フィガロジャポン編集部では、グルメ特集がある際、みんなで下見を手分けして食べに行く。それも愉し。
2016年9月号(16年7月20日発売)483
NY・NY。

今号は企画内容は西村編集長のもとで進め、校了へは新編集長・上野留美氏が進めた。筆者にとって何度目の継承の風景だろうか......? ずっと長のサポートをしていると、やはり長の好みに合わせた誌面作りにしたい、と感じている自分に気付く。上野編集長の元では色彩を鮮やかにしたい、ポップな印象を強くしたい、とか。今号には全マップも付いていたから不安だった。不安!というのは、上野編集長はとても地図読みがうまかったのだ。だから、使いにくい地図には不寛容......。どうにか切り抜けたが。
2016年10月号(16年8月20日発売)484
表紙のムードからガラリ!と変わる。

新編集長は自分自身のスタイルがある人物。だから表紙のイメージもがらりと変えた。意図的に変えようとして変えているのではなく、自身が愛するものに対して忠実なのだ。モデルの好みやポージング、服に寄せるメッセージなども含めて、同じファッションを愛するキャラだが新旧の編集長のテイストはまったく違った。少女が持つ初々しさとスイートネスが、しばらくフィガロジャポンを貫いていく。今号の別冊付録は「パンとチーズと、東京シャルキュトリー」。編集マリモグと、いまや社を離れたフリーランス男性エディターと、某ファッション媒体にいる男性編集者、男2人女1人の『突然炎のごとく』的なトリオで編集された(そこに恋愛沙汰はなかったことを付け加える)。とても愛らしく仕上がったプチ別冊だ。
2016年11月号(16年9月20日発売)485
世界の中心で偏愛を叫ぶ。

フィガロジャポン編集部でも「トレンドワード」というものがある。上野編集長になってからは「偏愛」がそのひとつになった気がする。サブタイトルの、好きなもの選んで好きに着る、も上野編集長らしい言葉。秋のボリューム美容特集では、美容ジャーナリストの安倍佐和子氏や松本千登世氏に加え、新たにネイリストの渡邉季穂氏、美容ドクターの貴子氏、メイクアップアーティストMICHIRU氏がフィガロビューティストに。評論家目線に加えて、リアルな美容顧客と接する方々の意見が取り入られることとなった。思い出深いのは、映画『永い言い訳』の公開にあわせて、西川美和監督と本木雅弘氏の対談を掲載したこと。西川監督を敬愛しているため、取材日は緊張マックスであった。
2016年12月号(16年10月20日発売)486
インテリア実例に見るトレンド。

長い間スタイルマガジンをやっていて、ファッションだけでなくインテリアには世相が反映される、と感じる。この時期は、古木などの天板をスチールの脚と組む大テーブルやカウンターがはやりだった。なるべくラフなもの。とにかく木材だった。ふわふわもこもこファッションのテーマで、アルパカやライオンが撮影に使われていて、とても羨ましい。筆者も触りたかった、動物。フィガロでは珍しく、Kpopスターがまた登場。iKONのBOBBYをフィガロオムで掲載。そしてコロナ禍なんて予想すらしていなかった2016年には、深夜営業グルメスポット特集も。当時は深夜2時頃まで営業しているおいしいごはんを食べられるお店がいっぱいあったのだ、そこを訪れる客もたくさんいた。
2017年1月号(16年11月19日発売)487
久々の美容巻頭特集。

美容特集が巻頭になることは滅多にない。だから担当者も腕まくりしてがんばる。特集のはじめには、「美容はライフスタイルの一環」という考え方が語られている。これはフィガロジャポンが大切にしていることで、服を纏うこと、インテリアで心地よくすること、それらと同義でビューティによって健やかに心地よく暮らすことを大切にしている。メイクアップもそうだ。好きな色を選んで好きに纏う。メイクアップもファッションと同じスタイル重視である。上杉美雪氏に考えてもらい表現してもらったファッションとヘアメイクのインティメイトな関係性、というビジュアルもあった。グルメページも健やかな美を目指し、「腸活、温活、菌活」を重視したヘルシーレストラン紹介。
2017年2月号(16年12月20日発売)488
日本を知り嗜む生活事典。

器や和菓子、日本に住まう西洋人たちの和暮らしルポ。いざ「和」を十全に嗜もうと思ったら、実は豊富な知識が必要だ。そういうことも盛り込みながら、日常に忍ばせたい和のニュアンスを紹介した号。日本酒をアペロで、なんてテーマもあったり。別冊付録「和の古道具を探す旅」も日常の道具を探しに非日常の旅に出るという矛盾が愉しい。
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