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VAN CLEEF & ARPELS
歴史を紡ぐ物語を継承する、ヴァン クリーフ&アーペル「ヘリテージ コレクション」の魅力。
制作から長い年月を経たいまも変わらぬ魅力を放つ作品を再び市場に送り出すーー。ヴァン クリーフ&アーペルの「ヘリテージ コレクション」は、歴史と文化的背景を語り未来に継承すべく、過去の作品を収集してきたメゾンの哲学を物語る取り組みだ。世界有数の骨董・美術フェアTEFAFへの出展を通して、メゾンの価値観と未来へのメッセージを伝えている。
メゾンの責任者が伝える、ジュエリーの物語。
ヴァン クリーフ&アーペルの「ヘリテージ コレクション」とは一体どんな作品なのかーー? 2026年のTEFAFに出品されたの中から、5つのストーリーをハイジュエリー リテール ディレクターのナターシャ・ヴァシルチコフに紹介してもらった。

ハイジュエリー リテール ディレクター
ナターシャ・ヴァシルチコフ
クリスティーズで長年ジュエリーを担当した後、2014年にヴァン クリーフ&アーペルへ。ヘリテージ コレクションの責任者として販売スタッフの教育も手がける。今回のTEFAF では1940年代から60年代のクリエイションにスポットを当てた。
─「ヘリテージ コレクション」とはどんなものですか?
1920年代から90年代の作品の中で、メゾンを表現する象徴的なピースでありつつ現代にも着用できる、“身に着けられる芸術作品”を提案しています。石ひとつたりとも改変されていないことを確認した作品です。
─作品の来歴を知ることはできるのですか?
アーカイブには最初の所有者の名前が記録されていますが、プライバシー保護のために明かすことはできません。とはいえ、時には「アメリカの政治家」「英国の貴族」などのヒントを伝えることはあります。
─新しい所有者にはどんな物語が伝えられますか?
作品の歴史的背景を詳しく話します。たとえば1947年のダイヤモンドのブレスレットなら、戦時中に入手困難だったプラチナや大きな宝石がようやく使えるようになり、中央に3つの大きな石を配置したブレスレットの制作が可能になった、というように。お客さまが作品の歴史を身近に感じられる背景を伝え、想像力を刺激するお手伝いをさせてもらうのです。
─お客さまの反応はどうですか?
作品の物語を知ることはお客さまにとって貴重な要素。「素敵なブレスレットですね」と言われた時、その作品について語ることができると会話が広がります。私たちは物語を紡ぐメゾンだと思っているのです。
Story01
1970年代と80年代を象徴する、ゴールドとカラーストーン。

大粒のルビーとダイヤモンドで、18世紀に流行したデイジーのモチーフを表現したネックレスとブレスレット。古典的なパリュール(セット)を思わせるが、それぞれネックレスは1983年、ブレスレットは74年と、約10年のインターバルをおいて制作されたもの。クラシックなスタイルを参照する歴史主義を踏襲し、クリエイションの連続性を感じさせる作品でもある。存在感のあるカラーストーンが使われているのは70〜80年代の特徴。また、プラチナではなくイエローゴールドで作られていることが時代性を物語る。というのも、イヴニングにホワイトダイヤモンドジュエリーを身に着けるのが常識だった時代が終わり、60年代以降は夜にもイエローゴールドが身に着られるようになったから。Story02のネックレスと同様、イヴニング用の存在感のあるパリュールでありながら、イエローゴールドの存在がフォーマル感を和らげ、温かみや親しみやすさを加えている。
Story02
氷片を纏った花の姿が美しい、形が変容するネックレス。

第2次大戦が終わり、1950年代にはプラチナとダイヤモンドを使ったエレガントでクラシックなジュエリーに回帰。カルチャー革命が起きた60年代にも、イヴニングのエレガントなジュエリーの潮流は大胆なデザインを纏って継続した。この作品は60年代を代表するハイジュエリーの傑作と言えるもの。あらゆる時代を通じてジュエラーたちが再解釈を続けてきたダイヤモンドネックレスだが、このピースの60年代らしさは大ぶりで有機的なセンターパーツにある。氷片を纏ったようなデザインからスタラクタイト(鍾乳石)と名付けられた花のパーツは、ダイヤモンドが無作為に配置されたかのような立体的で有機的な造形が美しい。マーキス、ラウンドブリリアント、バゲット、ペアシェイプの4種のカットがモダンな印象。花モチーフもその下のリボン状のパーツも取り外し可能で、シンプルなチョーカーとしても身に着けられる。自然というテーマに加え、メゾンが愛するクチュールのテーマにも通じるピースだ。
Story03
ヘリテージ コレクションならではの日常を彩る小さなオブジェ。

1920〜30年代に数々制作されたヴァニティケースを筆頭に、メゾンは創業以来たくさんのオブジェを手がけてきた。近年珍しくなったこれらのオブジェが手に入るのも「ヘリテージ コレクション」の魅力だ。このボックスは戦時下の44年の制作で、戦争で供出の対象となったプラチナに代わって主役となったイエローゴールド製。蓋部分の見事なエングレービングが目を引く一方で、大きな石を採掘することができなかった時代を反映して、小さなターコイズとルビーで立体的な装飾が施されている。色の組み合わせにこだわるメゾンらしく、オーナメンタルストーンと貴石を併用したデザインにオリジナリティが感じられる。細部まで丁寧にクリーニングされたボックスには過去の痕跡がかすかに残るが、決して再研磨はしないのが「ヘリテージ コレクション」の方針。それは過去の作品には時を経た味わいがあると考えるからだ。
Story04
秘めたサヴォワールフェールが輝くゴールドのブレスレット。

1960年代、イヴニング用のリュクスなジュエリーも、レイヤードなどで楽しく身に着ける風潮が生まれた。この時代らしいイエローゴールドとダイヤモンドの組み合わせによるブレスレットは、“サクラソウ”の葉という名前。硬そうに見えるけれど、手にするとなめらかに動き、しなやかな着け心地に驚かされる。ブリリアントカットのダイヤモンドを並べた葉の表情が印象的で、ゴールドの存在を感じさせない。だがディテールに目を凝らすと、ダイヤモンドを縁取るイエローゴールド部分に繊細な手仕事が施されているのが見て取れる。すべての葉脈に隙間なく細工が施され、葉が重なり合った造形が豊かな質感と立体感を生む彫刻のようなピース。一見しただけでは気がつかないところにサヴォワールフェールが秘められ、裏側まで美しく仕上げられた職人技が光る作品だ。
Story05
いまもコレクターたちを魅了する愛らしいアニマルモチーフ。

1954年、2代目当主のピエール・アーペルはヴァンドーム広場22番地に「ラ ブティック」という名の店を開く。ポスターには「un Bijou Jeune(若いジュエリー)」とキャッチをつけ、ダイナミックな若い世代に向けてハイジュエリーとは違うコンセプトのコレクションを発表した。想像力を掻き立てる漫画の世界にインスピレーションを求め、大きな頭を持つ小鳥やウインクする猫などの愛らしいアイテムが生まれた。「ヘリテージ コレクション」でも好評で、今回は小鹿、プードル、亀などが登場。小鹿のボディはゴールドの球で覆われ、プードルの毛並みや亀の甲羅の模様に繊細な細工が施されて、若者向きの小さな作品にも変わらぬ細部へのこだわりが見える。当時、グレース・ケリーをはじめ、コレクターも多数いる人気アイテムとなった。
- photography: ©Van Cleef & Arpels
- text: Masae Takata(Paris Office)
*「フィガロジャポン」2026年7月号より抜粋