【パリのインテリア】ベッドルームをパリジェンヌの部屋のように模様替えしてみては?
Interiors 2025.06.25
自分の感性をもとに、知恵と工夫を凝らして日常を楽しく過ごす、フランス流の暮らしの美学「アールドゥヴィーヴル」(Art de Vivre)は、パリジェンヌの住まいのあちこちに息づいている。パリジェンヌにとって、ベッドルームは休息するだけでなく、素の自分をさらけ出せる大切なプライベート空間。自分らしいスタイルを打ち出しつつ、居心地のよさにもこだわった、オンリーワンの秘密の部屋をのぞいてみよう。
明るい色や柄をミックスさせた、プレイフルな休息の場。
ソフィア・モーザ・レイタン(陶芸家)
壁のパステルのやさしい色調に、リバティプリントのベッドカバーや床のラグがよく映える。photography: Mari Shimura
30㎡の小さなアパルトマンの最上階に住むソフィアは、ポルトガルのリスボン育ち。家中の壁の色を、実家と同じ水色に塗ることから、部屋作りをスタートさせた。寝室では、カラフルな柄を巧みに取り入れ、単調にならないようにしているのがソフィアならでは。ベッドを囲む棚には、友人の陶芸家による作品や色とりどりのアーティストのオブジェを収集するほか、お気に入りの本や家族の写真なども飾る。彼女の豊かなクリエイティビティは、こうした心くすぐるパーソナルなものに囲まれた環境から育まれるのだ。
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木の素朴な温もりに、現代アートとファブリックをプラス。
クレマンティーヌ・ラルーメ(クリエイティブスタジオ「サンラザール」共同創始者)
グラフィカルなリーフ柄のベッドカバーが部屋のアクセントに。ベッドの足元に置いた、自社製品のベンチともマッチ。photography: Julie Ansiau
古いものと個性的な現在デザインをミックスさせることを得意とするクレマンティーヌ。「いつも自分の愛するものに囲まれていたい」から、寝室には、母親から受け継いだ書き物机と事務机、そしてオークションで購入した現代アーティストの作品など、新旧のお気に入りを集める。好きなものを「シンプルで美しいフォルム。時にはディテールもポイントになる。素材なら、飾り気のない自然な素材感」と分析するように、ベッドのテキスタイルやベンチにしても、存在感を放ちながらも普遍性があるのがポイントだ。木の質感をベースにひとつひとつを調和させて、温もりがある心地よい空間を作り上げている。
母親が昔、ブロカンテで見つけてきたスクレテール(事務机)には、自社で手掛けた陶製ランプなど、たくさんの小物を飾る。壁の絵画は、ギデオン・ルービンによるもの。
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壁一面にブルーのペンキを塗って、心休まる穏やかな空間に。
オードレー・ガリエ(コンセプトストア「Sept Cinq」共同創立者)
緑がかったブルーのペンキの色は、室内装飾家サラ・ラヴォワンヌが手掛けたLe Blue Sarah(ル・ブルー・サラ)。散歩中に偶然見つけてひと目ぼれしたそう。photography: Mariko Omura
パリ18区にあるコージーなアパルトマンに暮らすオードレーが目指したのは、田舎の家の雰囲気が感じられる内装。室内のあちこちに植木鉢やドライフラワーを飾ったり、木や籐といったナチュラルな素材を取り入れることを大切にしている。寝室でこだわったのは、ベッドの頭側の壁をブルーに塗ったこと。夜はパフュームキャンドルを灯すことを習慣にしているが、光の種類や当たり方によって、色の見え方が異なり、趣があると語る。「夜はこのブルーが深みを帯びるの。日中とは別の美しさのあるブルー。1日の間に、光によって同じ色が異なるニュアンスを醸し出すのって面白いわ」
ベッドの脇に置いた古い物入れはブロカントで入手。寝室の書棚は、旅行のガイドブックなど旅関連のアイテムで埋め尽くされている。photography: Mariko Omura
IKEAのヴェスケンワゴンもブルーに統一。ボディケアアイテムなど実用品と一緒に、サボテンの植木鉢を収容する。photography: Mariko Omura
寝室の棚の上は、アクセサリー類を置くスペース。旅に誘われる気分になるというお気に入りの画家ルソーの画集もここに。photography: Mariko Omura
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モノクロームの世界に、生命のエッセンスをデコレーション。
レイナ・タキグチ(「クチュールメゾン」のプレス)
寝転んだ時にもすぐ目が届くように、貝殻、昆虫標本などをベッドの脇に飾る。photography: Mariko Omura
モノクロームのインテリアに、木の質感と古いものを取り入れたレイナのアパルトマンは、寝室も当然そのスタイルを踏襲。棚や暖炉周りには、ガラス容器に入れた貝殻や昆虫標本、孔雀のはく製といった、少しずつ増やしていった趣味のコレクションを配置した。ベッドや壁はシンプルに白一色だから、それらの装飾ひとつひとつがまるで浮かび上がってくるかのよう。
自分への結婚祝いとして購入した孔雀のはく製を、レイナは家の中で最も大切にしている。コーナー棚には、蝶の標本、マトリョーショカ、ダチョウの卵など、さまざまなオブジェを飾る。photography: Mariko Omura
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ポエティックな壁紙をパネルに貼って、オリジナルのヘッドボードに。
ティフェーヌ・マンガン(「Les Causeuses」クリエイター)
ヘッドボードのDIYに使ったのは、Cole and Son社が扱う、生い茂る葉の中に鍵が隠れているというフォルナセッティの壁紙。photography: Mariko Omura
古くてロマンティックなモチーフを住まいに取り入れているティフェーヌ。借家ゆえ、好きなように壁紙を貼ることができないので、DIYに挑戦することに。寝室用には、板と細い棒で作ったパネルに壁紙を貼ることで、特製のヘッドボードを編み出した。せっかくなのでパネルにランプを仕込み、サイドテーブルも手作りして、実用性にもこだわっている。取り外し可能なので、引越しする際はパネルごと持っていけるのもポイントだ。
同じ壁紙を使った自作の円形の鏡。棚を作って、小物を置けるようにしている。photography: Mariko Omura
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リラックスした2色使いの壁に、麦藁帽をオブジェのように飾る。
エルザ・ブー(「Mapoésie」創立者・クリエイター)
プロヴァンス地方で女性たちが野外作業の際にかぶった帽子は、その平べったいフォルムから、きのこ帽とも呼ばれているそう。photography: Mariko Omura
自身のブランドであるMapoésie(マポエジー)の、繊細かつ大胆な色使いの世界観を自宅にもふんだんに施しているエルザ。壁に塗るペンキは、既存の色を使わず、エルザ自身がミックスして理想の色を作り出している。寝室の壁に選んだ、くすんだオリーブとブルーの2色使いが、休息の場にふさわしいコージーな雰囲気を醸し出す。ブランドのカタログ撮影のために用意した、プロヴァンス地方の伝統的なストローハットを、大きさ違いでオブジェのように飾るアイデアが、パリジェンヌらしい素敵な演出になっている。
寝室に置いたラタンの椅子には、グラフィカルパターンのクッションを重ね置く。photography: Mariko Omura
幼い頃の宝物だったぬいぐるみは、学生時代の友人の作品と一緒に飾って、いつまでも大切に。photography: Mariko Omura
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花×ピンク×グリーン! フローラの祝福を受けたような美しい部屋。
ティフェーヌ・マンガン(「Les Causeuses」クリエイター)
英国のポーリー・ファーンのチューリップ柄の壁紙でヘッドボードを自主製作。壁には植物の静物画を飾り、季節の花を生けることを欠かさない。目指したのは、自然とともにあるカラフルで美しい空間だ。photography: Mariko Omura
パリとロンドン暮らしを交互に繰り返すティフェーヌの得意技は、ヴィンテージ探し。古い家具やオブジェにモダンな感覚をミックスさせた室内は、ピンク&グリーンの色調でまとめるのがルールだ。寝室には淡いピンクのペイントを壁に施し、クッションやカーテンにグリーンをチョイス。さらにチューリップ柄の壁紙に応じるように、ベッドカバーには赤色を採用した。春に花々が咲き乱れるかのような寝室で眠りにつけば、毎日幸せな夢を届けてくれそうだ。
左:IKEAの戸棚もチューリップの壁紙でデコレーション。中:寝室の一角に置いたのは、"ひきがえる"と呼ばれる座面の低い50年代の椅子と、花がモチーフの60年代の照明。 右:ランプシェードもピンク&グリーン! photography: Mariko Omura
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思い出の品だけを集めた、プライベート空間に癒される。
アルメル・ベルトラン(「Suzanne Marchande d'Objets」経営)
すべての部屋の窓が中庭に面する好立地。右側の家具は、週に1度アトリエに通って、自身で完成させた思い出の品だ。photography: Mariko Omura
ヴィンテージ家具とオブジェのブティックを経営するアルメルにとって、居住空間の中でも、特に寝室はリラックスして過ごしたい聖域。旅先で買った物、化粧品類、思い出の品、子ども時代を思い起こさせるものなど、他人の目に触れさせる必要のないプライベートなアイテムを集めて、部屋のあちこちに陳列させている。白い壁にはあえて何も飾らないようにしているが、それがかえって静けさをもたらし、寛げる空間を生み出すことに。
左:手作りの家具の上に、香水などの美容アイテムと、ランプや人形などを混ぜて飾る。 右:ドミニカ共和国を旅した時に購入したお人形。新品ながら、ドレスや髪型に古い味わいがあって気に入っている。photography: Mariko Omura
蚤の市やブロカントで20年近くかけて収集した、人形の家具のコレクション。ベッドの向かいの壁にまとめて並べている。photography: Mariko Omura
*この記事は、madame FIGARO.jpの2016年10月~2024年10月の記事を再編集し、制作したものです。
editing: ERI ARIMOTO