【パリのインテリア】自分の時間を愉しむ、パリジェンヌのバスルーム。

Interiors 2025.06.16

自分の感性をもとに、知恵と工夫を凝らして日常を楽しく過ごす、フランス流の暮らしの美学「アールドゥヴィーヴル」(Art de Vivre)は、パリジェンヌの住まいのあちこちに息づいている。バスルームはパリジェンヌにとって、癒しの空間。入浴するだけでなく、読書をしたり、考えごとをしたり、お茶を飲んだり、花を生けたり......と、さまざまな過ごし方があるだけに、インテリアと装飾も独自のスタイルがある。


洗面台の上に、不揃いの鏡をいくつも置いてにぎやかに!
ゾエ・ドゥ・ラス・カーズ(インテリアデコレーター)

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洗面台には大きな鏡をかけるものという先入観を払って、サイズ違いのアンティークの鏡を、縦に横にと不規則にディスプレイ。photography : Shiro Muramatsu

ノルマンディの自然あふれる豊かな暮らしを好むゾエのアパルトマンは、開放的なテラスもあって、パリにあっても田舎暮らしをしているかのよう。白基調のバスルームは、鏡のフレームに木の質感を取り入れたり、多肉植物や野の花のドライフラワーを飾って、ナチュラルで素朴なトーン。一方で、実用的なソープやコップなどの洗面台周りは、モノトーンで統一してシンプルに。ゾエのこだわりを体現した心地いい空間にまとまっている。

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こちらのバスルームは、ノルマンディにあるゾエの別荘から。猫足のバスタブ、タイルの床、木のラックと、フランス的素敵な暮らしの粋が集まる。photography: Panda Yoshida

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主役のタイルを引き立てたいからこそ、装飾はミニマルに。
セリア・ブリュノー(刺繍アーティスト)

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「古いものが持つ風合いに癒される」から、暮らしの中にあるのはアンティークばかり。天井から差し込んでくる自然光が、シンプルな空間をひときわきれいに見せてくれる。photography: Sophie Arancio

刺繍作家のセリアにとって、創造することは生活そのもの。日々の暮らしの中でものづくりに取り組んでいるだけに、自宅のアパルトマンも創造性を育む環境にしている。自慢のバスルームは、床のタイルの配色や質感までこだわり抜いて、すべて自らの手で大改装。その空気感を最大限味わいたいからこそ、インテリアはミニマルに徹して、極力何も置かないようにした。時間をかけて手掛けたかいあって、いまでは浴室が最も寛げる空間になっているそう。

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アンティークのラグを敷いて、"部屋"のように過ごす。
アレクサンドラ・ゴロヴァノフ(デザイナー、ジャーナリスト)

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猫足のバスタブにつかりながら庭を眺めるのが、アレクサンドラにとって最高の癒しの時間。photography: Matias Indjic (Madame Figaro)

アンティーク商の家で育ったアレクサンドラは、クリニャンクールの蚤の市やさまざまなオークションで見つけた掘り出し物を、自宅のあちこちに飾る。そして暮らしやすい空間にするためには、上質なファブリックを欠かさない。浴室も例外ではなく、バスマットの代わりにアンティークのラグを選び、また書架用のはしごをシャンプーやボディソープ類を置くラックにするが、まるでリビングか寝室のようなしつらえが印象的。それもそのはず、彼女にとってバスルームは利便性だけを重視するものではなく、寛いで過ごすための部屋なのだ。

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アンティークスタイルの洗面台を、浴室の主役に据える。
レイナ・タキグチ(「クチュールメゾン」のプレス)

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バスルームは、モノクロームの空間に統一。Flamantのダブルボウルの洗面台は、仏フリマサイト大手のLeboncoinでお安く入手。photography: Mariko Omura

パリ10区にある、125㎡のアパルトマンに家族4人で暮らすレイナ。時代の経過が感じられる古い品が好きだから、バスルームもアンティークのエッセンスを取り入れた作りにこだわった。味わいのある洗面台は憧れのFlamantのもの。定価だったら手が届かなかったものの、フリマサイトで運よく見つけることができたそう。おかげで家族にとって、理想的なバスルームの完成にこぎつけた。

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バスルームこそ遊び心を! カラフルでグラフィックな柄をミックス。
ジャンヌ・ドゥロー(ビューティージャーナリスト)

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壁にも床にもダイヤ柄のセメントタイルを施したバスルーム。バスタブの横に作られたベンチは、幼い子どもを入浴させている間にジャンヌがひと息をつく場所になっている。photography: Mariko Omura

グラフィカルで色彩にあふれているジャンヌのアパルトマンは、空間ごとに異なるプリントを取り入れており、扉を開ける度に驚きが待っている。ピンク系の色調でまとめられたバスルームは、モロッコのブランドであるPophamのセメントタイルをたっぷり使用。ダイヤ柄のタイルにあえてストライプのテキスタイルを合わせることで、遊び心たっぷりの陽気な空間に仕上げている。

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バスルーム脇にあるトイレも、グラフィックなパターンをミックス。床のタイルももちろんPophamのもの。photography: Mariko Omura

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洗面台には水色系のタイルをセレクト。置かれたアート作品との色のバランスも絶妙だ。photography: Mariko Omura

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コンテンポラリーな幾何学模様が特徴のPophamのタイルが、シャワールームにもぎっしり。セメントタイルは、耐久性があり機能的でも優れている。photography: Mariko Omura

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エキゾチックな空間に木の棚を合わせて、ハマム風の浴室に。
マリ・キャロリーヌ・セルメール(バッグブランド「Claritone」デザイナー)

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木のベンチは、タオルなどのグッズを置いたり、入浴の途中で休憩したりと、実用面でも◎。photography: Mariko Omura

パリに隣接するヌイイー市でアールデコ建築のアパルトマンに夫と暮らすマリ。インテリアはソフトな色合いのものばかりを集めて、調和のとれたコクーン的な空間を目指している。バスルームは前の住人が残した壁のまま使っているが、エキゾチックなテイストに合わせて、ベンチタイプの木の棚をバスタブ脇にセット。ほんの少しのアレンジで、まるでモロッコのハマムにいるかのような異空間を作り出すことに成功した。

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バスルームの窓に組まれたアールデコのガラスに、1930年代の建築物である名残りが見られる。photography: Mariko Omura

*この記事は、madame FIGARO.jpの2016年9月~2023年2月の記事を再編集し、制作したものです。

editing: ERI ARIMOTO

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