最近流行っているのが Grocery Store Tourism、食料品店観光とでも言おうか。いわゆる地産地消、ご当地グルメの食料品店を巡る小旅行のことだ。
フランスやイタリア、日本は田舎に行けば行くほど地方の特産物が十二分過ぎるほど充実しているが、スウェーデンは田舎に行けば行くほど何もなく、あったとしてもピザ屋ぐらいだったのだ。
だが、20年前のノルディック・キュイジーヌブームをきっかけにスウェーデン農家の働きも見直され、その質の高さと美味しさに世界はもとより国内で更に注目、そして推進されるようになった。町おこしにも繋がる グロッサリーストアー旅行 は、それらを知ってもらううってつけの機会でもあり、その一例が Resta Gård(レスタ ゴード、レスタ農園) だ。

ストックホルムから車で約1時間北西へ向かうと、1000ヘクタールに及ぶ広大な土地に、600~700頭の動物たちが自然と戯れている姿が目に入る。牛、豚、ラムの放牧と屠殺、それらの肉の販売も手がけている。もちろん野菜も育てており、それらを含め、小麦粉などの穀物類、卵や牛乳、バター、ヨーグルトなどの乳製品も扱っている。

さらにレスタ農園では、敷地内に ホテル や レストラン も併設しており、訪れる人々にスウェーデンの自然と食の魅力を存分に体験させてくれる。スウェーデン国内の各地域でさまざまな案内が出ているので、「Gårdsbutik」で検索するといろいろと見つけられるだろう。


ストックホルムでも手に入る、産地直送のブティックも
でも、やっぱり車を借りて地方までは行けない... という人にもご安心を。レスタ農園では直売のブティックを ストックホルムのガムラスタンに設けているので、ぜひそちらで産地直送の味を楽しんでほしい。また、Bondens Egen Marknad(ボンデンス エーゲン マルクナード) という農家たちが集まり、自分たちの製品を販売するマーケットが、ストックホルムやヨーテボリなどの大都市で開催されている。

旅行中にフレッシュな野菜を購入するのは難しいかもしれないが、チーズ、蜂蜜、ジャム など、普通のスーパーでは手に入らない特別な品々が見つかる。さらに、ピタパンサンドイッチ などの軽食を販売するスタンドもあるため、マーケットの活気ある雰囲気の中、地元の食材を味わうのもなかなか乙な体験になるだろう。


https://www.restagard.se
Resta Gårdsbutik i Gamla Stan(ストックホルム・ガムラスタンのブティック)
住所:Västerlånggatan 53
営業時間:木曜日から日曜日・13:00-16:00(営業時間は季節により変わることあり)
農家達のマーケット
https://bondensegen.com

神咲子
在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデンの北部ウメオ市とスンズヴァル市を運転する日々を送る。