広島・宮島の景色とアートを堪能する、リトリートな「ホテルフォークアンドナイフ」へ。
Travel 2026.04.10
瀬戸内海の海岸線に面し、太古の昔から交易の拠点としても栄えた広島・宮島。絶世を誇った平清盛が建立した厳島神社は「安芸の宮島」として日本三景に数えられ、源平合戦、戦国時代、重なる自然災害を超えてなお崇拝され続け、人々の心を掴んで離さない。
その対岸に、日々の喧騒から心と身体をときほぐす「ホテルフォークアンドナイフ ミヤジマ(HOTEL FORK & KNIFE MIYAJIMA)」が誕生した。
入り口をくぐり、出迎えるのは能舞台を模したアートスペースと、淡い光を放つ大きな提灯に、無垢の大きな柱。荘厳さがありながら、とても穏やかで心地よいレセプションルームでチェックインとともにウェルカムドリンクを楽しもう。
チェックインを終えたら、旅の汗を流しに5階のサーマルスプリングへ足を運ぼう。天然温泉が満たされた浴室からは、瀬戸内海の穏やかな景色を一望にできる。
天候が良ければ、まずはサウナでじっくりと汗を流すことをお勧めする。眺望が気持ち良い広々としたテラスで、外気浴を存分に堪能しよう。
目の前に広がるのは、電線のない広々とした空と海の景色。涼しい海風に混ざって時折聞こえる、近所のボートレース宮島のエンジン音もご愛嬌。色とりどりのボートがターンする様子を、手すりにもたれかかって眺めるのも一興だ。
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広島の歴史と感性に触れる、心穏やかな時間を館内で。
夕食までの時間、室内で過ごすひと時も楽しい。室内は日本らしい趣を感じられるよう、小上がりや障子を用いて構成。スイートルーム「翠」には館内と同じくアート作品が配され、目線を移しているだけでも心和ませてくれる。
こちらの部屋では室内にも大きな浴室と個室サウナ、また庭先の濡れ縁にも半露天の浴槽があり、こちらでは自然に囲まれた中でゆっくりとした時間が過ごせる。
移動の疲れが取れたなら、館内を散策してみよう。1階にはライブラリースペースも。1959年に公開されたフランス映画『ヒロシマ・モナムール(二十四時間の情事)』の撮影で広島を訪れていた主演女優エマニュエル・リヴァ本人が撮影していた写真を集めた『HIROSHIMA 1958』が展示された空間で、広島の戦後復興に想いを馳せて。
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薪火が彩る、瀬戸内の食材を堪能!
ホテルフォークアンドナイフ ミヤジマの注目ポイントが、レストランでの食事だ。監修を務めるのは奥渋で人気の魚介専門トラットリア「ペス(Pez)」で腕を振るう石浜綾シェフ。
特徴的なのは、店内中央のカウンターから覗く大きな薪火台。瀬戸内海、そして広島各地で採れた旬の食材を薪で豪快かつジューシーに仕上げていく、エンターテイメントあふれるディナーが待っている。
コース序盤、まずは広島名産の生牡蠣を味わおう。綺麗な海流地域で水揚げされた真牡蠣に合わせるのは、地元広島県廿日市の乳製品企業チチヤスのヨーグルトを使用したプリン。「牡蠣のなめらかさとヨーグルトの乳酸、まろやかさが合うと思ったんです」と石浜シェフ。松塩を振り発酵レモンをピールした、海香るひと皿はとても爽やかだ。
石浜シェフが「自信作」というのが、山、畑、海の恵をテーマにした茶碗蒸し。地元産の平飼い鶏の卵をブランのように仕立て、ベビーリーフと岩海苔を添える。濃厚な味わいに、フレッシュ感と磯の香りがふわりと寄り添う。
薪でじっくりと焼き上げた、東広島こい地鶏の旨味もたまらない。レモン塩と、生薬にも使われるクロモジを合わせた塩で、脂がほどよくのった滋味あふれる地鶏を頬張る。皮目はバリバリに、中はしっとり柔らかく仕上げられた鶏肉......。脂が落ちて巻き上がった煙に燻された味わいは、まさに至福だ。
薪火の真髄を楽しめるのが、こちらも広島名物のタイだ。瀬戸内海は波は穏やかながらも干満の差が激しく、激しい潮流で魚の身はしっかりと引き締まる。マダイの皮目をバリっと焼き上げ、身はミキュイに。肉厚なタイと、熾火でじっくり火入れされた舞茸のとろりとした旨味に目をほそめる。
瀬戸内牛の薪火ステーキを味わったら、コースも終盤。ほうじ茶と一緒に土鍋で炊き上げた、宮島名物穴子飯がたまらない。甘口のタレにワインを合わせるなら、ぜひメドック格付け5級のシャトーが手がけるセレス・ド・オーバージュ・リベラルを。酸味とミネラル感が、ホクホクの穴子に寄り添う感覚はぜひ体験するべき!
デザートに登場するのはいがもち。白餡と柑橘を求肥で包み、カモミールのソースをかけて。柔らかさの上に添えられた揚げもち米の食感と香ばしさが絶妙のバランスだ。
食事が終わったらもう一度温泉でのんびりしてもいいし、ホテルバーでゆっくり過ごすのもいい。レストランで提供するドリンクはもちろん、日本のジン、ウィスキーを中心にしたジントニックやハイボールで夜を堪能したい。
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朝から海の幸を味わうという感動。
「ディナーはしっかりしていたし、朝食は軽めでも」という気分はこのホテルでは一旦忘れよう。和食をセレクトすれば、朝食から炊き立ての土鍋ご飯とともに、旬の食材をフル活用した一膳が提供される。刺身、西京焼き、大根おろしに添えられたイクラ......。朝の光を浴びながら、身体が喜ぶ瀬戸内の幸がてんこ盛りだ。
「食べ過ぎたかも?」と思ってもご安心を。ホテル1階には24時間ジムが開いているので、ぜひ運動着も持参で広島の美味を食べ尽くそう!
文化と感性に寄り添う、この上なくリトリートを感じるホテル。次のバカンスは、瀬戸内の旅でゆっくりと癒やされてみては?
広島県廿日市市宮島口3-3-15
大浴場あり、各客室浴槽付き
1名¥ 60,000〜(1室2名利用時、2食付き)
https://hotelforkandknife.com/

フィガロJPカルチャー/グルメ担当、フィガロワインクラブ担当編集者。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、文化とグルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。
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