軽やかさが特徴、エレガントなタイプも! 日本生まれの赤ワイン品種、マスカット・ベーリーAの魅力に迫る。
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.06.24
日本発祥の軽やかな赤ワイン品種、マスカット・ベーリーA。エレガントなタイプも登場、日本ワインの新時代が幕をあける!?
vol.11 マスカット・ベーリーA
日本の赤ワインで最も生産量の多い品種が、MBAの愛称を持つマスカット・ベーリーA。100年ほど前、新潟の豪農・川上善兵衛は湿潤な日本でも栽培しやすいワイン用品種を生み出そうとワイン専用種と栽培しやすいアメリカ系品種を交配し、数多くの新品種を生み出したが、その最高傑作がMBAだ。川上善兵衛が起こしたワイナリーは、岩の原葡萄園としていまも続く。
温暖な地で育つMBAはイチゴやキャンディの甘い香りを持つ軽いワインとなる。一方、冷涼な地のMBAはワイン通に敬遠されがちな甘い香りが控えめだ。近年、MBAを愛する造り手が畑を選び、樽熟成させるなど工夫した結果、ピノ・ノワールを思わせるエレガントなMBAが登場してきた。まさにいま、MBA新時代の幕開けだ。
マイスターセレクション
遅摘みマスカットベーリーA 赤
MEISTER SELECTION
LATE HARVEST MUSCAT BAILEY A ROUGE
国・地域:日本 山形県西村山郡朝日町
アルコール度数:13%

山形は山梨に続くMBAの産地で、そのワインはキャンディ香よりもベリー類の香りが高い。MBAに特化した朝日町ワインは日本ワインコンクールで、この品種で金賞を6回得ている。朝日町の収穫は山梨より約1カ月遅いが「遅摘みマスカットベーリーA」は完熟を待ち、さらに2週間後の11月前半に収穫、豊かな果実味とほどよい樽の風味と酸味が調和。焦がした醤油味に抜群に合うコスパの高いワイン。
酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●●◯
タンニン感 ●●◯◯◯
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シャンテY.A ますかっと・べーりーA
イグレック カレ キュヴェK 2021
CHANTER Y.A MUSCAT BAILEY-A
Y CARRÉ CUVÉE K 2021
国・地域:日本 山梨県韮崎市穂坂町
アルコール度数:12.5%

MBAの新時代を先頭に立ち、切り開いてきたのがダイヤモンド酒造の雨宮吉男オーナー醸造家。ブルゴーニュでの醸造経験を生かし、甘いキャンディ香のある山梨産MBAをピノ・ノワールのような繊細さを持つワインへと昇華させた。山梨としては冷涼な韮崎市穂坂地区産を使い、2年間の樽熟成を経たワインは複雑さをも持つ。"K"は栽培農家のイニシャル。初夏発売される2022年産が待ち遠しい。
酸味 ●●●●◯
果実味 ●●●◯◯
タンニン感 ●●●◯◯

今月の講師
石井 もと子
ワインジャーナリスト
ワイン輸入商社勤務後、米国で栽培と醸造を学ぶ。1996年、ワインコンサルティング業務などを行う株式会社ベイシスを設立。日本ワイナリー協会顧問。
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ディーン&デルーカとフィガロワインクラブのコラボイベントを開催しました。家飲みをランクアップさせるワザとは? イベントリポートをぜひチェックして。(ワインクラブ部長)
ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けた新しいコミュニティ。知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信中!
*「フィガロジャポン」2025年4月号より抜粋