なぜ、ひとりが寂しいのか? 切れ目なく恋人をつくる理由。

Beauty 2016.10.28

破局したかと思えば、すぐに別の人と付き合い、そしてまた別れて……を繰り返しているテイラー・スウィフト。なぜ切れ目なく恋人をつくるのか?その理由を、精神科医のジェラール・マクロン氏と分析する。

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テイラー・スウィフトは、DJのカルヴィン・ハリスと別れた直後に、今度は俳優のトム・ヒドルストンと恋仲に……そしてわずか交際3カ月でスピード破局。(Met Gala 2016、ニューヨーク、2016/05/02) photo: Getty Images

カルヴィン・ハリスとの破局が報道されたわずか15日後には、新しい恋人のトム・ヒドルストンとの交際が発覚したテイラー・スウィフト。単に自分勝手な理由で別れたというだけなのだろうか? もしくはこの世界に注ぐ愛というものが、あり余っているとでもいうのだろうか? 恋人を短期間で取っ替え引っ替えする人の心理状態に、『Psychologique de la solitude (孤独の精神医学) 』の著者で、精神科医のジェラール・マクロン氏とともに着目する。

——恋人がいなかったことがほとんどない、っていう人いますよね。それは、孤独が怖いからでしょうか? それとも単なる偶然なのでしょうか? または惚れっぽいだけでしょうか?

ジェラール・マクロン(以下G):「人が誰かと関係を築くとき、ある程度生活において安定した精神状態であるということが重要です。相手に、何かを満たしてもらうことを期待しないためです。大人として、私たちはひとりひとり自立した人間で、自分のことは自分でコントロールします。つまり、恋人との関係は、日常にプラスをもたらしますが、自分が存在するために必要不可欠というわけではありません。一方、恋人に切れ目がない人というのは、生きているという実感や安心感、そして大切にされている感覚を覚えたい、また、自分が見捨てられているということを感じたくない、そのために、常に誰かと一緒にいることを必要とします。彼女たちは、相手が自分の要求にすべて応えてくれるという幻想を抱いているのです」

——では、精神的な欠乏感というのは、何が原因で引き起こされるのでしょうか?

G:「一般的に、満たされない感覚というのは、幼少時代に関係していると言えます。たとえば両親があまり感情を表に出してくれなかったり、またはひどく批判的であったり、もしくは悲しい別れを経験したり、身内に不幸があったり、両親が離婚をしたり……。両親によって感情的な欲求が満たされなかった子どもというのは、非常に傷つきやすく、また自分は見捨てられた価値のないものであると思い込んでしまいます。すると、苦しみに耐えられない性質が形成されます。別れは、幼少期に覚えた不安を想起させるため、そのままの苦しい状態を保っていることに耐えられなくなってしまうのです。もちろん子どもだったら状況をうまく処理することができないこともありますが、もう大人です。そして大人は、大人を必要としないものです」

「別れは、幼少期に覚えた不安を想起させます」

——そのような人たちに、特徴はあるのでしょうか?

G:「同じタイプ同士でお互いに惹かれあうことが多く、相手がいないと生きられない、依存した関係性を作る傾向があります。このタイプは、しばしヒステリックでナルシスト、自己中心的であり、自分を崇める献身的な相手がいることで満たされるというような特徴があります」

——それでも、幸せな関係を築くことはできるのでしょうか?

G:「このような土台から出発すると、問題は少々複雑です。ひとりでいることができない人は、壁にぶつかるでしょう。自分が相手に投影し、思い描いている素敵なイメージが、現実と違うということに気づくからです。たとえ相手が、自分の要求を満たしてくれるパートナーだったとしても、一緒に共有できるものはあるのでしょうか。お互いに望みすぎた果てに、いずれ別のものを求める時が訪れるでしょう」

——そんな女性たちはどうしたらいいのでしょうか?

G:「自分を見つめなおす必要があります。カウンセリングを始めるのもいいでしょう。自分が抱える孤独と向き合うこと、また、別れというものは悲しみを伴うことであり、痛みとは何かで満たせるものではなく、積み重なっていくものであるということを、受け入れる必要があります」
 
(1) 『Psychologique de la solitude (孤独の精神医学)  』 (Odile Jacob出版) 
 

texte : Lucile Quillet (madame.lefigaro.fr), traduction : Sawako Yoshida

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