心を穏やかに落ち着けるお香を、日々の暮らしに。

Beauty 2021.03.13

「香文化はおよそ1500年前、仏教とともに伝来しました。仏への祈りの香りに始まり平安時代には遊びの香りへ、室町時代は芸道として日本独自の文化を確立。江戸期に隆生、明治期には一時衰退しましたが、現在は再び脚光を浴びています」と語るのは、香十の元代表・稲坂さん。

香水やアロマといった西洋の香りが明るく溌剌としたイメージなのに対し、白檀や伽羅、沈香といった貴重な天然原料でできた日本のお香は心を穏やかにし、乱れた精神を落ち着けてくれる。朝、清々しい一日を始めるために、また一日の終わりに香を焚きしめれば、瞑想しながら心地よい眠りへと導かれる。日本人を魅了し続けた香文化に想いを馳せながら日々のリズムを整えたい。

香りをアートに昇華させた新感覚派。

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星屑¥3,300、聖なる木¥2,640 各12本入 香の舟(H2.5×W10×D6cm、白磁×プラチナ彩)¥5,500/鈴木仁子(以上東京香堂)

香をアートとして発信する東京香堂。世界中の素材を調合したモダンな香りは現代のライフスタイルにも合わせやすい。「星屑」は、天然水晶にフランキンセンスやユーカリを配合したもの。

年月が醸し出す、落ち着きの香り。

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山水香 短寸¥1,210/香老舗 林龍昇堂 箱型香立て(本体H7.5×W7.5×D7.5㎝、蓋H1×W8.5×D8.5㎝)¥23,100/広瀬陽、中に入れたもみ灰¥550/東京香堂(ともにテン)

天然の沈香を練りこんで作った線香。沈香は樹木の中の油脂が年月を経て凝固したもの。甘く落ち着いた香りで、鎮静効果があるといわれる。

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天正年間から続く、風流な余韻。

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高井十右衛門1575 ¥2,750/香十 お香立てS(H2.5×W11×D11㎝)¥19,250/ハヤトツツミ

御所御用を務めていた香の老舗、香十を代表する香り。沈香や白檀、甘松を組み合わせた調香は8代目十右衛門から伝わるもので、雅な印象。燃えた後、部屋に漂う煙の余韻までを楽しむことで五感が研ぎ澄まされる。

春風を予感させる、雅な清らかさ。

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春陽 祥薫¥1,100/香老舗 松栄堂 お香立て(H1.5×W16.5×D2㎝)¥19,800/シナモン プロジェクト(アイムオーケー)

京都に創業して300余年の歴史を持つ松栄堂。ライフスタイルに合わせた幅広いラインナップが楽しい。「春陽 祥薫」は、春風を感じる清々しい沈香にかすかな苦味を加えた雅味あふれる香り。

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貴重な香木の香りをクリアに再現。

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薫風・沈香¥1,320/詩仙香房 ガラスインセンスバーナー(H10×W8×D8㎝)¥7,920/クリアー ビー(ハント トーキョー)

千葉の成田山新勝寺の東門前と谷中に店舗を構える詩仙香房は、素材そのものの香りがクリアに立ち上るようこだわって研究を重ねている。王道の沈香をはじめ、梅や桜、桃など花の香りも。

爽やかな甘さの老山白檀で清々しく。

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線香 老山白檀¥2,750、観月の香皿(香皿H0.7×Φ11.2㎝、香立H0.6×Φ2.5㎝)¥3,960/ともに薫玉堂(負野薫玉堂)

創業425年、薫玉堂の調香帳には代々伝わるレシピが記されている。インド産の老山白檀は爽やかな甘さが特徴。天然成分で最高品質のお香を、現代の暮らしになじむモダンな香皿とともに。

*『フィガロジャポン』2021年3月号より抜粋

photos:SATOSHI YAMAGUCHI, stylisme:YUMENO OGAWA, texte:JUNKO KUBODERA

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