Editor's Blog

写真展で、パリ・オペラ座バレエの余韻に浸る。

今日は寒いですね……。窓の外を見たら雨が雪に変わっていてうろたえた編集YUKIです。

部屋にこもりながら、今週観てきた素晴らしい展覧会をご紹介します。
3月11日(水)から、銀座のシャネル・ネクサス・ホールでスタートした写真展『ピエール=エリィ ド ピブラック展 In Situ』。

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madameFIGARO.jpの連載「パリとバレエとオペラ座と。」でもおなじみ、先日来日公演が行われた世界最高峰のパリ・オペラ座バレエ団を、本拠地パリのガルニエ宮とバスティーユ歌劇場で撮影した写真の数々が展示されています。

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©CHANEL

初日の前日に行われた内覧会には、写真家のピブラックさん本人も来場。
ダンサーたち、そして劇場の美しさを捉えたシリーズの600以上もの作品から、このプロジェクトの真髄を表していると感じられる作品60点ほどを厳選したそう。今回は、思い描いていたとおりの展示が実現できた、初めての展覧会だといいます。

ピブラックさんがこのプロジェクトにかける想いを語ったインタビューは、発売中の「フィガロジャポン」4月号に掲載しているので、ぜひご覧ください!

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©CHANEL

写真は3テーマに分けられており、最初に撮影されたのが「コンフィダンス(Confidences)」シリーズ。ダンサーたち自身にフォーカスしてほしいとの想いからモノクロで撮影したそうですが、会場に入ってすぐの場所には、このシリーズの例外的なカラー作品4点が。“円(circle)”をテーマにしたというこの作品たちに、冒頭から惹きつけられます。

会場全体をスムーズに回れて、ひとつひとつの作品に自然と向き合うことができたことにも感激しました。これにはちゃんと理由がありました。

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振り向いた時にどの作品が見えるかも考え、情報過多にならないようにするのが会場作りのポイントだった、とピブラックさんは語ります。作品ごとに固めるのではなく、ダンサーの動きも意識して、導線と呼応するような配置にしたそう。“レス・イズ・モア(少ないことは豊かなこと)”なこの空間自体が作品です、とキュレーターのインディア・ダルガルカーさんもコメント。

印象的なブルーは「In Situ」を象徴する色。そしてモノクロームはシャネルの色。そぎ落とされた美しさが際立ちます。

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壮麗なガルニエ宮にダンサーたちを配した、まるで絵画のようなカラー作品のシリーズ「アナロジア(Analogia)」には、撮影当時まだ若手だった、今回の来日公演にエトワールとして出演したレオノール・ボラックやユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェの姿も。

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この屋根の上で撮影されたアイコン的な写真は、ピブラックさんにとって特別な思い入れのある作品。その理由は本誌インタビューでも語られていますが、祝祭的な雰囲気にしたいと思い、当初予定していた衣装から、撮影直前に真っ白の衣装に変更。ポーズは事前にある程度決めて、現場でダンサーたちと一緒に作り上げていったそう。

そして個人的に驚いたのが、「カタルシス(Catharsis)」シリーズの作品サイズが予想外に小さかったこと。このシリーズは会場内でゆるやかに仕切られた、映像作品が流れるスペースに展示されています。このシリーズは、ダンサーたちの身体から発散されるエネルギーを受け取って、心に生まれるエモーションを表現したという、抽象絵画のような作品。下の展示風景から、その静謐な雰囲気が伝わるでしょうか。ぜひ会場で実物を目の当たりにして、じっくり浸ってみてください。

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©CHANEL

いずれの作品も、ダンサーの息遣いやその場の空気まで感じられるほど親密な雰囲気にあふれています。

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©CHANEL

『ピエール=エリィ ド ピブラック展 In Situ』は、いまの状況をふまえて話し合いを重ね、予定どおりのスタートを決めたそうです。美しい写真たちが観る人の心を癒やしてくれたら、との想いも込められているそう。まさに心が照らされ、潤いを与えてくれる体験でした。そんな体験を、多くの方ができることを願っています。

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そしてピブラックさんは現在、家族とともに京都に暮らしています。これは日本をテーマにした、新しいプロジェクトのため。内面における“亡命(exile)”をコンセプトに、映画的な演出で撮りたいと思っている、とのこと。そして日本文学や芸術作品も取り入れたいそう。どんな作品になるのか、これを聞いただけでもワクワクします。

今回の「In Situ」も、秋に延期となった『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020』にて展示。まだまだ春も体感できていませんが、先に楽しみができるのはうれしいものです。

体調を崩しやすい時期にこの寒暖差はこたえますが、無理せず暖かくしてお過ごしください。

『ピエール=エリィ ド ピブラック展 In Situ』
会期:開催中~3/27
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京・銀座)
開)12時~19時30分
会期中無休
入場無料
https://chanelnexushall.jp/program/2020/operadeparis

【関連記事】
〈連載〉パリとバレエとオペラ座と。
ピブラック氏インタビューを掲載!「フィガロジャポン」4月号

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