
銀杏の腐った臭気は吐き気がする?

ところ変われば、品変わる、ではないけど、ところ変われば、臭い変わる?
仏のネット・ニュースをみていたら、「住民から訴状相次ぐ。銀杏の実が放つ臭気に、住民たち吐き気がする、と騒ぎ出す」というニュースが目に入った。
バニューというパリの近くの町で、街路樹として植えられている銀杏の木から、今年も多くの銀杏が落ちてきて、それが堪え難い悪臭を放ち、通る度に吐き気がする、と住民が町役場に訴えているという。伐採してほしい、ということらしい。
臭気だけでなく、ブーツで銀杏の上を歩くと足を滑らせてしまうし、バギーを押している主婦は、車輪に銀杏の実が挟まって、動けなくなるという。それにしても大袈裟だな、と思わずにはいられない。年に数日間の臭いのために、街路樹を切ってしまうなんて。
日本ではその実を美味しいおつまみにしてお酒を呑むのに、バニューでは町の清掃車がやってきて、さっさと捨ててしまうのだろうか。なんだかもったいない。和食通が多いフランスなのに、だれかレシピを教えてあげればいいのに。
そういえば私も若い頃は、あの腐った臭いのするロックフォール・チーズを食べる人が信じられなかった。エポワスなんか、近くに置いてあるだけで、気分が悪くなったものだ。それが今や両方共、大好物になっている。
昔は東京にいた母親がよくお味噌を送ってくれていた。ところがそれがいつの間にか台所で消えてしまう。どうやらお手伝いさんが、捨ててしまったらしい。
「ですけどマダム、あれは腐っていたので、捨てました」といってけろりとしていた。
どうやらその日から、腐ったものを大好物だという奇妙な日本人の女主人の味覚は、お手伝いさんからあまりあてにされなくなった。
それにしてもバニューの銀杏はどうなったのだろうか。銀杏の街路樹はどうしたのか。
そろそろ初詣の準備を始めた近所の氷川神社を今朝も通ったけど、四百年の樹齢を誇る銀杏の巨樹が堂々としていた。つい「日本に生まれてよかったね」といいたくなる。
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