
白茶の季節「シャンパーニュフルート&中国茶のマリアージュ」
急な猛暑に辟易しますが、いかがお過ごしですか。
夏が近づくと必ず飲みたくなるお茶があります。
白毫銀針 (はくごうぎんしん)
福建省で産出される、新芽の先端のみを使用した贅沢な白茶で、中国語の説明書を見ると、「茶中美女」、「茶王」之美称などと表現されていて、繊細な甘さと高貴な香りが特徴。
英語名のシルバーニードルの方が、一般的なのでしょうか、。
さて、この優雅な名称の由来ですが、「白毫」とは白い産毛のことを指し、新芽にまるで銀針のような産毛がびっしりと生えていることから、この名がつきました。 歴代皇帝への献上茶でもあった高級品で、現在でも珍重されている中国茶のひとつ。
デリケートで品のよい口当たりはもちろん、このお茶の醍醐味は、そのビジュアルを愛でること。シャンパーニュフルート等グラスで頂くのがポピュラーな飲み方です。
ちょうどタイムリーに、香港の茶商マダムの友人が送ってくれたので、先日のパリスタイルの「ティータイムレッスン」でお出ししました。
茶器として使っているのはケトルですが、このコンパクトなサイズ感がとても使いやすく逸品。
アンティークシルバーのケトルといえば、華やかな正統派のティーパーティには不可欠な存在ですが、その反面、どっしりと威圧感があり、お湯を入れるとさらに重くて扱いが不安なので、実はデコレーションのみに使用という方が多いのではないでしょうか。
ケトルが登場した19世紀、当時のホステスは、サーバントのアシスタント付きの二人体制で、これを扱っていましたが、現在は、ホステス一人でお茶会を仕切るというのが一般的。火傷などでせっかくのティーパーティを台無しにしたくないもの、頑張りすぎず、適度に手を抜くのがおもてなしを成功させるコツです。
ところで、茶葉がステムの中にまで入っているのがご覧いただけるでしょうか。
こちらのグラスは「ロワイヤル・ド・シャンパーニュ」
ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」建設を機に、ルイ14世の命により創立された王立クリスタル工房(旧バイエルクリスタル)に由来するフランス最古のクリスタルメーカーですが、こちらはステムが空洞になっているのが特徴。
15年ほど前、東京ドームの「テーブルウエアフェスティバル」でのコーディネートさせて頂いた際、フランスの工房見学までさせて頂いた思い入れのあるブランドですが、シャンパーニュラヴァーとしては、泡の立ち上りをより長く感じることが出来る愛用品なのです!
このフルートに白毫銀針を合わせたくなる理由は、お湯を入れると、グラスの底から、ゆっくりと立ち上る翡翠色の茶葉を愛でる至福時間があるから。
ティキャディには、セーヴルの前身でもあるシャンティイ窯のポプリポットを。
シャンティイといえば、クレーム・シャンティイ、ロンシャン競馬場の方が有名かもしれませんが、この街は、フランス磁器の祖ともいえる美貌の公爵「アンリ・ド・ブルボン・コンデ公」の庇護の元、創設された名窯の地。
パリから行きやすいので、久しぶりに再訪したいと思いながらも、なかなか実現できていないと思いつつ、お茶を味わうひととき。
プーアル茶のような長い余韻でありながらも、軽やかで甘美な味わい。
レッスンでは数種類のお茶のマリアージュを提案していますが、この日は白茶をもう一つ。
アラン・デュカスとクスミティーのコラボレーション「テ ブラン アラン デュカス」
先ほどの味わいとは一新、フランスらしくローズ、フランボワーズなどアロマティックなメランジュです。
初夏の到来と共に思い出すのは、デリケートな白茶の香り。
皆様の元にも、素敵な夏が訪れますように!
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