詩を読んだら燃やし、仄かな蒸留酒の香りを楽しんで。
Culture 2021.01.05
読んだら火をつける、世界初の燃やす詩集。
『果実は空に投げ たくさんの星をつくること』
菅原敏著 ミトサヤ刊 ¥2,420
読み終えたページを破り、マッチで火をつけ、蒸留酒の香りとともに楽しむ、世界初の燃やす詩集。
「ある日、世界中のレモンをポケットに 船に乗って逃げ出したふたり」。
非日常へと誘う切符のような44編を1編、もう1編と燃やしていくと、赤いラインに侵食されて、言葉は墨色の古裂のようにひるがえり、灰に変わる。特殊な和紙を使っているので、お香のようにゆっくり燃えて、秘密めいた儀式のような時間も、詩の続きだと気づく。
*「フィガロジャポン」2021年1月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI