栄光から絶望へ......破綻したキャサリン皇太子妃の母、キャロル・ミドルトン。

Culture 2024.01.29

人気ドラマ「ザ・クラウン」シーズン6で意外な活躍を見せるのがキャサリン皇太子妃の母、キャロル・ミドルトンだ。だが実際の本人は経営するパーティーグッズ会社が破綻し、非難にさらされている。

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エリザベス女王の葬儀に参列したキャロル&マイケル・ミドルトン夫妻。(ウィンザー、2022年9月19日)photography: Abaca

「アメリカ人はキャサリン皇太子妃の母親がイギリス版クリス・ジェンナーだとは知らなかったんだろう」と、あるネットユーザーはつぶやいた。2023年12月14日に配信開始されたNetflixドラマ「ザ・クラウン」シーズン6でキャロル・ミドルトンはなかなか重要な役回りを与えられている。第7話で野心家のキャロルはウィリアム王子の腕の中に娘を飛び込ませようと、 "ステージママ"ばりに戦略的な動きを見せる。「ママ、彼は王子なのよ......」と、母親の態度に納得できない若いケイト・ミドルトン(メグ・ベラミー)から抗議されてもキャロル・ミドルトン(イヴ・ベスト)は動じない。

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ふさわしくないなんて思わないで

「あなたのお父さんと出会ったとき、お父さんだって私にはもったいない人だったわ。私はカートを押して歩く、しがない客室乗務員だったもの」と言うと、「お父さんのお祖母さんは女王陛下の叔母と親しかった。お父さんのお父さんは英国空軍でフィリップ殿下と一緒だった。だから私はなんて幸運なんだろうと最初は思った。それから事業を始めて成功して、お父さんは仕事を辞めて、家族のためにフルタイムで事業に専念するようになった。そうして気づいたの。もしかしたら逆だったかもしれないと。お父さんの方が幸運だったのだと。自分を卑下してはだめ。自分がふさわしくないなんて思わないで」。

キャロル・ミドルトンが実際、娘にこんなふうに語ったかどうかはわからない。しかし、英国王室専門ジャーナリストのティナ・ブラウンは、「母親がふたりのロマンスの行方を効果的に手助けしていなければ、いまのキャサリン皇太子妃はなかったと思う」と話す。カーダシアン家のクリス・ジェンナーを彷彿とさせる話だ。クリス・ジェンナーも客室乗務員を経て弁護士のロバート・カーダシアンと結婚した後、娘たちをせっせと売り出した。キャロル・ミドルトン、旧姓ゴールドスミスは奇しくもクリス・ジェンナーと同じ年に生まれた。正確には1955年1月31日にロンドンで生まれた。

叶う夢

1980年6月、キャロルは英国航空時代に知り合った航空機運航管理者のマイケル・ミドルトンと結婚した。2人の間には3人の子どもが生まれた。1982年にケイト、1983年にピッパ、1987年にジェームズ。ジェームズが生まれた年、キャロルは娘ケイトの5歳の誕生日を祝おうとして、好みのパーティーグッズを見つけるのに苦労した。この経験をヒントにパーティーグッズの会社を立ち上げ、パーティー・ピーシーズと名づけた。やがて夫のマイケルも経営に加わり、ミドルトン夫妻は一財産を築く。

それは同時に、3人の子どもたちを年間54,525ドルかかるマールボロ・カレッジに通わせ、バークシャーに590万ドルの豪邸を購入することを可能にした。あるいは長女ケイトがウィリアム王子と出会うことになるスコットランドの大学、セント・アンドリュース大学へ娘を通わせることも。2011年、キャロル・ミドルトンの夢は叶った。長女がイギリスの王位継承者と結婚したのだ。以降、ビジネスウーマンは多くの王室行事に招待され、孫を可愛がる者同士としてエリザベス女王と仲良くなった。

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260万ポンドの負債

しかし、2023年6月、夢は悪夢に転じる。「デイリーメール」紙は、ミドルトン夫妻のビジネスが破綻したことを報じた。同紙によると、会社の負債は260万ポンドにまで達した。ブレグジット、インフレ、コロナ禍によって事業は大打撃を受け、とりわけ2021年から2022年にかけては、90万ポンドの損失を計上した。デイリーメール紙が伝えたところによると、債権者が債権を回収できるみこみは「ほとんどない」。

債権者の一部はキャロルの"裏切り"を憤っている。「一番傷ついたのは、未来の国王の義母として彼女を信頼していたのに、裏切られたことです。こんなことは絶対に許されません」とある納入元の広報担当はカンカンだ。これに先立つ2023年3月、キャロル・ミドルトンは経営再建コンサルタント会社のインターパスに、「売却先や新規投資の獲得も視野に入れた戦略的選択肢」について助言を求めたと、「デイリー・テレグラフ」紙が明らかにしている。

パーティ・ピーシーズは売却先を求めて合計175社とコンタクトを取ったようだ。2ヵ月後、同社はいったん裁判所の管理下に置かれた後、イギリスの大富豪ジェームズ・シンクレアへ売却された。しかし負債が完済される保証はない。2023年10月、キャロル・ミドルトンはインスタグラムで、損失は会社再建のための戦略の一環であり、ヨーロッパ、アメリカ、中東の新市場開拓のための大規模な投資がおこなわれたと説明した。

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自分の甘さを悔やむ

もっとも、匿名の関係者がデイリーメール紙に語ったところによれば、キャロル・ミドルトンは「ひどく落ち込んでいる 。キャロルはもちろん動揺しているしこの状況に深く失望している。この5ヶ月間、彼女はビジネスを発展させるだけでなく、全ての未払い債務を返済してくれる売却先を見つけようと奔走した」そうだ。責任を全うする気はあったらしい。「キャロルは責任を取らないとと思っており、自分が何十年も育ててきたビジネスを他の誰かに任せてしまった自分の甘さを悔やんでいる。会社がこのような形で売却されるのを見るのは、本当に悲しいことだ」と匿名の関係者は言葉を続けた。

ケイト・ミドルトンの評判

キャロル・ミドルトンはいまや、八方塞がりだ。新しく事業を始めることは、娘のイメージをさらに損なうリスクがあるため、不可能だ。2023年11月5日付「エクスプレスUK」紙に寄せられた証言によれば、「パーティー・ピーシーズが従業員への支払不能に陥り、イギリス王室ウィンザー家の名は少々傷ついた」。それゆえ、王室がこのような事態が再び起きることを受け入れるはずがない。「王室メンバーは、真面目に働く人たちのお手本になるべきであって、他人の損失で利を得る人たちのお手本になるべきではない」からだ。

結果としてミドルトン夫妻は新規事業の立ち上げをあきらめたそうだ。「夫妻は新しいビジネスプランにのめりこんでいたが、結局、娘の評判を守るために、会社の設立をあきらめた」と匿名の関係者は語った。「夫妻がすることはすべてキャサリン皇太子妃にしわ寄せがいく。だから、夫妻はひっそりとしているほうが望ましい」。事業運がないのは夫妻の息子のジェームズも同様だ。ジェームズはこれまで5つの会社を立ち上げたが、その多くが倒産している。現在経営しているエラ&カンパニー社はドッグフード販売会社だが、2023年に業績が大幅に悪化した。運に恵まれているのはどうやらピッパとケイトのミドルトン姉妹だけのようだ。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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