注目のアルバム3選!ホープ・タラ、ダークサイド、マリネロの最新サウンドをチェック。
Culture 2025.03.18
注目の新作が続々登場!ホープ・タラのデビュー作『ホープ・ハンドリトゥン』は、ネオソウルとR&Bの素晴らしい融合を見せ、ダークサイドの『ナッシング』はエレクトロニクスと即興演奏の新しい境地を開拓。また、チカーノソウルを新たなレベルで表現するマリネロの『ラ・ラ・ラ』も見逃せない。それぞれのアーティストが生み出した新しい音楽を今すぐチェック!
ウエストロンドンから登場した新しい才能。
『ホープ・ハンドリトゥン』ホープ・タラ

新世代ネオソウルの歌手、待望のフルアルバム。2019年に発表した「Lovestained」で注目を集め、オバマ元大統領もファンだと公言する実力派。進学の課題のひとつとして作曲を始めたことが音楽活動のきっかけというユニークな経歴を持つが、ジャズやR&Bのエッセンスを取り入れたソングライティングには堂々たる風格が感じられる。英国の名門ブリストル大学で英文学を専攻していただけあって、哲学的で内省的な歌詞も高く評価されており、繊細な歌声とともに優しく耳に響く。
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エレクトロニクスと即興演奏の幸せな融合。
『ナッシング』ダークサイド

浮遊感と躍動感。一見、相反するような感覚だが、これが見事に共存する音楽がここにある。著名なプロデューサーとなったニコラス・ジャーとマルチ楽器奏者のデイヴ・ハリントンに加え、新たにドラマー兼楽器デザイナーのトラカエル・エスパルザを迎えたことで生まれた3作目。フランスとロサンゼルスにまたがってレコーディングが行われている。クールに打ち続けるビートとともにさまざまな音色が聞こえてくるが、さらには気だるいボーカルが人間味を演出。近未来的なイメージにも魅了される。
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洗練された夢心地のヴィンテージポップ。
『ラ・ラ・ラ』マリネロ

米国西海岸における音楽カルチャーの大きな柱と言えるのがチカーノソウル。メキシコ系アメリカ人によるスイートなソウルミュージックは、昨今大きな注目を集めている。その急先鋒と言えるのがマリネロことシンガーソングライターのジェス・シルヴェスター。アッパーなラテンのリズムからオールディーズ風の甘いハーモニーまでを駆使し、少しレトロな雰囲気のサウンドを作り上げていく。軽やかで緩やかなサウンドの隙間から、夢見るようなカリフォルニアの情景が浮かび上がる。
*「フィガロジャポン」2025年4月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto