フィリップ リム、京都探訪 舞台裏。

Culture 2018.01.22

3.1 フィリップ リムのクリエイティブディレクター、フィリップ リムが初めて訪れた憧れの街・京都。伝統工芸の職人や禅寺を訪ねた旅は感動の連続に。本誌では伝えきれなかったエピソードと、フィリップ自身が撮影したスナップ写真をスペシャル公開!

180119-31philliplim-01.jpg

大徳寺 龍源院の方丈前庭「一枝坦」を静かに眺めるフィリップ。

京都屈指の禅宗寺院、大徳寺。その塔頭のひとつ、龍源院は歴史的な建築と美しい庭園が見所。フィリップは、檜皮葺(ひわだぶき)の表門や、方丈建築の縁と敷石、玉石、白砂のグラフィックな配列、それぞれの庭園に静かに見入っていました。そして「日本人はテクスチャーの名人。さまざまな素材を異なる場所に使っている」とポツリ。禅に親しんでいるだけあって、東文洋住職の極楽浄土についての哲学的なお話にもすぐに反応。「好きなことをして楽しみを見出せたら、そこがヘブンになるんだ」と言っていました。

大徳寺 龍源院 Daitokuji Ryogenin

住所 : 京都府京都市北区紫野大徳寺町82-1
tel : 075-491-7635
拝観時間:9時~16時20分 
料金:一般¥350

 

180119-31philliplim-02.jpg

建仁寺 両足院の池泉回遊式庭園。雨が降り注ぐしっとりした風情も美しい。

日本最古の禅寺である建仁寺の塔頭のひとつ、両足院。ここでは雨音と鳥のさえずりを聞きながら、初の坐禅を体験。伊藤東凌副住職の英語での説明に導かれ、自らの内側と向き合うとても濃い時間を過ごせたよう。伊藤副住職の袈裟(けさ)に興味を示し、生地を触ったり質問したりして、さすがデザイナーという一面も。ファッション好きの副住職は、3.1 フィリップ リムのこともご存知で、それがフィリップにとっては意外なうれしい驚きのようでした。街中にいながら、自然と静寂に包まれていることにも感動して、「泊まっていい?」という言葉は半分本気だったのかも?

建仁寺 両足院 Kenninji Ryosokuin

住所 : 京都府京都市東山区大和大路通四条下ル4丁目小松町591
tel : 075-561-3216
拝観時間:特別公開時で異なる。
料金:一般¥600(特別公開時のみ)
https://ryosokuin.com

 

180119-31philliplim-03.jpg

カイカドウカフェで日本茶をいただいて、その奥深い味わいを堪能。

手作り茶筒の老舗、開化堂が手がけるカイカドウカフェでは、新旧入り混じる大胆なリノベーションが、フィリップの心を捉えたよう。1875年の創業以来、茶筒一筋という話に感銘を受け、早速、自宅用に茶筒をひとつ求めていました。実は取材当日はカフェの定休日。フィリップと同世代の6代目八木隆裕さんは海外出張で不在ながら、その奥様と5代目ご夫婦の温かいおもてなしもまた、京都の魅力、うれしい出会いとして、フィリップの心に焼き付いたことと思います。

カイカドウ カフェ Kaikado Café

住所 : 京都府京都市下京区 河原町通七条上ル住吉町352
tel : 075-353-5668
営業時間:10時30分~18時30分L.O. 
休:木、第一水曜 ※夏季、年末年始休業あり
www.kaikado-cafe.jp

 

180119-31philliplim-04.jpg

細尾の1階の応接間で、家宝ともいえる端切れの屏風に釘付け。

西陣織の老舗、細尾では、12代目細尾真孝さんがお出迎え。まずは1階の応接間で、細尾の歴史や西陣織についてお話を伺いました。2階のショールームにはサンプル生地のほか、細尾さんが中心となって活動する、京都の伝統工芸の後継者からなるプロジェクトユニット「GO ON」のアイテムがずらり。説明を受けるたび、「すばらしい! 僕も仲間に入りたいよ」と言っていたフィリップ。200年の歴史ある空間とモダンなインテリアのミックスもとても気に入って、「この部屋が好き。ここにいるとすごく自然に感じるよ」とも。

ハウス オブ ホソオ House of Hosoo

住所:京都府京都市上京区黒門通元誓願寺下ル毘沙門752
tel : 075-441-5189
営業時間:10時~17時(予約制) 
休:土、日、祝、12/26~1/3
www.hosoo-kyoto.com

 

180119-31philliplim-05.jpg

かみ添のショップで、熱心にポストカードを選ぶフィリップ。

かみ添は、唐紙職人・嘉戸浩さんのショップ兼工房。到着するなり、引き寄せられるように店内に並ぶ美しい紙製品を手に取っていました。2階の工房では、嘉戸さんが木版摺りを実演。「紙を摺る音が瞑想的でいいね」と言ったり、「光は必ず自然光で?」「作業する時間帯は決まっている?」など、さまざまな質問を投げかけていました。エイジングする金箔で染めた唐紙を気に入り、自宅に飾りたいとオーダー。額は嘉戸さんの友人でもある木工家、川合優さんに頼むことに。初のコラボレーションと、嘉戸さんも喜んでいました。「京都では訪れる先々で美しさに魅了されてばかり」としみじみ語っていたフィリップ。ここでじっくり選んだポストカードには手書きのお礼メッセージを書いて取材先やスタッフへ……。So sweet!

かみ添 Kamisoe

京都府京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
tel : 075-432-8555
営業時間:12時~18時 
休:月、不定休
http://kamisoe.com

 

180119-31philliplim-06.jpg

陶芸家・村田匠也さんのショールームで。「貝殻みたいに、何か聞こえてきそう」と耳を近づけるお茶目なフィリップ。

繊細なフォルムと温もりのある質感で独自の世界を築いている陶芸家の村田匠也さん。ここでもショールームに入るなり、「美しい」「すごい」を連発しながら作品を手に取っていたフィリップ。工房では、製作途中の作品を手にして、「まるで何も持っていないみたいに軽い!」とその繊細さに驚いていました。2点求めた作品のうち、縁が波型の鉢は、すでに持っている日本人作家の木のボウルと並べたいのだとか。「同じような形で、ふたつ並べるとすごくいい感じになるはず」と新しいインテリア計画にワクワクしていました。

陶芸家 村田匠也 Takuya Murata

●作品は、昂KYOTO六々堂などで取り扱いあり。

 

訪れる場所場所で、興味津々で作品を眺めたり、建築や空間の美しさに感嘆したり。念願の京都訪問は、フィリップにとって発見と出会いに満ちた素晴らしい体験になったよう。取材の途中、「僕はなぜ?って質問をあまりしないんだ。どうやったら手に入れられる? どうやったらできる?っていつも自分に問いかけている」と言っていたのが印象的でした。ぶれない軸をもち、思慮深く、そしてチャーミングで温かいハートを持つフィリップ。京都での経験が、これからの作品や活動にどのように影響するのか、とても楽しみです!

*「フィガロジャポン」2018年3月号にて、「フィリップリム、京の古と革新を訪ねて。」を掲載中。

 

フィリップ リムの、京都旅スナップ集。

念願叶い、やっと京都を訪れ大興奮だったフィリップによるプライベートショット。本人のコメントとともにどうぞ!

Place: Kaikado Café
the beautiful shelves of Kaikado Café. I love the colorful tea caddies on the wall. I remember having the best green tea during the shooting.
開化堂カフェの美しい棚。棚の中に並ぶカラフルな茶筒が大好き。その撮影の合間に入れていただいたお茶のおいしさが忘れられない!

Place: House of Hosoo
Hello! Mr. Hosoo.
こんにちは!細尾さん。

Place: House of Hosoo
and here he is, Mr. Hosoo greeting us at the entrance – so chic! I loved the delicate and innovative fabrics.
そして、細尾さんご本人がエントランスで出迎えてくださいました。すごくシック! デリケートでイノベ―ティブな西陣織がとても素敵でした。

Place: outside Daitokuji Temple
it is amazing to see the beauty of bamboo sticks used in Kyoto. They make every day things with such care and detail.
京都では、いたるところに竹が美しく使われている気がする。すべてにおいてとても丁寧に、ディテールを持って作られていることに感動を覚えます。

Place: Japanese Garden inside Daitokuji
the garden at Daitokuji was breath taking. It was such a nice moment to just sit down and understand the garden. You don’t need any explanation to understand the beauty of a Japanese garden - you feel it.
この大徳寺内にある龍源院の日本庭園は心が洗われるようでした。座りながら庭園を味わうひととき。庭園の美しさは説明できない、感じてほしい。

Place: Japanese Garden inside Daitokuji
Different textures combined to make one beautiful landscape. This juxtaposition is breath taking.
さまざまな素材を一つに合わせて、一つの美しい風景を創り上げている。このジャクスタポジションは、息をのむほどの美しさです。

Place: Kamisoe
Wow! such beautiful tools! I wonder how Mr.Kado used these..
うわーとても美しい道具! 嘉戸さんはこれをどのように使うのかな?

Place: Kamisoe
Alluring art piece made by Masaru Kawai.
木工家、川合優の魅力的なアートピース!

Place: Kamisoe
Mr. Kado showing us how the make karakami paper. Every piece is a one and only handmade craft. If you go to his shop. I recommend you to buy his letter sets.
嘉戸さんが実際に唐紙を作っている様子を見せてくださいました。どの作品も世界に一つしかない手作業を施されたもの。彼のお店に行かれる方はそこでレターセットを買うことをお勧めします。

Place: Garden of Ryosokuin Temple
No Words Nessecary!
この美しさは説明いらずだね!

Place: Ito Monk at Ryosokuin Temple
after the Zen meditation. The super cool Ito Monk. Thank you so much for making this wonderful experience come true.
スーパークールな伊藤さんと坐禅後の一枚。この素晴らしい体験を叶えてくださりありがとうございます。

Place: Zen Meditation with Ito Monk at Ryosokuin Temple
During the Zen Meditation. The natural green garden and the rain dropping was such a magical experience that I will never forget.
坐禅中の一枚。緑の多い日本庭園と雨が滴る音、この神秘的な経験は一生忘れません。

Place: Takuya Murata’s Atelier
the spot where all of the magic happens – at Takuya Murata’s atelier. Simple, yet cosy.
すべてのマジックが起こる場所。村田匠也さんのアトリエにて。シンプルでありながらとても温かみのある空間。
all photos et texte:Phillip Lim

photos:SHIN EBISU, texte:NATSUKO KONAGAYA

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories