フィガロが選ぶ、今月の5冊 山崎まどかがガーリーカルチャーを語る書評エッセイ。
Culture 2018.10.10
ガーリーカルチャーの地図が、浮かび上がる書評集。
『優雅な読書が最高の復讐である
山崎まどか書評エッセイ集』
山崎まどか著 DU BOOKS刊 ¥2,376
「ナボコフの『ロリータ』のヒロインは、どんな服を着ていたのか」という考察で始まるこのエッセイは、単なるブックレビューの枠を超えて、ガーリーカルチャーがいかにして生まれたのか、その系譜を俯瞰した詳細な地図を描き出してみせる。このジャンルにおけるフェティッシュな知識量、センシティブな目配りにおいて著者の右に出る者なし。マリリン・モンローがジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の文体を気に入っていたエピソードなど知られざる逸話も満載で、一冊の本の思いがけない履歴に驚かされる。
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*「フィガロジャポン」2018年10月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI