ソウルフルからセクシーまで、多彩なボーカルを堪能!
Culture 2021.04.29
時代を超越した歌の力で、深淵な世界へ誘う。
『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』/アンドラ・デイ
女性ジャズボーカリストの最高峰として、誰もが賞賛するビリー・ホリデイ。虐待、人種問題、性差別、薬物依存などと闘いながら44歳の若さで逝去した壮絶な生きざまは、どんなフィクションよりもドラマティックだ。彼女の人生を描いた伝記映画が米国で話題だが、このサウンドトラックも本編と同じく力作に仕上がっている。ビリー役を演じてアカデミー主演女優賞にノミネートされているアンドラ・デイが、「オール・オブ・ミー」や「レディ・シングス・ザ・ブルース」などのビリーのレパートリーを歌った一枚だ。
アンドラはスティーヴィー・ワンダーなどに認められてデビューし、ラファエル・サディークやコモンなどとも共演する実力派。何より本作収録の「奇妙な果実」の魂を込めた熱唱ぶりを聴けば、主役に起用された理由がよくわかるはず。
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サウスロンドンから現れた、斬新なインディーロック。
『ニュー・ロング・レッグ』/ドライ・クリーニング
エモーショナルかつクール。少し重々しく、ダブテイストのリズムに絡まり合いながらソリッドなギターが響き、歌というよりは朗読に近いフローレンス・ショーのボーカルが映える。一昨年に登場するやメディアが大絶賛した4ピースバンドが、ついにフルアルバムを発表。サイケデリックからポストパンクにまで通じる、アートなロックがここにある。
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サマソニでの熱演も話題!北欧スタイルのロック。
『 ピュア・ファブリケーション』/コミュニオンズ
来日公演も行い、日本でも人気が高いデンマークのコペンハーゲンを拠点に活動するロックバンド。メンバーの脱退を経てマーティンとマッズの兄弟2人組になったが、ギターロックのマナーに則ったスタイルは健在。ときには壮大なスケールで展開する絶妙なアレンジと、キャッチーさを忘れないメロディ、そして少し気だるいボーカルスタイルがセクシーだ。
*「フィガロジャポン」2021年6月号より抜粋
réalisation : HITOSHI KURIMOTO