会話を盛り上げるコツは、相手から話しかけさせること。

Culture 2021.06.18

ネットやアプリなどの発達で液晶画面を介した会話が増え、対面会話の機会が減ったいま、「会話が盛り上がらない」と感じることは多くないだろうか? 書店には、話し方や会話術の本が並び、コミュニケーションをテーマにした講演・セミナーも頻繁に行われているが、これらはいずれも「積極的に話しかける」タイプのものばかり。

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画像はイメージ photo:fizkes_istock

「うまく話す自信がない」「嫌な顔をされたくない」と思う人にはハードルが高いものだ。今回は、「『無言』か『ひと言』のみで会話を盛り上げ」て、「相手から好かれる」ことをテーマに書かれた『話しかけなくていい!会話術』(木村隆志著、CCCメディアハウス刊)から、ほかの人に話しかけられるようになるコツを抜粋してお届けする。

文/木村隆志

相手のネクタイや時計などをじっと見る

誰でも他人から興味を持ってもらえるとうれしいものですが、面識のない人にジロジロ見られたり、根掘り葉掘り聞かれたりすると、抵抗を感じるのではないでしょうか。しかし、相手から目をそらしているようでは、話しかけられる可能性を上げることはできません。まずは自分から相手に興味があることをわかりやすく、感じよく、目で伝えたいところです。

相手の顔や体を見つめるのは、打ち解けた間柄でない限り、「この人、何?」と思われてしまうため、同性でも避けたほうがベター。じっと見つめるのは、相手のネクタイ、スカーフ、時計、ネックレス、指輪、カバンなどの装飾品や持ち物にしましょう。それらを心の中で「いいなあ」と思いながら見つめることで、その気持ちはほどよく相手に伝わるものです。

もし相手があなたの見ているものを指さして「これですか?」と尋ねてきたら、「はい。いいですね」などと軽くホメておけばいいでしょう。逆に何も話しかけられなかったとしても問題なし。この本に書かれた別の方法を使って会話をスタートさせればよく、そのうち相手から「そう言えばさっき僕(私)のこれ、見ていませんでした?」と聞かれるものです。

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この方法は、そもそもが「相手の装飾品や持ち物に興味を持ち、ホメる」という好感度の高い行動。相手の気分がよくなる上に、「人はホメられると、ホメ返したくなる」傾向があるので、笑顔が飛び交うなごやかなムードになりやすいのです。

この方法を使うとき、照れや不安から、すぐに見つめるのをやめてしまう人がいますが、それでは意味がありません。あくまで相手そのものではなく、相手のモノを見つめるだけ。恥ずかしがるどころか、ホメるという相手にとってうれしいことをしているのですから、相手が「この人、僕(私)のこれを見ているな」と気づくまで見つめるようにしましょう。

相手のモノ以外では、会場内の設備や貼り紙、ステージ上の催し、料理、スタッフなど、その場に関係あるモノも、見つめることで話しかけられるきっかけになります。さらに、窓のある会場やロビーなどでは、景観や空模様を見つめることで、「何を見ているんだろう?」と関心を持たせることが可能。とにかく自分のモノ以外ならチャンスがあるのです。

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誰かの会話を“勝手に”盗み聞きする

この方法は言わば、盗み聞き。誰かの話を横で黙って聞いていることで、いずれ「あなたはどう思いますか?」「こうだと思いませんか?」などと話しかけられるというものです。

この方法のポイントは、勝手に第三者の立場になり、消極的に首を突っ込むこと。〝岡目八目〞という言葉をご存じでしょうか。これは「碁を打っている人よりも、わきから見ている人のほうが八目も先まで手を見越すことができる」という意味。すなわち、当事者たちよりも、第三者のほうが的確な判断ができることを表した言葉です。

このように第三者の客観的な目から、「自分たちのやり取りを聞いていた人がどう思ったのか?」「同意してくれるのか? それとも違う考え方があるのか?」などと聞きたい人は多いもの。尋ねられたあなたは、自分の意見を言ってもいいし、思い浮かばなければ「良かった」「面白かった」と肯定的な返事をしておけば、その後の会話は弾むものです。

「人の話を勝手に盗み聞きするなんてありえない」と思った人は、会話のチャンスをみすみす失っているか、空気を読めず強引に会話の中に入ろうとしているか、のどちらか。そもそも多くの人が集まる場で、「他人に聞かれたらまずい」話はしないので問題ないのです。

特に1度でも話したことがある人の話であれば、どんどん盗み聞きするべき。パーティーや交流会などで数分前に話しただけの人でも、何ら問題はありません。あえて、「消極的なのか、積極的なのか、どちらとも取れる」ポジションで話を聞くことで、話しかけられやすくなることもあるのです。一方、面識がない人の場合は、会話の内容に注意。当事者の仲がよく、内輪話や深い話をしているときは、首を突っ込まないようにしましょう。

ただし、当事者の許可を得ず、勝手に話を聞く以上、笑顔で好意的な態度を取ることが最低限のマナー。無言のあいづちをするほか、話の肝となるところでは「なるほど」「そうか」「へえ〜」などと聞こえるかどうかわからないくらいの小声で反応すると、話しかけられるきっかけになります。また、距離感は当事者同士と同じでは近すぎて図々しいだけなので、少しだけ離れた位置から聞くようにしましょう。

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ミーティングや井戸端会議は主役の左隣を確保

あなたは仕事上の会議や食事会などで、どの席に座りますか? 座席の位置によってあなたの印象は変わり、ひいては、話しかけられやすさも増減するのです。基本的に、近い距離感に入れるのは心を許した人だけ。だからこそ、会議や食事会など複数の人が集まる場では、できるだけ話しかけられたい人の隣に座りたいところです。なかでも仕事上の話し合いを優位に進めるためにおすすめなのは、リーダーや進行役の左隣。話し合いの中心となる存在だけに、同意の声や参考意見を求められやすくなります。
さらに上司と部下の関係なら、「積極的な人だな」という高評価につながったり、「俺について来ようとしているのかな」と気分良くさせられたり、同僚同士でも「サポートしてくれた」と好感度が上がるなどのメリットがあるので、積極的なポジションを取りましょう。

逆に、リーダーや進行役に〝手を伸ばしても届かない〞距離の席に座ると、話しかけられにくいだけでなく、心の距離も遠くなり、それを補うためのコミュニケーション術が必要になります。うまくいかなければ、「やる気がないのか」「目も合わせたくないのか」などと思われかねないので注意しましょう。

ちなみに左側へ座るのは、右利きの人が多いから。ペンや箸、資料などを持つのが右手であれば、逆の左側のほうが体を向けやすく、そこに座る人の顔がよく見えます。一方、右側に座ると肩越しになることが多く、話しかけにくいので、右利きの人のときは避けましょう。

また、この方法は会議にしろ、食事会にしろ、「話し合いが終わったあとの気軽な雑談タイムでは、なお話しかけられやすい」という点もメリットの1つ。話し合いがスムーズならご機嫌で話しかけてくれるでしょうし、うまくいかなくてもその状態を共有したという同志のような存在になれる可能性があります。

余談ですが、この方法は合コンにもおすすめ。異性の幹事の左隣に座ると、話しかけられる機会が増え、他メンバーの情報も集まり、自分のことも理解してもらいやすくなります。

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『話しかけなくていい!会話術』
木村隆志 著
CCCメディアハウス

 

texte:TAKASHI KIMURA

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