オールブラックの非現実的な世界観に魅了されて。【2025年春夏トレンド解説|中島沙希編】
Fashion 2025.02.18
Q1. 2025年春夏を振り返り、全体的にどのようなコレクションでしたか?
Q2. 気になるトレンド(スタイル・アイテム・カラー・素材など)は何ですか?
Q3. 特に印象に残ったブランドはありますか?
Q4. 実際に取り入れてみたいスタイリング方法、または欲しいアイテムを教えてください。
Q5. 特に印象に残ったショー(会場セットや音楽、ムードなど)はありますか?
Saki Nakashima
中島沙希
モデル
@saki_nakashima
A1. 多くのブランドが軽量で動きやすい素材を使用し、軽やかさが目立っていました。また、サステナビリティも意識したブランドが増えていて個人的にうれしかったです。
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特にディーゼルでは、廃棄されたデニムを14.8tも使用したステージが印象的で、スケールも大きく心打たれましたし、ステラ マッカートニーは環境配慮素材を91%とこれまで以上に高めてきて、さすがだなと思 いました。シャネルやエルメスでは、日常での着用を意識した流れるようなドレープやエアリーな質感、対照的にロエベやサカイはミニマリズムの中に新しい構造を織り込み、アヴァンギャルドな雰囲気が好みでした。音楽や動線、モデルの歩くスピード感や衣装の捌き方を見て、学ぶことも多かったです。
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A2. オールブラック。普段黒の洋服しか着ないので、自分が着たい黒のアイテムにまず目が行きます。なかでも、ダイナミックなシルエットでありながらも、華奢なディテールのスタイルに惹かれます。今季気になったのはマックイーン。洋服だけでなく、シャープなブラックアイラインと、毛先にかけて自然に揺れるヘアスタイルが好みでした。
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A3. エレガントなムードも好きですが、クレージュ、リック・オウエンス、バレンシアガの、幻想的な演出と非現実的な世界観にグッときました。さっそく撮影でもいくつか着させていただいたのですが、締まりと揺れなど、デザイン性が高く日常着に不向きなスタイルは、リアルじゃないからこそ惹かれるものがあります。印象深いのは襟元。クレージュのスタンドカラー、マックイーンやリック・オウエンスのハイネックのゴツさなど、ボリューム感は違えど、繊細さが共通して好みです。もちろん、どれもオールブラックだということもお気に入りポイントのひとつです。
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A4. 頭から足先まで包み込まれるスタイリング。ホールドされた腕や、歩幅が狭くなるようなハードなアイテムを取り入れたファッションで生活してみたいです。仕事で着ることもあるので、これを着て撮影したいな、着るとどんなポージングがかっこいいかな、と考えながらショーを見ていました。
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A5. 波、煙、鳥、植物......自然の演出が印象に残りました。クレージュのショーはセンターステージの演出が特に良かったです。水を使った波の演出かと思いきや、何千個もあるスチールボールが、円形の移動構造によってクラッシュし、創り出す波音。目を瞑ると海辺にいるような感覚になりました。そして、やはりマルニ。モデルとして私がショーに出演させていただいたのは4回目ですが、毎シーズン演出が刺激的で歩きながら胸躍ります。今回のウォーキングのルートは無作為な動線。ゲストとの距離もすごく近かったのと、床に6つのカラー分けがされていて歩きながら混乱しそうになったりと、緊張感が高かったぶん、より楽しめました。
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*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋
photography: Spotlight, amanaimages