ゴールデングースのものづくりの情熱が渦巻く、巨大なクリエイティブハブ「HAUS(ハウス)」とは?

Fashion 2025.05.30

イタリアはヴェネツィア発のブランド、ゴールデングースが、2023年にブランド発祥の地に創設したクリエイティブハブ「HAUS(ハウス)」。ブランドの拠点であり、グローバルな文化プラットフォーム、そして卓越した職人を育てるアカデミーでもあるこの施設で、2025年5月7日、革新的なアートへの没入体験とクラフトマンシップにフィーチャーしたイベントが開催された。

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これまでに「HAUS(ハウス)」が一般公開されたのは、限られた機会に数日間のみ。そのエクスクルーシブな存在に注目が集まっていたが、今回、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2025の開催に際し、世界中からゲストが集う特別なイベントを実施。イタリアンセレブから、美術館長といったアートに造詣の深い人物、そしてスケートボード競技メダリストのキーガン・パーマーやコーリー・ジュノーまで、幅広い招待客が来場した。フィガロジャポン取材班も潜入し、そのヴェールに包まれた施設を覗く。

ファッショニスタのクローゼットに欠かせない、ゴールデングースの哲学。

まず、ゴールデングースというブランドについておさらいしたい。

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ゴールデングースは、ヴェネツィア出身のアレッサンドロ・ガッロとフランチェスカ・リナルドが「自分たちが着たいものを作る」というコンセプトのもと、2000年に設立。ヴェネツィア周辺の職人工房で手作りした製品を展開していた。この地域には、15世紀から続く靴づくりの伝統など、ものづくりの土壌があり、職人の手仕事を大切にする思いがあふれているのだ。

ゴールデングースといえば、欠けた星がトレードマークのスニーカーを思い浮かべる人も多いだろう。2007年に誕生し、現在もなおブランドのアイコンであり続けるそのスニーカーのインスピレーション源となったのは、LAを旅行中に見かけた、スケートボーダーたちの履き古したスニーカー。すり減り具合や汚れがクールななムードを放つ様子はたちまちアイコンスニーカーの誕生につながった。

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職人技を活かしたクラシックでエレガントな商品を作ること以上に、異なる視点で取り組み、上質な素材と職人技はそのままにヴィンテージ感を加えたり、わざと汚したり、または思いもよらないピースやデザインを加えてカスタマイズ。最高にクールでカジュアル、そんな一点ものを作りだしたのだ。

イベントで体感する、ゴールデングースの芸術性。

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今回のイベントでは、1万平方メートルを超える巨大な施設のなかに縦横無尽に飾り付けられたゴールデングースのアイコンアイテムたちのディスプレイとともに、イタリア人アーティストのマルコ・ブランビッラとパリ・パレ・ド・トーキョーの共同創設者で、革新的なキュレーターとして知られるジェローム・サンスのキュレーションによる個展「Altered States(変容した状態)」を開催。

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(左から)ジェローム・サンス、マルコ・ブランビッラ

マルコ・ブランビッラは、ビデオインスタレーションや、バーチャルリアリティ、デジタルコラージュなど、映像とデジタルメディアを横断しながら、幻想的なランドスケープを生み出してきた人物。今回の個展では、映画を夢の状態として捉え、「HAUS(ハウス)」の空間を現実と仮想が溶け合う流動的な空間へと変容させるインスタレーション作品を連発。来場者はカラフルに輝く幻想的なエキシヴィションを体感しながら、ファンタジックな世界に身を投じていく。

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さらに、会場内では、ゴールデングースの哲学であるクラフトマンシップを体験できるコーナーも。スタッフによるデモンストレーションやゲスト自身がシルクスクリーンに挑戦、そしてゴールデングースのアイコンに触れる機会を通し、クリエイティビティの深さに実際に触れていく。見て、触れてと、創造する意欲を掻き立てる取り組みは、まさに「HAUS(ハウス)」が発信してきたパワーそのもの。

「HAUS(ハウス)」に込められた創造性とクラフトマンシップ。

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「HAUS(ハウス)」内は、イタリア文化の真髄を体現する「PIAZZA」、ノウハウを伝える場所「ACADEMY」、ブランドのアーカイブや歴史を展示する「ARCHIVE/LIBRARY」など10のスペースに分かれている。

ゴールデングースは、創業者のアレッサンドロとフランチェスカがオフィスを「心地よく仕事ができる家のようなスペースにしよう」と、2000年にヴェネツィアの港湾地区マルゲラ港の巨大な倉庫の中に一軒家を建て、そこを拠点にビジネスを展開してきた。そのブランド発祥の地に創設されたのが「HAUS(ハウス)」だ。

展示スペースやオーディトリアム、ファクトリーなどのいくつかの施設が併設され、ゴールデングースが"ドリーマーズ"と呼ぶ、世界を股にかけて夢を追いかける者たちのコミュニティとともに運営。多彩な分野からさまざまなバッググラウンドを持つクリエーターたちが集い、ゴールデングースの哲学を表し、継続していくために、クラフトマンシップ、カルチャー、アートを融合させた巨大なクリエイティブハブとして機能している。

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「ACADEMY」
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「PIAZZA」

スペースのひとつ、「ACADEMY」では、次世代の職人Dream Maker(ドリームメイカー)を育成。熟練の職人が、創造性を育み、匠の技を未来につなぐための知識やスキルを直接伝授している。ここには、靴づくりやテーラリング、シルクスクリーンプリント、DJ、パブリックスピーキングなど、現代的な文化活動まで、多彩な分野のコースやセミナーが用意されている。小さな工場のようなスペース「MANOVIA」では、製品のイノベーションやリペアを行っている。サーキュラーエコノミーの考え方の普及と共に、アイテムを大切に長く使うという考えが広がっているが、ここにはその実践を支える体制が整っている。また、ブランド誕生以来の代表的ピースを収蔵、展示する「ARCHIVE」も圧巻だ。

この夏、日本に「HAUS TOKYO」がオープン。

 ゴールデングースの創造性とクラフツマンシップを育む「HAUS(ハウス)」。ヴェネツィアからそのスピリット受け継いだ店舗が、今年の夏、銀座に上陸する。アパレルショップの枠組みを超えて、没入体験型のリテール空間として、クリエイティビティや卓越した職人の技術を発信しながら、グローバルなアートコミュニティのハブとしての機能を備えるという。

「HAUS TOKYO」は地下にDJブースもかまえ、4フロアに渡る大型店になる計画。ドリームメイカーたちと話し合いながら、自分だけのピースを創りあげる。そして一点もののアイテムを愛し、リペアしながら長く使い続ける......そんな永遠のファッションスタイルを作りに、「HAUS TOKYO」を訪れて。

問い合わせ先:
ゴールデングース 青山店 
tel. 03-6803-8272
https://www.goldengoose.com/

 

text: Megumi Takahashi

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