たとえば、熟練の技術者が、まだ駆け出しの新人の悪戦苦闘を目にして、「ここを少しだけ変えれば、今よりうまくいくよ」とアドバイスする、といったことがあります。ちょっとしたコツで劇的にうまくできるようになりますが、熟練の技術者と同じレベルに至るのは、まだまだずっと先のことです。遙か高いレベルに至るまでには、踏まなければならないたくさんのステップがあります。そのステップをできるだけ飛ばさずに踏んでゆくことで、いつか、アドバイスをくれた相手と同じ地平に立つことができます。それはとても遠い場所かもしれませんが、それでも、ちゃんとステップを踏んでいけば、必ずたどり着ける場所です。
今週の貴方はもしかすると、上記のような風景を体験するかもしれません。遙か遠くにある目的地だけれど、この小さなステップを踏んでいけば、いつかきっと到達できる。そのリアルな手ごたえを感じることができるのです。この手ごたえは、地に足のついた自信に繋がります。人から教えを受けることは、恥ずかしいことでもなんでもありません。むしろ、本気で頑張っている人には、みんなが「何か教えたくなる」「どうにか導いてあげたくなる」ものなのです。人からアドバイスをもらうということは、自分が「ちゃんと頑張れている」ことの証拠です。
このところ非常に忙しくなっているはずですが、その忙しさのさなかに、いろいろな差し入れや、厚遇や、引き立てを受けていることに気付いているでしょうか。「よく考えると、けっこうよくしてもらっている」「そういえば、優遇されている気がする」と思えるなら、それも貴方の「実力のうち」です。