マッシのアモーレ♡イタリアワイン 「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」から5年......マッシが教える、ランチからワインを「イタリアらしく」堪能する方法!

Gourmet 2026.02.27

日々の生活を彩るワインを自分らしく楽しむフィガロワインクラブ。イタリア人ライター/エッセイストのマッシが、イタリア人とワインや食事の切っても切り離せない関係性について教えてくれる連載「マッシのアモーレ♡イタリアワイン」。今回はマッシと一緒にイタリアンレストラン・サイゼリヤへ! ランチからワインを愉しみつつ、サイゼを堪能し尽くす方法とは?


イタリアの風を肌で感じ太陽の光を浴びながら楽しむランチは、情熱的でありながらも穏やかな時間だ。ピエモンテで生まれ育ち、日本に住んで20年が経つけど、僕の身体の中を流れるイタリア人の血は常にその時間を求めている。日本で手軽に、かつ深くイタリアのようなランチを味わえる場所はどこだろう。答えは意外なほど身近にある。みなさんおなじみの「サイゼリヤ」だ。

多くの人はここをリーズナブルなファミリーレストランだと思っているだろう。でも、イタリア人の僕から見れば、ここは「イタリア」だ。ルールに縛られず、自分の感性で味を組み立てられるし、何よりも低価格で気軽に注文できる。自分の人生に寄り添ってくれる、これこそが、イタリア流の食事の楽しみ方、「ラ・ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」なのだ。

イタリアのランチにワインは欠かせない。昼から飲む背徳感なんて、イタリアには存在しない。むしろ、ワインがあることで午後の生活が彩られるとさえ信じられている。

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ボトルワインのセレクションがたくさんある店舗もあるが(そしてとてもリーズナブル!)、あえてデカンタで飲みたい量を、というのが「イタリアらしいランチ」かも。
 

サイゼリヤのデカンタで供される白ワインを眺めてほしい。その透明感のある黄金色は、僕が故郷のピエモンテのトラットリアで慣れ親しんだハウスワインそのものだ。グラスに注ぎ、まず香りを愉しむ。そしてひと口。爽やかな酸味が喉を駆け抜けた瞬間、僕の意識は一気にイタリアへと飛ぶ。

かつてお母さんと囲んだ食卓、友人と笑いあった昼下がり。あの賑やかで温かな空気感が、たった数百円のワイン1杯で蘇るのだ。ここで大切なのは、ただ喉を潤すことではない。「自分はいま、イタリアにいる」という魔法を自分にかけることだ。ワインをきっかけに、目の前の風景を変えていく。そんな遊び心も受け入れてくれるのが、サイゼリヤの真骨頂だ。

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ミラノ風ドリア×バッファローモッツァレラ

僕がサイゼリヤで最も愛しているアレンジ料理がある。それは、不動の看板メニュー「ミラノ風ドリア」に、別皿で注文した「バッファローモッツァレラ」を乗せることだ。熱々のドリアの上に、冷たくてフレッシュなモッツァレラを乗せる。スプーンで混ぜ合わせると、ドリアの余熱でチーズがゆっくりと溶け出し、純白の糸を引く。

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モッツァレラはナイフで細かくちぎってからのせ、ドリアが熱いうちに満遍なく混ぜ合わせるのがコツ。

ミートソースのコク、ターメリックライスの香ばしさ、そこに加わるモッツァレラの濃厚なミルクの甘み。オリーブオイルと塩、胡椒をかけるとイタリア感をさらにアップグレードできる。数百円のひと皿は、一気に高級感あふれるメニューに生まれ変わる。

イタリア人は、テーブルにあるものをそのまま受け入れるだけではなく、より自分好みに、より情熱的に作り替えることを厭わない。自分の舌を信じ、最高の味を追求するそのプロセスにこそ、食の喜びが詰まっている。

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マルゲリータピザ×ポテトのグリル

次に紹介したいのが、「マルゲリータピザ」と「ポテトのグリル」。これらを別々に食べるのは、イタリア人の情熱からすれば少しもったいないと感じる。僕はマルゲリータの上にポテトを大胆に乗せ、さらにオリーブオイルをひと回しして、それを半分に折り畳む。これで、即席の「カルツォーネ(包み焼きピザ)」の完成だ。

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届いたマルゲリータピザの上にポテトを丁寧に並べ、半分に折りたたむ。

大きく口を開けてかぶりつく。ピザ生地のモチモチ感の中から、ポテトのホクホクとした食感と絶妙な塩気があふれ出す。トマトソースとチーズがそれらをひとつにまとめ上げ、口の中で完璧なハーモニーを奏でる。炭水化物に炭水化物を重ねる背徳感を感じる人もいるかもしれない。でも、それは「幸福感」の別名だ。

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誰かと一緒なら、ピッツァカッターで切り分けてシェアしてもいい。この美しい断面を見て❤︎

カルツォーネをひと口食べた瞬間、目の前のテーブルは、ナポリの路地裏にあるピッツェリアへと変わる。自分の手で、目の前の料理を発明する楽しさは、幼い頃に粘土で何かを作った時のような、純粋な創造する喜びを思い出させてくれるだろう。


食事の締めくくりにドルチェは欠かせない。なんと、サイゼリヤのドルチェは、イタリアから直輸入されている。この事実は、僕たちイタリア人にとって、どれほど心強いことか!特におすすめしたいのは、イタリア直輸入の「プリン」と「ティラミス」の盛り合わせだ。

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イタリア人の友達と、別の場所でディナーをしたのに「ドルチェが食べたい!」と盛り上がってサイゼリヤにデザートだけ食べに来たことも(笑)。

濃厚な卵のコクが感じられる、しっかりとした固さのプリン。そして、マスカルポーネの香りが鼻を抜ける、口どけ滑らかなティラミス。それらを交互に味わいながら、残った白ワインを少しずつ啜る。

甘み、酸味、苦味。そしてワインの余韻。この満足感は、数万円を払う高級リストランテで得られるものと本質的には変わらない。なぜなら、そこには「自分の感性で食事を最高のものにした」という達成感と、故郷への深い愛があるからだ。

サイゼリヤでアレンジを楽しみながらランチをしていると、周囲の視線を感じることがある。驚き、困惑、あるいは好奇心。僕は、もっと多くの人に自由になってほしいと願っている。イタリア料理の真髄は、レシピを完璧に再現することではない。目の前にある食材を慈しみ、どうすればもっと楽しく、もっとおいしく、もっと「自分らしく」なるかを探求する情熱そのものにある。今回、この記事で紹介した僕のアレンジだって、読者のみなさん好みにさらに進化させることだってできるのだ。

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ピエモンテのトラットリアの風景。友達や親戚の家ではボトルワインを開けるけれど、外食では記念日でもない限りデカンタでハウスワインを頼むのがイタリアの日常だ。

サイゼリヤに行けば、いつでもイタリアに行ける。ワインを頼み、チーズを乗せ、ピザを折り畳み、相手と楽しく喋る。そこには、僕たちが愛してやまない「イタリアの日常」と、生きる喜びが確かに存在している。

次にサイゼリヤの扉を開ける時、あなたはもう自分だけのイタリアを創り出す、ひとりのアーティストだ! その情熱を持って、最高のひと口を楽しんでほしい。

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