伝説のバイヤー、マルトが提案する色を楽しむ暮らし方。
Interiors 2019.04.19
新しい年度がスタートし、日ごとに明るくなる日差しに心浮き立つ季節。そんな時期に、フランスからバイヤーのマルト・デムランが、春にぴったりの色彩を纏ったアイテムたちを連れてやってきた。
バザー・エ・ガルド‐モンジェの入り口に佇むマルト・デムラン。
マルトがバイヤーを務めるインテリアショップ、バザー・エ・ガルド‐モンジェには、彼女が世界中からセレクトした家具や雑貨、洋服などが並ぶ。それは斬新でどこかユーモラスで、思わず手に取ってみたくなるものばかり。お披露目されたばかりの新作について、マルトに話を聞いた。
相反するテイストを、大胆にミックス。
新作がずらりと並んだ店内。
−−今回の来日ではテーブルコーディネートライブ「マルトの食卓」が開催されますね。何かテーマは決まっていますか?
春らしいフレッシュな色を使って、カラフルなコーディネートにしたいと思いました。英国プリントのファブリックとカートゥーン、エスニックな色合いの陶器をミックスします。洗練されたテイストと野生的なアイテムのコントラストがテーマです。
4月に行われたテーブルコーディネートライブ「マルトの食卓」の様子。 ※イベントはすべて終了しました。
−−マルトさんにとって、テーブルコーディネートのコツやポイントは?
自宅のテーブルをコーディネートする時には、料理と皿、テーブルクロスなどファブリックの色のコントラストを考えるのが好きです。このお皿に鮮やかな色のサラダをのせてみよう、なんて想像しながら。フェミニンな要素とマスキュリンなテイストを組み合わせるのもいいですね。
−−今回の新作の中で、特にお気に入りのアイテムがあれば教えてください。
ヴィンセント・ヴェルデ(Vincent Verde)の陶器はずっと私のお気に入りです。彼はマルセイユ出身の作家で、地中海からインスピレーションを得て作品を作っています。まるで研究室のようなアトリエで、自分だけの色を探そうとしているんです。
ヴィンセント・ヴェルデの新作は、海を思わせる深く鮮やかなブルーが印象的。¥12,960~
それからヴィンテージレースのマットを使った女性作家、マイロ(mailo)の作品。彼女は染色もすべて自分で手がけています。陶器とミックスしてうつわとしてテーブルに置いてもいいし、鮮やかな色のものは壁に飾っても。アートでありデコレーションでもありますね。
私は色が持つ力をとても大切に考えています。このマイロの作品も、形が同じでもソフトピンクとダークグリーンとではまったく印象が違う。私は色が物を包み込んで別のものが生まれる、そうした反応を見るのが好きなんです。
お店のブルー&グリーンの壁に、マイロの作品(Sサイズ¥12,960~)をランダムに飾って。右下のほうに写っているワイヤーアートは、マルトのご主人であるフランク・ドラ氏によるもの。¥75,600~
また、ボン・アヴァンチュール(Bonne Aventure)の陶器は、日本に持ってくるのは今回が初めて。作家の女性はもともとグラフィックデザイナーでしたが、さまざまな国を旅してインスピレーションを受け、陶器を作りはじめました。メキシコやモロッコ、スペイン、日本……。彼女はいつも、「私はパーフェクトなものは好きじゃない。人生もパーフェクトなんてあり得ないでしょう?」って言うんです。だから彼女の作品は形がいびつだったり、筆の跡が残っていたりします。
思わず笑みがこぼれてしまいそうな、ボン・アヴァンチュールの作品が初来日。1点¥4,860~。写真左上に写っている、顔の形をしているオブジェは、中に鈴が入っていて、振ると軽やかな音がする。頭にいいエネルギーを与えてくれるラッキーチャームなのだそう。
ジュリー・ランソンによるウッドと糸の照明も、新しい色合わせをいくつか発表しました。明かりをつけると網目状の影が空間にできて、とても綺麗です。
やさしい雰囲気を作り出すジュリー・ランソンの照明。¥102,600〜
グリーンのウッドと暖色系の糸を合わせた、照明の新色も店内にディスプレイ。奥の鉢に挿した顔の形のオブジェは、ボン・アヴァンチュールによる、植物に水をやるための器具。素焼きでできていて、中に水を入れると必要な量だけ土に浸み出していく。さまざまな作家の異なるテイストが心地よく調和するコーナー。
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日本で見た、忘れられない風景。
フランスの木と革の職人、ダミアン・ベールによるバッグもマルトのお気に入り。¥45,360~
−−今回は、表参道を皮切りに二子玉川、神戸、福岡でイベントを開催されますね。楽しみにしていることはありますか?
私はいつも訪ねた先でさまざまな人に出会えるのを楽しみにしています。たとえば福岡の人と東京の人とは好みが違ったりします。どの土地でも、そこの人々が私に新しいフィーリングや感覚をもたらし、たくさんのことを教えてくれます。これはバイヤーとしてとても大切なこと。私自身、お客様に出会うことで成長しています。
洋服も世界のさまざまな国で買い付けてきたものが並ぶ。
−−日本で特にお気に入りの場所や景色があれば教えてください。
以前訪れた直島がとても印象に残っています。夫と一緒に2日間滞在し、現代アートと日本の古民家が同居するこの場所をゆっくりと散策して、日本の文化を感じました。地中美術館で、真っ白い空間にモネの作品が展示されていたのも印象的でした。
早朝に窓の外を見ると、海や岩が見えて、霧が少し出ていました。その景色はパステルカラーのピンク色で、葛飾北斎の作品を思わせました。とてもポエティックで、それでいて力強くて……私たちはその時、本当に日本の文化を感じたのです。
新作から、マルトが春らしいコーディネートを提案してくれた。
バザー・エ・ガルド-モンジェにはハッピーな色彩があふれ、さまざまなテイストと素材が自由奔放にディスプレイされている。あなたの部屋を楽しくする、刺激に満ちたアイデアにきっと出合えるはず!
Marthe Desmoulins
バザー・エ・ガルド-モンジェのコンセプター兼バイヤー。フランス・ブルターニュ生まれ。パリ1区のブティック「アブサント(Absinthe)」のオーナー・バイヤーとしてパリのファッション界で注目を集める。アブサントを閉店後、舞台衣装デザインやバイイングに携わり、現在はパートナーと南フランスに住みながらパリと東京を行き来する。
東京都渋谷区神宮前5-2-11
Tel. 03-5774-5426
営)11:00〜19:30
不定休
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