【へぇ!と驚く展覧会 3】美容界の女帝が集めた非西洋芸術。

Paris 2019.12.25

ヘレナ・ルビンスタイン(1872〜1965年)はアフリカ、アジア、南米などの非西洋アートのコレクターだった。それも投資目的ではなく自分自身の喜びのためで、集めた数は400点近かったそうだ。彼女がとりわけ熱心に収集したのは1930〜35年。アート商や収集家から購入していたのだが当時さほど高価ではなく、晩年、その値上がりに驚愕したことを自伝に書き残している。ヘレナが93歳で亡くなった翌年の1966年、ジュエリーや芸術作品など彼女の豊かな所蔵品はニューヨークで競売にかけられて散逸した。

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パリ、ラスパイユ大通り216番地の自宅にて、1930年頃。右端の像は19世紀のパプアのセンタニ湖地区の木彫りで、展覧会で実物を見ることができる。©Studio Lipnitzki / Roger Violet

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シテ島の自宅のアフリカン・サロン。1950年頃。©Paris, archives Helene Rubinstein- l'Oréal

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ラスパイユ大通り216番地では、いまも彼女が建築させたモダンな建物が眺められる。

このオークションの競売品カタログに掲載されていた彼女のプリミティブ・アート・コレクションを手掛かりに、1年がかりでキュレーターが世界中から集めた作品を鑑賞することができるのが、ケ・ブランリー美術館で開催中の『ヘレナ・ルビンスタイン、マダムのコレクション』展だ。ヘレナが自身の視点で選んで集めた彫像は、パワフルで美しく、そして意外性の高いユニークなものばかり。パリのシテ島、ニューヨークのパーク・アヴェニュー、ロンドンのナイツブリッジ……複数の都市に彼女は暮らしたが、土地が変われど彼女はどこでもアフリカの彫像をピカソ、ブランクーシ、モディリアーニといったほかの芸術作品とあわせて飾って鑑賞していた。海外出張には、お気に入りの彫像も船に積んで出かけたという。

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ヘレナ・ルビンスタインはクチュールドレスに身を包み、アフリカの芸術品とともに撮影されるのを好んだそうだ。その一点が拡大され、展示会場の壁を飾っている。

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カメルーンの支配領バングワで1897年以前に制作された女性像。Bangwa Queenと呼ばれる傑作で、彼女のお気に入りだった。

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自宅のアフリカンサロンの中央に置かれていた19世紀から20世紀初頭のバンマナの繰り人形。女性の身体の美しさへのヘレナの視線が感じられる。

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美容界の女帝と彼女を命名したのはジャン・コクトー。彼女がマダムと呼ばれるようになったのは、夫となるジャーナリストが考えたブランドの広告戦略による。これが展覧会のタイトルにも反映されている。そのマダムのコレクションは、1931年にパリで開催された植民地博覧会、1935年にはニューヨークのMomaの『アフリカン・アート』展に17点も貸し出されるほど質の高いものだった。美容界で成功を収めたヘレナ・ルビンスタインが収集したアフリカのマスクや彫像は、早い時期からアート界で高い評価を得ていたのである。この展覧会で彼女の審美眼を再確認することができる。

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中央はガボンの聖遺物箱を守る守護像(19世紀)。

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19世紀から20世紀前半にコートジボワールで作られた、人間型の男女ペアの櫛。

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ヘレナ・ルビンスタインの視点を介して見ると、日頃じっくり鑑賞しない非西洋芸術に興味が湧くのでは? これらがピカソをはじめ芸術家たちを魅了した理由がわかるようになるだろう。

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19世紀、ガボンの兜仮面。カオリンで白く塗られた4つの女性の顔に洗練された美しさが漂う。

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19世紀、コートジボワールの防御仮面。髪とひげをたくわえた顔に小さな穴が穿たれているのが珍しく、力強い作品である。

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19世紀のコンゴ民主共和国で作られた男性坐像。正面だけでなく背中も美しい。

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彼女の自宅内で、コレクションしているアフリカンアートやそのほかの芸術作品がどのように飾られていたのかをスライドで見ることができる。

『Helena Rubinstein La collection de Madame』展
Musée du Quai Branly-Jacques Chirac
37, quai Branly 75007 Paris
期間:開催中〜2020/1/28
開)10時30分〜19時(火、水、金~日) 10時30分~22時(木)
休)月
www.quaibranly.fr/fr

réalisation:MARIKO OMURA

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