昇級&カルポー賞。ブルーエンとギヨームの今後が楽しみ!

コール・ド・バレエのコンクールの結果13名が昇級。

パリ・オペラ座バレエ団のコール・ド・バレエ昇級コンクールが10月30日が女子、11月4日が男子という日程で開催された。その結果、ジェレミー=ルー・ケールとロクサーヌ・ストヤノフがプルミエに昇級。2010年に入団したロクサーヌは少々時間がかかったが、2016年にコリフェに上がり、そして2018年にスジェに上がっている。ジェレミー=ルーは2011年に入団し、2013年にコリフェ、そして2015年にスジェに。その間、彼は『パキタ』の主役、『白鳥の湖』のロットバルト役、『オネーギン』のレンスキー役など配役に恵まれている。ロクサーヌがどちらかというとコンテンポラリー作品に配役されることが多いが、10月のピエール・ラコットの新作『赤と黒』ではバレエ化にあたりラコットが重要性を持たせた小間使いエリザ役が好評だった。プルミエ・ダンスールへの昇級が待たれていた両者である。コンクールの結果はときに疑問を持つ声があがることがあるが、今回の2名の昇級は妥当な結果といっていいだろう。

balletcompetition-09-211217.jpg

プルミエ昇進者。左: ロクサーヌ・ストヤノフ 右: ジェレミー=ルー・ケール photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

そのほかの昇級者を見ていこう。女性でコリフェからスジェに上がったのは、ブルーエン・バティストーニとイネス・マッキントッシュ。昨秋のコンクールが延期されて今春に行われたコンクールでカドリーユからコリフェにともにあがったふたりだ。7月の公演『若きダンサーたち』では、イネスは『パリの炎』、ブルーエンは『眠れる森の美女』というようにクラシック作品に配役されている。そして、ふたりとも年末公演の『ドン・キホーテ』ではブライダルメイズ役でソロを踊っている。体型も個性も異なるものの、演劇性豊かに踊るふたりのこれからに期待したい。とりわけ、イネスより少し先輩できりっとした視線が印象的なブルーエンはステージでの存在感も増し、着々とエトワールへ道を歩んでいる感がある。次回の昇級コンクールでもしスジェからプルミエール・ダンスーズへの空席があれば、ふたりともビアンカ・スクダモア、ナイス・デュボスクといった強敵と競うことになるだろう。

balletcompetition-01-211217.jpg

スジェ昇進者。左: ブルーエン・バティストーニ 右: イネス・マッキントッシュ photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

コリフェからスジェに上がった男性はジャック・ガシュトゥットとアレクサンドル・ガス。後者は2007年に入団し、2011年からコリフェというから10年待ったことになる。『若きダンサーたち』ではアンジュラン・プレルジョカージュの『ロミオとジュリエット』に配役されていたように、どちらかというとコンテンポラリー作品での活躍が目立つ彼。プレルジョカージュの『ル・パルク』ではスピーディで力強い踊りが印象的だった。ローラン・プティの『ランデヴー』では主人公を踊っていて、コリフェの中でも豊かな経験と優れた技術で配役に恵まれていたダンサーだ。この勢いでプルミエへと上がってほしい。それに対して2017年入団のジャックがコリフェに上がったのは今春のコンクールであるから、コリフェ時代はたった半年である。これからどんな役が彼に与えられ、どのように育ってゆくのかが楽しみなダンサーだ。

balletcompetition-04-211217.jpg

スジェ昇級者。左: アレクサンドル・ガース 右: ジャック・ガシュトゥット photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

---fadeinpager---

コール・ド・バレエで最も人数が多いのがカドリーユである。したがってコリフェを目指すコンクール参加者の数も多い。女性は今回2席をめぐって17名が、男性は3席をめぐり18名が競った。昇級した女性2名は2006年入団のクレール・ガンドルフィと2020年入団のクララ・ムセーニュである。コール・ド・バレエ歴15年のクレールはその舞台経験を生かし、しっかりとしたパフォーマンスをコンクールで披露。入団1年目のクララは17名のコンクール参加者の最年少ながら確かなテクニックで昇級を勝ち取った。

balletcompetition-08-211217.jpg

コリフェ昇級者。左: クレール・ガンドルフィ 右: クララ・ムセーニュ photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

男性のコリフェ昇級者はギヨーム・ディオップ、ニコラ・ディ・ヴィコ、イザック・ロペス=ゴメスの3名である。ギヨームは2018年に入団し、2019年のコンクールおよび2020年4月のコンクールでも昇級できなかった。しかし6~7月の公演『ロミオとジュリエット』でレオノール・ボラックを相手にロミオを踊るはずだったジェルマン・ルーヴェが怪我で降板したため、代役だったカドリーユの彼がジェルマンの代わりに3公演を踊ることになり、それはパリのバレエファンたちの間ではちょっとした話題となった。プレッシャーもない様子で技術的にも芸術的にも素晴らしい舞台をレオノールとともに作り上げ、観客に良い印象を残した彼。コンクールでは当日のパフォーマンスの出来だけでなく日常の仕事も採点対象なので、今回の彼の昇級は誰もが予測できることだった。コンクール以前に発表された年末公演の『ドン・キホーテ』で彼はバジリオとエスパダの代役だったが、11月後半になって怪我によるダンサーの降板、新たな配役などが繰り返され……彼は最終的にレオノール・ボラックと2公演(注:うち1公演は中止に)、キトリの代役のエロイーズ・ブルドンと1公演を彼は踊ることに。これで一件落着と思いきや、レオノール・ボラックとのゲネプロでは彼女が脚を痛めたとかで、第3幕は突如エロイーズ・ブルドンがキトリで登場。若い彼の精神状態はいかがだったものか。もっとも12月11日のレオノールとの本公演初回では、ユーモアいっぱいに若さ弾けるバジリオを踊って彼は会場を沸かせた。何しろ彼が脚を上げれば、天を衝くかと思わせる勢いである。あどけない笑顔がキュートな輝ける新星は、次はどんな話題を提供してくれるのだろうか。

ニコラは臨時団員を経て、今年正式団員になったイタリア出身のダンサーである。すらり長身の彼。コンクールでは強い個性は発揮しなかったものの、12月公演の『ラプソディー』では第2配役で6名の男性コール・ド・バレエのひとりとして舞台上で、しっかりとした技術となかなかの存在感をみせている。これからもクラシック作品で観客の目を楽しませることだろう。活躍に期待したい。

balletcompetition-010-211217.jpg

コリフェ昇級者。左: ギヨーム・ディオップ 中: ニコラ・ディ・ヴィーコ 右: イザック・ロペス=ゴメス photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

---fadeinpager---

ブルーエンとギヨームに授与された第39回カルポー賞

24歳以下の将来有望なコール・ド・バレエのダンサーに贈られるカルポー・ダンス賞。1948年以来ガルニエ宮内に本拠地を構えるル・セルクル・カルポーが主催する賞で、2013年はセウン・パクとジェルマン・ルーヴェ、2015年はユーゴ・マルシャンが受賞というように、過去の受賞者のほとんどが、その後エトワールあるいはプルミエ・ダンスールに上がっている。コール・ド・バレエのダンサーにとって、この受賞は大きな栄誉であり励みなのだ。

昨年は新型コロナ感染症防止策でバレエの公演もなかったため見送られたが、今年は11月23日にブルーエン・バティストーニ(スジェ)とギヨーム・ディオップ(コリフェ)に第39回カルポー賞が授与された。上記に書いたように、図らずもふたりは今年のコンクールの昇級者である。通常通りオペラ・ガルニエ内でのセレモニーであることに変わりはないが、今回はロトンド・デュ・グラシエではなく地上階のロトンド・デザボネにてと会場を変え、さらに文化大臣のロズリーヌ・バシュロも出席。彼女のスピーチにより、賞のプレステージュがよりアップした感があった。

balletcompetition-012-211217.jpg

左: 11月23日の晩に行われた受賞セレモニーにて。文化大臣(右)もふたりを祝福。 右: 左からセルクル・カルポー代表者、ギヨーム・ディオップ、文化大臣ロズリーヌ・バシュロ、ブルーエン・バティストーニ、芸術監督オーレリー・デュポン。photos:Mariko Omura

オーレリー・デュポン芸術監督はスピーチで、入団直後のブルーエンにすぐさま大きな可能性を見いだしたことや、ギヨームの舞台度胸に触れるなどして彼らをたたえた。セレモニーを締めくくったのは、受賞者によるスピーチ。会場にはふたりと同世代の大勢のダンサーたちが集まり、『ロミオとジュリエット』でギヨームのパートナーを務め、また『ドン・キホーテ』でも彼と組むエトワール、レオノール・ボラックの姿も見えた。

balletcompetition-016-211217.jpg

左: ブルーエン・バティストーニ。スピーチで感謝を捧げる際に、対象者に向かってしっかりと語りかけていたのが印象的だった。 右: 7月の公演『若きダンサーたち』で、ケイタ・ベラリと『眠れる森の美女』を踊るブルーエン。photos:(左)Mariko OMURA、(右)Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

balletcompetition-017-211217.jpg

左: ギヨーム・ディオップ。オーレリー・デュポン、レオノール・ボラックへの謝辞はもちろん、イザック・ロペス=ゴメスやルナ・ペーニュなど仲間のひとりひとりに言葉を捧げた。着用スーツはディオールである。 右: 『ロミオとジュリエット』にて。エトワールのレオノール・ボラックを相手に、臆することなく見事な舞台を勤めたギヨーム。photos:(左)Mariko Omura、(右)Agathe Poupeney/ Opéra national de Paris

211223_ballet_01.jpg

オペラ・バスティーユの年末公演『ドン・キホーテ』で活躍するふたり。photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

editing: Mariko Omura

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories