スペイン植民地時代の面影残す
ユカタン半島のアシエンダに憩う
アシエンダ・ウアヤモン
~カンペチェ/メキシコ~
ホテルへBon Voyage 2012.10.19
メキシコには「アシエンダ」と呼ばれる荘園ホテルがあります。メキシコが16世紀から300年もの間スペインに統治されていた植民地時代、スペイン人は広大な荘園を造り、現地のメキシコ人を労働者として雇い入れ、サイザル麻やサトウキビ、フルーツ、コーヒー豆など、農場やプランテーション、繊維工場などを経営し巨万の富を築いたのです。敷地内には、工場や数々の店、病院、教会など日常生活に必要なものが揃い、栄華を極めたひとつの村のようでもあったと伝えられています。スペインが去った後はいずれも放置され、朽ち果ててしまったものが殆どでした。1980年代に入ると、徐々に現地の投資家やホテル運営企業、外資のホテルグループなどの手が入り、高級感溢れる荘園ホテル「アシエンダ」として生まれ変わったものが幾つもあります。

アシエンダ・ウアヤモンの正面玄関、階段を上ればレセプション。

(左)レセプション内部、ドアは一切無い。(右)植木鉢で飾られた古い建物の一部。
日本にもアシエンダのファンが多く、私自身もその一人です。現存するアシエンダはメキシコ中に点在し、特に多く残るのはバハカリフォルニア州、内陸のコロニアルシティ、そしてユカタン半島など。ここでご紹介する「アシエンダ・ウアヤモン」はユカタン半島のジャングルの中、マヤの末裔が暮らす小村の外れに佇んでいます。アシエンダの中でも、最も印象的だったひとつがウアヤモンでした。

(左)スィートは中央がエントランスで左右に客室がある。(右)客室用カシータス、内部は広くサロンと寝室に分かれ贅沢な造り。

庭を掃除するスタッフと使われていない建物。

かつてサイザル麻の工場だった時の煙突。現在、この周辺はテラスとして使われている。
建物は17世紀中盤に建てられ、1685年頃は豊かな牧場でした。ただ繁栄していたたことが裏目に出て、不運にも盗賊団の襲撃により壊滅的破壊を受け、壁画や価値ある財産は盗難にあってしまったのです。その後、スペイン人当主は、当時人気のサイザル麻の生産に成功、ウアヤモンはこうして急激に復活を遂げたといいます。

教会跡をプールに改装。
「アシエンダ・ウアヤモン」にある施設の中で、最も印象深いのは、廃墟となった教会の一部を残して造られているプールでしょう。教会の柱が水の中にそのまま残され、なんだか神秘的なプールです。200haという広大な敷地には、今も数々の朽ちた建物が残されていますが、それらすべてを含めてリゾートの個性としデザインに組みこんだのが、インドネシアの新進気鋭のデザイン会社「ジャヤ・イブラハム」であり、マヤの世界(ムンド・マヤ)を表現するためにスタイリッシュなリゾートとして創りあげました。

(左)大きな木の下での食事も可能。(右)プール付近の建物内部。
客室はカシータス(1軒のヴィラ)が10棟、他にスィート仕様のヴィラが1棟、全11棟の客室という贅沢なアシエンダです。それぞれのカシータスには、離れとして昼寝用のバレも作られ、朝晩とはうって変わって蒸し暑いジャングルの午後を、ゴロゴロとまどろむのに最高の場所となっています。
アシエンダからは、飛行場のあるカンペチェまでは21km、東にドライブすれば世界的オーシャンリゾート地カンクンへ、西へ行けば、ジャングルに鎮座するメキシコ最大級のチチェンイツァのピラミッド遺跡群へと到達。日本からはとても不便で遠い場所にありますが、理想的なリゾート3箇所を挙げろと言われれば、迷わずここをそのひとつに推薦するでしょう。(K.S)
Hacienda Uayamon
Domicilio Conocido, Municipio de Campeche,
KM 20 Carretera、Uayamon-China-Edzna
Camp. Mexico
Tel :(52)(981) 813 0530
Fax:(52)(999) 923 7963
部屋数: 10棟+スィート
http://www.haciendauayamon.com/
料金:(朝食付き室料)US$.200~。
施設:レストラン、プール、ミーティングルーム、
ライブラリ、バー、スパ、ショップ、他
アクセス:メキシコシティから空路約1時間でカンペチェ空港。
空港~車で2時間30分。予め送迎予約確認が必要。

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com



