光と影で描かれる、
早崎真奈美の"庭"を訪ねて
デザイン・ジャーナル 2011.01.14
ピンクとブルーの生地でつくってもらったストール。この冬のお気に入りです。......が、先日、ストールを首にぐるぐる巻きにして原美術館の近くをのんびり散歩していたら、カラスが後からビュン!と私のすぐ横を低空飛行で。前からも1羽、右からも1羽。巨大な果物にでも見えたのでしょうか。
通りのずっと先にその姿を見たら、こちらが遠回りをしてしまうほど苦手な、カラス。「ああこんなときには早崎真奈美さんの絵のなかに隠れてしまいたい!」そのとき思いました。「あ、でも、隠れたところにもっとドキッとさせられるものが待っているかも......」
今回と次回、開催を心まちにしていた展覧会を紹介します。まずは、1月17日に開幕、早崎真奈美さんの「『Dear unexpected visitors』~親愛なる予期せぬ訪問者様~」展。会場は銀座7丁目のガーディアン・ガーデン。
『Behind the curtain』。1980年生まれの気鋭アーティスト。新作にどうぞ期待を。© Manami Hayasaki, Photos: Couresy of Guardian Garden(他写真も)
京都で日本画を学び、今はロンドンを拠点とする早崎さん。ガーディアン・ガーデン主催の公募展「1_WALL」のグラフィック部門グランプリに輝き、今回の個展が開催されることになりました。日本では初めとなる彼女の本格的な個展、「切り絵」で表現された「庭」が披露されます。早崎さんの言葉を掲載しましょう。
「外国のお城にあるような豪華な庭園ではなく、
禅寺のまるで宇宙のような美しい庭でもなく、
一生懸命手入れしてもどんどん雑草が生えてきて、
外側でもなく、内側でもない部分。
[In-between]
いつも中途半端な私は他人に家の中を見せることを躊躇する。
部屋の窓にはカーテンをひいて、庭は花や草木で飾るのです。
扉を閉めても、塀のこちら側は、外から見えてしまうから」
『Cats』© Manami Hayasaki
『Primavera』、プリマベッラ。ボッティチェリの同名作品を思いだしながら目にしても、どこか妖しい早崎ワールドを堪能できる。© Manami Hayasaki
「ナイフによる"切る"という制作工程は精神統一であり、快感」と早崎さん。
そうした並ならぬ集中力がつくる光と影の世界。ナイフを手にした彼女の指先から生まれる「庭」とはどんなでしょうか。それは秘密の庭? 歩いていくほどに奥深い庭? 光と影の綾のなかに、知らなかった物語が待っている。
今回は、紙以外の素材との組み合わせや、複数の作品を合わせた展示もあるそう。壁ぎわに浮遊するように設置される作品など、インスタレーションとしても工夫が凝らされ、3mもの大きな作品もあると聞きました。早崎さんの繊細な切り絵の表現、じかに目にしたいと願っていたので、今回の個展がとても楽しみ。
気になるアーティスト、それも初々しい感性きらめく若手作家の試みに出会える個展ではとくに、私はいつもドキドキしながら会場に向かいます。
気になる「見えない部分」。隠れているのはなに。 『Pariscopic bush』© Manami Hayasaki
ここには? ちょっと怖くて、でもじっと見つめてしまう。『Trot』© Manami Hayasaki
早崎真奈美
http://www.manamihayasaki.com/
「早崎真奈美 『Dear unexpected visitors』
~親愛なる予期せぬ訪問者様~」
1月17日(月)~2月3日(木)
http://rcc.recruit.co.jp/gg/index.html
Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami



