南と北で味も別物! スウェーデンの朝食文化と私的ナンバーワン。

世界は愉快 2026.04.01

神咲子

スウェーデンも他国に漏れず朝食は大事な習慣のひとつ。また、人々がQQL向上のために実践していることとして、適度な運動、食事のバランス、仕事時間の減少などが挙げられる。

そんなスウェーデンでは、朝食に主食であるジャガイモを食べることはなく、基本はパンにハムやチーズをのせたオープンサンド、そしてコーヒーを飲むというのが主流。ただ、同じパン、コーヒーでも北と南で微妙に異なるので、その違いをここで紹介したい。

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独特の伝統が色濃く残る、北部の朝食文化。

Luleå(ルレオ市)があるNorrbotten(ノールボッテン)州や  Umeå(ウメオ市)があるVästerbotten (ヴェステルボッテン)州などを代表する北部の地域では、パンがTunnbröd(トゥンブルード)というメキシコのトルティーヤに似ている薄い小麦粉で作られたパンに地元の食材を合わせることが多い。

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その主なものがトナカイやムース(大角鹿)などジビエのサラミだ。

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左の花形のようなものがトナカイのサラミ。少し濃い色のものがムース。トナカイのものは日本で食べられているサラミとあまり変わらないおいしさの一方で、ムースはかなり血の味が濃い癖のあるもの。

寒さを生き延びる生活の知恵から生まれた伝統でもあり、狩猟の歴史に加え、自給自足を余儀なくされたのが南との違いでもあり賜物でもある。極寒の地では特に葉物の野菜が育つのは難しいので、朝食に野菜がお目見えすることは、ほとんどない(笑)。

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また、スウェーデン全体で外せない朝食メニューのひとつが、ヨーグルトに似た乳酸菌のFil(フィル)。この定番にも地域差があり、北部のものは酸味に加えて、口の中でパチパチと弾け、まるでスパークリングのヨーグルトを食べているような食感。

味自体はヨーグルトと変わらないが、加えている乳酸菌の種類が違うのと、発酵時の温度の違いで、(ヨーグルトは40〜45度、フィルは約20度)クリーミーさや酸味に違いが出る。

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さらにおもしろいのが、サーミの伝統から来ているKaffeost(カッフェオスト)。

北極圏(ラップランド地方)に居住する、ヨーロッパ最大の先住民族、サーミ族からの伝統が色濃いカッフェオスト。もちろんトナカイのサラミも然りだ。

コーヒーチーズという意味だが、ハロミチーズのようなキプロス原産の「焼いても溶けない」セミハードチーズに似た感じのチーズをサイコロ状に切り、コーヒーの中に入れて食べるという。

また、コーヒーも北部では、伝統的な煮出しコーヒーKokkaffe(コークカッフェ)がいまだに主流。

かなり濃い感じに出来上がるコークカッフェはフレンチローストが好きな人にはオッケーだ。ただやはり写真の様に外で炊くコークカッフェは格別においしく感じる。

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南部の朝は、野菜をふんだんに使ったサンドウィッチ。

それに反して、大陸に近いMalmö(マルメ市)を含むSkåne(スコーネ州)などではでは、トマトや胡瓜、レタスなど色とりどりの野菜が、ハムやチーズと共にオープンサンドの具として活躍する。

スウェーデン全土で親しまれている、Fralla(フラッラ)と呼ばれる日本の食パンのような存在は、カットしてフィリングをのせて食べるのが主。一方で、南部、特にスコーネ地方では伝統食であるKavring(カーヴリング)も外せない。

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焦げ茶に近いこのカーヴリングはライ麦粉、小麦粉、ダークシロップ、酸味を出すためのフィル(またはヨーグルト)、そしてアニスやクミンが入った少し甘いパン。おもしろいことに北部のトゥンブルードを南でお見かけしたり、食することはあっても、南部のカーヴリングが北部で食される事は、(ましてや売ってもいないので)ないに等しい。

やはり北の方が自分たちの伝統食を守る意識が強いので、カーヴリングは売れないようで、無駄が多く利益にならないのが理由。カーヴリングはデンマークのパンでもある。

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スウェーデンの朝食のパンは代表としてクネッケ(クリスピーブレッド)を抜きには語れない。こちらはスウェーデン全土で愛されているうえ、街のスーパーにも並ぶ全国区の定番。

スウェーデン中間にあたるダーラナ地方の名産で、個人的にベストな楽しみ方は、このクネッケにゆで卵とたらこクリームの組み合わせ。これは、日本のたまごかけご飯にも匹敵するおいしさと私は思っている。(また私の毎日の朝食でもあるのだ)

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余談ではあるが、この朝食の王者クネッケ、中身を入れたり乗せたりするとどんどん水分を吸収し、特徴のパリパリ感が味わえない。テイクアウトにはあまり向かないため、家で作ってその場で楽しむのがポイント。

日本と同様南北に長いスウェーデン。眺める景色の違いを味わう旅と共に、朝食の違いを食べ比べてみるのもおもしろいのでは?!

●1スウェーデン・クローナ=約17円(2026年3月現在)

text: Sakiko Jin

神咲子

在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデン中間部、東海岸のスンズヴァル市から西に一直線、ノルウェーとの国境のストールリーエン市を運転する日々を送る。

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