日本の「Matcha(抹茶)」が火種となり、世界各地で抹茶を使った飲み物やスイーツが爆発的な広がりを見せている。スウェーデンも例に漏れず、抹茶ラテはもちろんのこと、クッキーやお菓子など、ありとあらゆるところで抹茶フレーバーがある。
そこから派生して、日本を含むアジア圏のスイーツ人気に火がついた。アジア系レストランでデザートとして提供される「もちアイス」は、大手スーパーでも展開されるほどに。その最中、いまスウェーデンでじわじわと注目を浴びているのが、日本のパンケーキだ。
その人気に拍車をかけるように、今月2026年1月には「Fluffy House(フラッフィハウス)」がストックホルムにオープン。

「Japanese Pancake」と看板で謳っているパンケーキ。写真のはVery Strawberry というイチゴが付いたパンケーキ。159SEK(約2,736円)。いちごジャムも付いてくる。
フラッフィハウスという店名のとおり、看板メニューはふわふわのスフレパンケーキ。昔ながらのホットケーキとは異なる、日本でも一大旋風を巻き起こし、いまも一定の支持を集めるタイプだ。
オーダーを受けてからメレンゲのような生地をホイップし、専用の機械で焼くため、混雑時にはどうしても20分以上かかってしまうこともあるとのこと。いまでこそ落ち着いたが、開店当初は連日行列が絶えなかったほどだった。

日本ではおなじみかもだが、メレンゲのような生地がふわふわの元に。1台の専用の機械で焼けるのは8枚。
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一方で、スウェーデンの伝統的なパンケーキというのは、いわゆる「クレープ」だ。トッピングにはホイップクリームやさまざまなジャムを添えて楽しむ。木曜日には豆スープとパンケーキを食すという、おもしろいスウェーデンの伝統も残っている。社食や学校給食、スウェーデン料理を出すレストランではいつでも味わうことができる国民的フードだ。
ここまで日本のふわふわパンケーキが流行ったのはまさに目新しさが一番の理由に思われる。ただスウェーデンのクレープ(パンケーキ)やほかの伝統的な食べ物と比較すると食感のアプローチや甘さも違う。日本の食パンにもみられるように、日本人はふわふわ・やわらか系が大好きで流行る傾向だ。
反して、北の地スウェーデンでは、クリスピーブレッドに始まり、がっしりしたライ麦パンなど、せんべいとまでとはいかなくとも歯応えがこれでもか!と思えるほどのものが多く、人気のシナモンバンや2月の季節物の「セムラ」もどちらかといえば、しっかりした菓子パンだ。
また、甘さの点でも、スウェーデンでは必ずと言っていいほど、デザートでも何かしらの酸味(ベリー類など)を使うことが好まれる。またクレープの付け合わせや、セムラの中に入れるホイップクリームは基本砂糖が入っていない。(でもこれが、生クリームの味を十分に味わえてとてもおいしい!)クレープの生地自体にも塩は入るものの、砂糖は無しで、入れるとしてもほんの僅かな量だ。
この食感と甘さの好みから生じる食文化の違いが、ふわふわパンケーキだけでなく、台湾タピオカティーなどスウェーデンで急成長した理由も反映していると思う。ストックホルムをはじめとする大きな都市では、いまやすっかり見慣れた存在になった。個人的にはあんこを使った日本のお菓子、大福やどら焼きが流行って欲しいと思っている、とはいえ、スウェーデン人にとって、どうも「甘い豆」という食習慣に親しみが薄く、あんこ菓子の流行はまだ先となりそうだ。
次にスウェーデンを訪れる際は、カロリーの事は一旦おいて、市内でのショッピングも兼ねて、食べ比べてみるのもおもしろいのでは?
●1スウェーデン・クローナ=約75円(2026年1月現在)

神咲子
在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデン中間部、東海岸のスンズヴァル市から西に一直線、ノルウェーとの国境のストールリーエン市を運転する日々を送る。





