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きょうもシネマ日和

クロエ・グレース・モレッツ主演、ジュリエット・ルイスが母親役に!『HICK ルリ13歳の旅』

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突然だが、あなたが「この映画観たい!」と思う時、キッカケになるのは何だろう?ストーリー(原作)、話題性、キャスト、監督??

私の場合、「映画を見る」事が仕事になってしまったので選り好みしている余地なし!なのだけど(泣笑)、個人的にも彼女の出ている作品は観ておきたい、と思うのが、日本にもファンの多いクロエ・グレース・モレッツだ。『キック・アス』でヒット・ガール、『モールス』でヴァンパイア、『ヒューゴの不思議な発明』では主人公の少年と冒険する少女、そして、ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の『ダーク・シャドウ』にも出演し、2013年公開予定の名作ホラー『キャリー』のリメイク版ではヒロインを演じる、ハリウッドでひっぱりだこの彼女。 

こんな事を書いちゃファンの方に怒られてしまいそうだが、彼女はとってもキュート、だけれど決して正統派美人ではない。(ちなみに私のイメージする正統派は「トワイライト」シリーズのクリステン・ステュワート)しかし、彼女はスクリーンに登場すると目が離せなくなる天性の魅力の持ち主で、8歳で映画デビュー後、様々な作品に出演し、その演技力を磨いてきた。

そんな彼女がジュリエット・ルイスと共演すると聞いて、観ないわけにはいかないと思ったのが、本作『HICK ルリ13歳の旅』だ。

2sub4_large.jpg水玉のグレンダとクロエちゃん。原作は、本作の脚本も手がけたアンドレア・ポーテス。彼女自身の体験も盛り込まれているという。

◆ストーリー

アメリカ中西部、荒廃した農村地帯に暮らす13歳のルリ(クロエ・グレース・モレッツ)はTVの映画鑑賞と絵を描くのが大好きな女の子。母親と父親は仲が悪く、どちらもトラブル続き、そんな彼らが続けて何も言わず蒸発、一人取り残されたルリは、誕生日プレゼントにもらった拳銃を手に、憧れの地ラスベガスに向け旅に出る。そこで出会ったのは、ルリが想像もしなかった大人たちだった・・・。

本作は、まるで映画のようなハッピーエンドを夢見て、夢の街ラスベガスへと向かう少女が出会う衝撃的な現実やトラブルを描いた、ちょっぴり変わった青春ロードムービーだ。

何が変わっているかというと、出会う人々が何とも個性的。たとえば、派手でスタイル抜群、でもどこか秘密めいていて、セクシーだけどちょっとスレちゃった感が否めないグレンダ(ブレイク・ライヴリー)。そして、童顔でピュアそうに見えて実はクレイジーな一面を持つトラック運転手のエディ(エディ・レッドメイン)。まるで大人社会を凝縮したような(!?)彼らに巻き込まれ、二人の魅力に惹かれながらもショックと不安が隠しきれない少女ルリを、時には強気に、時には脆さも見せながら演じ、持ち前の魅力を発揮している。特に、ダメ男の代表のような(でもイケ面)エディに惹かれながらも、その素行に嫌悪感を抱く複雑なルリの心情を繊細に表現する演技はお見事。13歳に眠る"女"の部分までも見せてくれる。

3mainb_large.jpg彼女らが着ているワンピースやキャミソールも、とってもキュート。音楽はボブ・ディランのナンバー「スージー(ザ・コフ・ソング)」など、何かとセンスが光ってます。

◆ジュリエット・ルイス、ブレイク・ライブリーほか魅力溢れるキャストたち

本作の魅力は、クロエちゃんだけではない。冒頭に述べたようにジュリエット・ルイスも出演している。数年前からバンド活動にも(の方に?)力が入っている彼女だが、ここではルリの母親役で登場。テキーラを飲んだくれ全く母親らしくない役どころが、相変わらずジュリエットらしくてしっかり期待に応えてくれていた(笑)。

また、ルリが頼りにするグレンダ役には、先日ライアン・レイノルズと結婚した、大ヒットドラマ『ゴシップガール』のブレイク・ライヴリーが好演。彼女の輝かしい現在とは裏腹に、ブラックな過去を抱えたセクシー美女を演じ、ルリが見た希望と現実の象徴を示した。そして、ルリがちょっぴり心惹かれたエディ役には、『マリリン 七日間の恋』でマリリンが恋に落ちる第三助監督のコリン・クラークを演じたエディ・レッドメインが。あの時の純粋な青少年はどこへやら、、、彼の変貌ぶりたるや、、(これはスクリーンでのお楽しみ)。更にはベテラン、アレック・ボールドウィンらも出演、スパイシーな味わいを添えている。

4sub2_large.jpg右のエディ・レッドメインは今冬公開の『レ・ミゼラブル』にも出演の注目俳優。そして監督は、マーティン・スコセッシ監督の愛弟子、デリック・マルティーニ。

◆さいごに

タイトルにある「HICK」とは、田舎者、うぶな人、カモなどを表す名詞なのだそう。
退屈な田舎町での生活から抜け出し、夢の地ラスベガスに向かう13歳の少女の旅は、予想もつかない展開へと転んでいくけれど、ラストの結末はさわやか。途中から、クロエちゃんの黒髪が見られるのも、またキュート。
そして何より13歳の頃って、人生に対する期待と不安がマックスで、そのくせ日常は退屈。映画やドラマみたいな大冒険に出てみたいと思うけど、そんな勇気もなくて、日々周囲の目を気にしながら学校に通ってた。。。なんて方も多いと思う。少なくとも私はそうだった。だから、田舎の街からラスベガスへ向かうルリの旅は、デンジャラスすぎるけど、何だかとっても憧れる。あの頃の高揚感とか、根拠のない自信や不安を思い出しながら、彼女が出会う様々なトラブルを一緒に経験していると、もう一度新鮮な気持ちでまだ知らない世界にも挑戦してみたくなった。自分の奥底(海底○万メートルレベル)に眠っていた"初々しい"って気持ちに久しぶりに出会えた作品だった。


『HICK ルリ13歳の旅』
出演:クロエ・グレース・モレッツ/エディ・レッドメイン/ジュリエット・ルイス
監督・脚本:デリック・マルティーニ
原作:「Hick」アンドレア・ポーテス著
2011年/アメリカ/95分
配給:アニープラネット
http://www.hick-movie.com/
11月24日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
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