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きょうもシネマ日和

ふたりの名優が贈る、とびきりチャーミングなラブ・コメディ『トレヴィの泉で二度目の恋を』

きょうもシネマ日和

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主人公エルサが憧れる 映画『甘い生活』とは、イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の代表作。1950年代後半のローマを舞台に、退廃的な上流階級の暮らしを描き、カンヌ国際映画祭パルムドールをはじめ世界中の賞を総なめにした。マルチェロ・マストロヤンニとアニタ・エクバーグがトレヴィの泉で戯れるシーンは、映画史に残る名シーンのひとつ。


今年に入って、ショッキングなニュースが飛び込んできた。フェリーニの代表作『甘い生活』の主演を務めたスウェーデン人女優のアニタ・エクバーグが1月11日、ローマで他界されたという。83歳。『甘い生活』では、トレヴィの泉にドレスのまま入るシーンが有名で「作品は見てないけれど、そのシーンは知っている」なんて方も多いかもしれない。映画ファンとしては、スクリーンでの印象だけが永遠で、現実にはそんな年齢で(製作年数から数えればそりゃそうなのだけど)この世からいなくなる事自体が何だか信じられなかったりする。


昨年は日本でも映画界の大スターが天国へ旅立たれ、やっぱり信じられないし、何だかとっても寂しい。が、悲しんでばかりいてもいられないので、今回はまだまだ現役で私たちを楽しませてくれる名優ふたりが贈る、とびきりチャーミングなラブストーリーをご紹介したい。


◆ ストーリー

長年連れ添った妻を亡くし、生きる気力を失ったフレッドは娘にすすめられアパートに引っ越すことに。隣の部屋には魅力的だがやや変わり者のエルサが住んでいた。『甘い生活』のアニタ・エクバーグのようにトレヴィの泉に行くこと、それがエルサの長年の夢だ。そんな二人の出会いは最悪だったが、ある事件をきっかけに"やっかいな隣人"から"気になる存在"となり----。

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シャーリー・マクレーンは「このふたりのキャラクターの関係が面白いし、クリストファーとの共演できるから出演を決めたの」とコメント。撮影後に仲良く食事に行ったりと、ロケ地のニューオリンズを楽しんだのだとか。


◆ シャーリー・マクレーン×クリストファー・プラマー

自由奔放なエルサ役を演じるのは『アパートの鍵貸します』を始め、数々の名作でその実力を発揮、『愛と追憶の日々』でアカデミー主演女優賞を獲得、今もなお話題作に出演し続けているシャーリー・マクレーン。そして、偏屈な男やもめフレッドには『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐でおなじみ、有名ハリウッド作において様々な悪役もこなし、『人生はビギナーズ』では、75歳にしてゲイであることを息子にカミングアウトする役でアカデミー助演男優賞を史上最高齢82歳で受賞したクリストファー・プラマー。この2大オスカー俳優が晩年になって初めて出逢い、恋に落ちる男女を演じるというのだから、映画ファンにとってはそれだけで魅力的なはず。

しかも、私自身も驚いたほどときめく内容に仕上がっているので「名優と言われるふたりをあんまり知らないし、シニアな恋愛を見ても......」という方にもおすすめしたい作品だ。

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2人のラブストーリーを軸に"家族"の話もブレンドされ、幅広い層に共感を呼ぶ本作。フレッドの娘夫婦には、マーシャ・ゲイ・ハーデン(『ポロック 2人だけのアトリエ』)&クリス・ノース(『SEX AND THE CITY』のあのミスター・ビッグ!)。「いるいる、こういう夫婦!」とこちらも絶妙な演技。


◆ セリフの一言、ちょっと仕草にも味わいが......。

というのも、シャーリー・マクレーン演じるエルサが、何とも不思議な魅力の持ち主で、しっかりしているのかと思えば、時々嘘か本当がわからない事を言ったり、何かと自由奔放で少女のような純粋な心を持っている。一方のフレッドは、根は優しいのに素直になれない頑固者。そんな2人がお互いに皮肉を言いながらも、少しずつ距離を縮めていき、これまでに経験したことのないアレコレを晩年になって楽しみ始める姿が何とも初々しく、しかも、どこか不思議な清潔感があって、見ている私までキューンとしてしまう。彼らが巻き起こす予期せぬトラブルに思わず笑ってしまいながらも、「あぁ、こんな風に歳を取れたらいいなぁ。70代、80代で好きな男性とあんな風に過ごせたら」なんて、味のある未来予想図が目の前に描かれているようで、ぽわ〜んとなってしまうシーンもしばしば。まぁ、一言で言えばシャーリー・マクレーンがとっても可愛くて、クリストファー・プラマーがものすごくカッコいいわけなんだけども、それはヴィジュアルだけじゃなく、そう魅せる卓越した表現力あってこその賜物なんである。

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本作は『甘い生活』へのリスペクトを込めて、ローマの名所も楽しむ事ができる。1922年創業の老舗のカフェ「ロサーティ」や、コロッセオなどの歴史ある建物が、このカップルにはとってもお似合い。


◆ さいごに

監督は、『イル・ポスティーノ』『ヴェニスの商人』、2011年には天才ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニの生涯を追ったドキュメンタリー『情熱のピアニズム』で話題をさらったマイケル・ラドフォード監督。もともと、アルゼンチン・スペイン映画だった本作をリメイク、劇中ではフェリーニ監督の傑作『甘い生活』にオマージュを捧げ、なんとその名シーンが度々登場してしまうのだから驚き! どんな風に登場するのかはスクリーンで是非お楽しみいただきたい(泣けるんです、このシーンが......)。

本作は、シャーリー・マクレーンの映画デビュー60周年記念作品でもある。「これからも年を重ねた人たちの映画を作り続ける女優でいたい」と語る彼女、フレッドならずとも男女誰もが愛してしまいそうなエルサや、その役に全てを投げ込むシャーリー・マクレーンの生き方に、明日への希望がもらえそう。


『トレヴィの泉で二度目の恋を』
監督:マイケル・ラドフォード
出演:シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー
© 2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
2015年1月31日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
http://torevinoizumide.com

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