人間関係に振り回されず、心を平静に保つ秘訣。

Beauty 2016.08.17

複雑で、常に緊張していて、なんだか面倒になりがちな人間関係。
実は、自分の“愛着パターン”(1)を把握することによって、豊かで充実した人間関係を築くことができる。

160817_madamefigaro_01.jpg

『J’arrête les relations toxiques!(有害な人間関係をやめる!)』の著者、マリオン・ブリックによると、自分の感情をよく理解することで、感情に働きかけ、心のバランスを取り戻すことができるという。 photo: Getty Images


パートナーにうんざり? 上司へのイライラが溜まってる? 姑がうるさい? 身の周りの人間関係の中で、さまざまな感情に引っ張られ、心のバランスを保つのに苦労している人が多いのでは? そんなあなたに、臨床心理士マリオン・ブリックの新著『J’arrête les relations toxiques!(有害な人間関係をやめる!)』(2)から、そうした人間関係に終止符を打つためのアドバイスをご紹介! 彼女が提案するのは、自分と他人の行動を支配するメカニズムを、21日間で把握すること。そうすることで誰もが、自身の抱えている面倒で有害な人間関係を脱却できる。まだ疑っている? そんな人は、さっそく次のステップに進んでみて。

ステップ1 : 自分の感情に責任を持つ

人生の中枢には感情がある。そして自分の感情は、自分以外の誰にも責任はない。自分以外の誰にも自分の目から涙を流させることはできないし、自分の口から叫び声を上げさせることもできない。つまりは自分以外、誰にも自分の感情を責めることはできない。マリオンの著書の争点は、「自分の感情の責任は自分にあると自覚すること。そして大事なのは、感情を持つことへの罪悪感を取り除くこと」にある。感情は悪いものではない。そして自分の感情を理解することで、うまく感情に働きかけ、心のバランスを保つことができる。ではどうやって?


ステップ2 : 感情を理解する

感情は時に腹立たしく、不快で、制御できないもの。ても人間には必要不可欠なものだ。原色の3色のように、感情も普遍的で、すべての人間に共通の “感情のパレット”が存在する。“怒り”、“悲しみ”、“恐れ”、“喜び”、“嫌悪”。それぞれの感情は、実はこの世界を把握するために重要な役割を果たしている。
 
“怒り”
“怒り”は苦痛を伴うが、有益な心の動きである。自分が欲求不満であり、平静を保てない状態であることを警告し、また障害を乗り越える必要があると教えてくれる。

“悲しみ”
“悲しみ”は、自分にとって大事なもの、または大事な人を失ったことを教えてくれる。

“恐れ”
“恐れ”は、幸せな状態から何か危険が迫っていることを示し、自分を守るための準備体制へと促してくれる。

“喜び”
“喜び”は、身体的な現象であり、自分の存在が大きく広がり、世界と繋がり、世界に開いている感覚を与えてくれる。

“嫌悪”
“嫌悪”は、遠い過去の記憶によって引き起こされ、自分の人生を汚染しかねない有害要素の存在を忠告してくれる。

以上の原始的な5つの感情は、人間の普遍的な共通の感情だが、それぞれが持つ“愛着パターン”によって、異なる反応が引き起こされる。

*次ページでは、自分がどの“愛着パターン”か、そして人間関係をどう改善していくかをご紹介!

(1)愛着パターン:心理学における「愛着理論」によって、4つのパターンに分類される人間の愛着の特性。
(2)マリオン・ブリック著 『J’arrête les relations toxiques ! (有害な人間関係をやめる!)』 (Éditions Eyrolles出版/フランス語)

---page---

ステップ3 : 感情を繊細に感じ取るため、
考えることから離れよう

この“感情のパレット”の裏には、“思考による身体の支配”が潜んでいる。別の言い方をすれば、“感情(感情脳)”よりも“合理性(認識脳)”を優先する現代社会において、人間はさまざまな思考による回避策を心得ている。たとえば「自分の間違いを他人のせいにする」、「一杯飲みに出かける」、またさらに上級者は、「いまわき上がっている感情を感じ取ることがなぜよくないのか、その原因を思考でリストアップしようとする」。ところが、臨床心理士のマリオン・ブリックはこう伝えている。「自分の感情を受け入れ、向き合わなければ、自分の欲しいものはわかりません。感情とより一層つながることで、自分が何を望んでいるか、その“愛着パターン”を明確にすることができます」


ステップ4 : 人間関係における
自分の“愛着パターン”を自覚する

“愛着パターン”は、子どもの頃に形成された心理的な枠組みに由来する。家族のなかでもとりわけ母親や、学校で知り合った先生や友達、恋人など、親しさの度合いに関わらず、出会ったすべての人々との関係をもとに、大人になる過程で再構築されていく。そのため、自分の“愛着パターン”を解析する手がかりは、幼い頃の記憶からたどるとよい。“愛着パターン”は、次の4つのタイプに分類される。
 
“安定型”:自分の感情を素直に感じ取り、情報をキャッチして、適切な方法で行動し、人生のバランスを保っているタイプ。
 
“回避型”:臨機応変に自分の感情を麻痺させ、苦しみから逃れる。感情の第1ステップに到達しないまま、感情を理性で処理してしまうタイプ。
 
“抵抗(両価)型”:感情を過敏に感じ取り、さまざまな感情の中で自分を見失い、効率的に対処ができず、感情の整理ができない状況に陥ってしまうタイプ。
 
“無秩序型”:おそらくこの中で いちばん不安定なタイプ。ふたつの立場の間をさまよい、ある時は自分の身を守り、ある時は対立を引き起こすような関係に身を投じる。見捨てられてしまうことに常に怯えながら、無意識にそのような状況になるようなことを行う。何をやるにも200%で行動してしまう。


ステップ5 : 自分がどの “愛着パターン”の人間と出会いやすいのかを分析する

「いつも頼りない男性と一緒になってしまう・・・」「出会う人にはどうしても愛情が湧かない・・・」。いつも同じことを繰り返し口にしている気がするかもしれないが、これはとても自然なこと。めまぐるしい人生の出会いの中で、実は驚くことに、同じようなタイプの人間に出会う確立は高い。ただし、注意しないといけないのが、それが悲劇を招く場合があること! たとえば典型的な“回避型”+“抵抗型”の組み合わせは、一概にしてフラストレーションや恨みを生み出す。それなのに、この対立するふたつのパターンは、無意識に惹かれ合う。冷たい“回避型”の男を、“抵抗型”の女が追いかける、といった絵に描いたような構図だ。これは、大惨事! また、“抵抗型”+“無秩序型”の組み合わせも理想的ではない。これは両パターンの緊張感のある関係に、“無秩序型”が完全に疲弊してしまうのだ。ひとつでも思い当たる? そんな方は、相手との距離を取ってみよう。そして、少しずつ人間関係を変えていって。


ステップ6 : 人間関係にポジティブな変化を導く

「人間関係を変えようとする動きは、どんな変化であれ、必ず次にポジティブな変化をもたらします。」とマリオンは言う。苦しい人間関係から心理的に距離を置いて、一度立ち止まって自分の感情を受け入れ、自覚してみる。そして、ネガティブな感情をポジティブな感情へと転換させていこうとする動きが、まず平穏への第一歩。“抵抗型”は、明確なリミットを設けることから始めて。“回避型”は、自分の感情が発展していくこと、そして感情移入していくことを受け入れて。“無秩序型”は、健康的なライフスタイルで規則正しい生活を心がけ、自然に触れてみると、身体と日常生活が格段に安定しやすくなる。
 

texte : Mylène Bertaux, traduction : Sawako Yoshida

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories